酒造り日記  (イ号仕込み)



11月15日 蔵入り

 秋田県平鹿郡山内村より杜氏が蔵入りしてきました。夏の間、 米作りをして真っ黒に日焼けした、たくましい男たちが8名、今年で 勤続20年のつわものたちです。 さあ、これから喜久水の酒造りが始まります。 最初は蔵の掃除や、醸造器具の手入れ などから始まります。
今年は能代市常磐の米が入ってきました。


11月20日 精米

 能代市常盤の米はキヨニシキです。精米機に米を入れて、とう精します。
精白歩合は70%で、酒母、酒母麹用の白米が出来上がりました。
精米のやり方は、原型精米といって玄米の形で精米できれば申し分ないのですが、 精米機の回転速度と、圧力の掛けかたが微妙なところで、経験がものを言います。
常盤の農家の方々に良い米を造っていただき感謝しています。


11月25日 蒸し、麹

 今日は「甑越しの日」です。
白米を水に浸漬(5時間)したものを、 甑で1時間蒸します。
蒸し上がりは外硬内軟に仕上げなければなりません。
ひねり餅ができる硬さです。
蒸気の加減と、米の張りかたに技術を要します。
ひねり餅は杜氏に献上され許可を待ちます。許可が出ると蒸し米をさまし、 種麹を振りかけ、麹室に引き入れます。
2日間で酒母麹が出来ます。
酒の発酵過程を決める大事な工程です。


11月30日 もと

 今日は「もと立ての日」です。酒母麹に仕込み水を加え、
掛け米を仕込み7号酵母の純粋培養の始まりです。
この「もと造り」で酒の味の傾向が決まってくる、大事な工程です。
杜氏の不安と期待が込められる日々が続きます。


12月 5日 もと

 酒母の酵母は元気に香りも高く発酵しており増す。
泡の状態もよく杜氏の笑顔がほころぶ日々が続いています。


12月10日 もと

 酒母の泡も本仕込みに備えて虎泡になってきました。
すでに酒母の仕込みも8本になりました。どの酒母も順調に育っています。


12月12日 もろみ

 「初仕込みの日」です。麹と仕込み水と酒母を併せて初添えの
蒸し米を仕込みます。明日は踊りといって、仕込みは1日休みです。
そして、中添え、留め添えと倍倍に仕込んでいきます。


12月16日

本泡から高泡になってきました。工場全体に酒の香りが漂い始めました。


12月25日 もろみ

 地泡になってきました。そろそろ主な発酵も終わり、
熟成を待つばかりとなりました。ここまでくれば、杜氏もだいぶ
安心出来るようになりました。


 1月 7日 ふね

 熟成も終わりいよいよ初槽です。十分熟成したもろみは槽に送られ、
搾りに掛けられます。最初は荒走りといって香りのよいちょっと
荒い酒が出てきます。それが終わると中走りとなり,味も香りも落ち着いた
酒が出来上がります。ここは酒造りのハイライトになり歓声が上がる日です。
カスはがし

 1月10日 澱引き

 もろみはすっかり搾られて、澱引きの工程に入ってきました。
槽で濾し切れなかった酵母などは、この工程で除去されます。
喜久水の「しぼりたて」は、まだ酵母が生きている、ほんのちょっとだけ
濁ったお酒です。


 1月15日 瓶詰

 1升瓶は洗瓶され、殺菌されます。30石のタンクから、
新酒の「しぼりたて」はポンプで瓶詰機に送られて、1升瓶に詰められ
王冠をされ、喜久水のしぼりたてのラベルを貼られて、
明日の出荷を待つばかりになっています。まもなく酒屋さんの店頭に
並ぶことでしょう。


 1月20日

 「しぼりたて」で瓶詰されなかった酒は澱引きをします。
2週間寝かせて置いて、澱が沈殿した上部だけを他のタンクに移動します。
残った澱は喜久水の「よねしろ」になります。


 1月25日 火入れ

 完成された酒は火入れと言って、60度で殺菌しタンクで貯蔵します。
このときは酒の中の酵母や火落ち菌は殺して、酵素類を不活性にします。
あと熟成するために必要なのは時間だけです。どんな偉い人も、
どんなお金持ちも熟成に要する時間だけは買えません。
ただひたすら待つばかりです。


蔵出し

 熟成した酒を蔵の中から移動します。そこで割り水をします。
喜久水は15ー16度に、蔵酒は20−21度に、吟醸酒は15−16度に
水を加えます。


瓶詰

 蔵出しをした酒は60度で殺菌されながら、瓶に詰められます。
詰めた酒はラベル貼り機で1本づつラベルが貼られていきます。
3日後には酒屋さんの店頭に並ぶでしょう。


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