障害者の高齢化と生活の場の問題について
きょうされん(成人期の障害のある人たちが、地域で 働く・活動する・ 生活することを応援する事業所の全国組織)では、毎月発行している、TOMO(とも:賛助会員年間3千円で郵送されます)5月号時論「くらしの場のあり方について」と題して、きょうされん組織・運動委員会副委員長 塩田千恵子さんが会説されています。
重度の在宅障害者が両親の高齢化や介護・病気等で養育ができなくなり、ショートスティ事業所をたらい回しにされている現状を指摘しています。障害者本人の高齢化は、すなわち家族の高齢化の問題でもあり、介護を担っていた家族が亡くなったりした後の生活の場の確保という切実な問題と指摘しています。これは「老障介護」の課題ともいえるとしています。
支援を受けながら生活をする障がいのある人の暮らしの場が圧倒的に不足しているなかで、家族の介護を受けられなくなった人が、すぐに次の安定した生活の場を確保できないという実態が都市部に行けばいくほど深刻な問題となっているとのことです。
今回の障がい福祉報酬改定では、他の報酬が下がる中で、グループホーム報酬単価が上がりました。「他の事業は減収だが、グループホームは増収になり、法人としては助かった」という話を聞きます。しかしそれでも世話人を正規職員で雇用するには程遠く、慢性的な人手不足を解消できない状態が続いていると指摘しています。また、報酬が上がっても、グループホームの建設が加速度的に進んではいません。世話人の確保ができないだけではなく、消防法、建築基準法、地域の反対運動など、グループホーム建設のハードルは上がり続けています。
暮らしの場の質的なあり方の検討とともに、圧倒的に不足しているくらしの場の量的確保にも正面から取り組むことが、障害のある人の人権保障の根幹に据えなければならないとしています。
(考察) 障害のある方やそのご家族の高齢化が急速に進行しており、その生活の場の確保が急務になっています。入所施設の定員は削減されショートスティは常に満杯です。グループホームは、上述のように建築基準法や消防法によるスプリンクラー設置義務化、地域の反対運動なども関係して、進まない現状があります。きょうされんの「くらしの場のあり方について」時論は、こうした問題を正面から指摘した内容となっています。
桜田星宏 |