自殺 2

 自殺の考察 作家 辺見 庸 氏は  日本の自殺者数は「精神の内戦」もしくは「内面の戦時下」にあると主張。

 イラク戦争における死者数を調べている英米系非政府組織(NGO)「イラク・ボディー・カウント」の集計によると 2003年3月の開戦から、イラクではこれまでに約 3万1千人の民間人が爆撃や戦闘などに巻き込まれて殺されている。理不尽である。しかし思えばこの数字は日本の年間自殺者数と大差がない。日本の自殺者は 04 年まで連続 7年間 3万人を超えている。ともに 21世紀の不条理であり、戦争と平和の通念を考え直す必要があると主張。 1日に 80人もの人々が自死する(未遂者を含めると毎日 800人が自死を試みるという)ような日本が果たして平和と言えるだろうか。死者数だけから見ると戦争規模である。戦争の定義が国家の意思の貫徹のために他国との間に行う武力闘争とすれば日本は確かに今は戦時ではない。これはあくまでも狭義の判定であり、広義に解釈すると日本は目下「精神の内戦」もしくは「内面の戦時下」にあると言えるかもしれない。
 「自殺論」を著した社会学者デュルケームによれば自殺のパターンの一つに「アノミー的自殺」があり、これこそ平時に咲き乱れる死の花が誘引するという。アノミー的自殺とは社会的規範がないか緩い状態ないしは自由な状態下で起きる自殺現象。自殺大国であるロシアや日本にこれが当てはまるかもしれない。人間とはけだし厄介な生き物である。社会的統制が強ければこれに激しく反発し緩くなればなったで生きる方向性と実感を失い、陸続と自死へと向かう人々が現れる。自殺は 21世紀世界の主要なシンドローム(症候群)を形成しているのでないか。そんな予感がする。という。

 厚労省研究班(主任 保坂隆 東海大医学部教授)調査
  調査対象 2003年8月から2006年12月まで、岩手県、福島県、東京、大阪の 4箇所の救急救命センターに自殺を図っ  て搬送された人で、本人や遺族から聞き取りした。平均年齢は 男性は 41.4歳、女性 36.8歳。
  死亡した 209人(男性 111人 女性 98人)のうち @家族 A友人 B精神科医ーなどのいずれかに「死にたい」と相   談していたのは 延べ人数で 男性 15人(13.5%) 女性 24人(24.5%) 未遂だった 1516人(男性 465人 女性 1051人  )で、相談していたのは 男性 103人(22.2%) 女性 351人(33.4%) 1人が複数の相手に相談した場合 人数が重複し   て計算されるため、実際は 8割が 誰にも相談していなかった。研究班は 実際に周囲に悩みを打ち明けていたのは  死亡者で 15% 程度 未遂者でも 20%位としている。自殺未遂歴については 死亡した人のうち 「なし」は 135人で、
  「あり」が 13人。「なし」は「あり」の10倍、未遂となった人では 男性 102人、女性 529人が「あり」だった。女性 は     5回目以上が 273人いた。不明 90人だった。
  この結果 自殺を図った人のうち 約 8割が周囲の人に相談していない。自殺者は未遂者の 10倍となっている。

  国内の自殺の現状、警察庁のまとめによると  2005年の自殺者 32,552人。1997年まででは 2万人台で推移してきた  が 1998年に 対前年比で、プラス約 8千人と急増。初めて、3万人を突破した。以降 8年間連続で 3万人を超えている  。特に中高年の男性が多いのが特徴。これを受けて 昨年(2006) 6月、自殺対策基本法が成立し、 10月に施行され   た。政府は今年 4月、10年以内に 人口 10万人当たりの自殺者を 20%削減することを目標てする自殺総合対策大綱
  の素案を公表した。
               「弱音をはける社会」にしなければ 解決しないと 研究班は主張している。  魁 2007.5.13.

 2008.6.5. 自殺率 13年連続、全国一 秋田県の2007年の自殺率(10万人当たり) 37.5人 2位は 宮崎 34.6 人
       3位は 青森 33.3   少ない県 1位 奈良 18.0  2位 愛知 19.7  3位 三重 19.9

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