PET 体験記

(1) 最新のPETドックを体験す。
  6月29日、朝 7時半、福岡市の福岡和白総合検診クリニックにて、「エグゼクティブコース」の受付した。
 8時、採血。腹部、甲状腺の超音波検査、眼底検査、心電図、身体測定、視力、聴力、血圧測定。次に
 腹部、胸部のCT 終了後、PET 検査棟に移動。最初、PET について説明。お茶を350ml位飲む。排尿し、
 放射能レベルの高い部屋へ移動。FDGを静脈注射。50分位安静に休憩。PET撮影(約10分)、終了後、
 排尿し、放射能レベルの低い部屋へ移動。甘い菓子やジュースを頂く。その後、医師(私には副院長の
 谷村陽子先生)の結果説明。ディスプレイに、私の全身のFDGの分布が表示され、説明してくれた。PET撮影
 後、25分位で、PET画像をパソコンにセットアッフ゜できるのだ。大脳や膀胱はFDGの高い分布を示す黒色と
 なっている。その後、CT画像の肺、肝臓、腎臓、脊椎などの断層写真をディスプレイに表示し、丁寧に説明して くれた。私は内臓や脊椎の断層写真を見るのが初めてなので、日本の医学の進歩を感じた。
  私は 1989年 3月、東海村の原子力研究所にて、トレーサーの実験をした。内容は インゲン豆の根から
 Sr 90を含む溶液を1週間かけて、吸収させ、それをフイルムに押付け、写真をつくる。Sr90は 茎や太い根に
 黒く沈着していた。これで 植物におけるCaの分布を推定した。またラットに C14のグルコースを注射して
 10分後、液体窒素に入れ、薄くスライスして、フイルムに押付け、写真をつくる。脳や肝臓が黒くなっていた。
 このフイルムを今も持っているが この実験を思い出しながら、今回は人間のトレーサー(tracer)だと確認した。
 次に一般検査棟に移動し、内科医の結果説明を受けた。これで ドック終了。12時10分だった。この後、
 昼食とホテルまで、病院車で送ってくれた。
  値段は スタンダードコース(89,250円)、エグゼクティブコース(105,000円)、ブレインコース(126,000円)
 東京から往復航空券と2泊3日のホテルをセットにしたエグゼクティブコースが 142,000円であった。
  私は 公務員や教員を退職して、お金にそんなに困っていないのに 癌で死亡する人に出会う。その中には
 胃カメラや大腸ファイバーなどの検査が苦痛で、ドックを敬遠していた人も多い。そんな人に このPETドックを
 推奨したい。今回のドックは 採血とFDGの注射のみの痛みだけで、その他は苦痛がないことを明言したい。
    後日、7月23日、ドックの詳細な結果と半切りのCTフィルム(コピー)2枚を送っていただいた。その結果の   中にはPET ドックのカラー写真1枚と胸部と腹部のCT写真2枚が含まれていた。カラー写真はFDGが大脳と   膀胱に集中していることを示していた。CT写真2枚は半切りのCTフィルム2枚から問題部分をコピーしたもの
  でした。
 
(2) PET-CT ドックの目的、原理
  私は自分の全身を一回の検査で、癌の点検できないかと考えていたら、PET-CT ドックにより可能になった。
 そこで、私は その実態を拝見しながら自分の全身を調査してみようと、受検した。
 PET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー=陽電子放射断層撮影法)と、CT(コンヒュテッド・トモグラフィー=
 コンピューター解析による断層X線写真)を組み合わせて、検査する方法。がん細胞はグルコースを活発に
 取り込む性質がある。そこで、放射性のF-18を含むFグルコース(FDG)を静脈注射し、全身に行き渡させた
 ところで、PET(放射線断層撮影)すると、Fグルコースの分布を見ることができる。分布の高いところにがん細胞
 があると推定される。唯、大脳や肝臓はグルコースを大量に取り込むので、PETでは推定できない。また、
 膀胱もグルコース消化の出口であり、Fグルコースの分布は高い。これらの臓器はCTの断層写真で推定する
 ことになる。

(3) PET-CT ドックの今後
  このような最新のPET-CT設備を 各県に速やかに普及させて、癌の早期発見に努め、癌の死亡率を低下
 させてほしい。ODAの増額より、医療設備の更新したり、国内の人口の減少防止策に税金を使用してほしい。
  現在のPET-CT設備についですが、PETのFグルコースもCTのX線も放射線です。Fグルコースの注射量を
 最小にして、効果的な写真を撮るように改善したり、CTでは 撮影時間をもっと短くするように改善してほしい。
  現在の放射線量では 病人であればしかたがないが 健康な人に毎年、PET-CT ドックを勧めにくい。

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