がん対策情報 3

 1.「がん医療よろず相談外来」を開設
   放射研前理事長佐々木康人氏は 東京都世田谷区の「瀬田クリニック」に 毎週金曜日
   連絡先 TEL 03-3708-0086

 2.「緩和ケアチーム」 全国で 100以上活動している。
   身体症状緩和の専門医、精神症状緩和の専門医、がん看護専門ナースの3名を中心に薬剤師、栄養士、理学療法   士、ソーシャルワーカーなども協力して、がん患者、家族の問題解決を援助する専門チームです。
   モルヒネは痛みあるとき使えば中毒になることはない。
   副作用がひどくて、モルヒネが使えない人には フェンタニール、オキシコドンなど、よく効く鎮痛剤がある。
 3. 都道府県は 全病院と医療機関の情報を ホームページに来年4月より、掲載することになった。
   掲載されるデータは 診療日、診療時間、医師の略歴、医師の研修プログラム、安全委員会の有無、このほか
   患者がセカンドオピニオンを希望する際にカルテや患部の画像などの診療記録を速やかに提供する体制が
   整っているか、他の医療機関との間で患者受け入れや情報交換をしているかなども盛り込みたい考え。
   一方、医療事故には行政処分制度があるので、公表は消極的。
 4. がん対策費は 来年倍増を予定。
   6月の「がん対策基本法」が成立したことを受けて、厚生労働省は2007年度予算として 本年度の予算の2倍近い
   303億円を要求した。地域格差を是正するために拠点病院の機能の強化、緩和ケアの充実、国立がんセンターから
   専門チームを派遣して実地指導するなど、地域の治療のレベル向上を目指す。
 5. がんの新しい検査法 マイクロ泡による超音波検査
   1つ泡は直径数ミクロンで 赤血球より小さい。泡の膜には脂質やたんぱく質を用い、中のガスにはフッ化炭素のガ    スや空気など無害な素材で作られている。注射液 1ml の中に 8~10億個含まれ、静脈から注射すると 血流に
   乗って、全身をめぐり、肺での気体交換などにより、30分程度でなくなる。診断できるのは約10分間。この泡血流
   で、肝臓を超音波写真を撮影すると、がん患部は白色となり、明確に撮影できる。
   東京医大教授森安史典氏と東芝メデカルシステム(栃木県大田原市)が共同で、マイクロバブルに対応する超音波
   装置の開発、応用を目指してきた。患者の注射量は体重 1kg 当り 0.015ml で、腕の静脈から注射(体重50 kgでは
   0.75 ml) 現在まで 正しく診断できた割合は 89% (使用しないときは 68%) 肝臓がんに有効。
 6. 「がん難民」推計68万人で、年間5,200億円がかかり増しとなっていると推定
   「がん難民」とは 複数の医療機関を渡り歩いたり、「治療が尽きた」と言われてもなお最新の治療法を探したりする
   がん患者を言う。背景には地域や医療機関によって、医療水準に格差があるためである。納得できる治療を求めて
   悩んでいる「がん難民」はがん患者総数(128万人)の53%で、全国で推計約68万人に上ることが 日本医療機構(代    表理事 黒川清 前日本学術会議会長)の分析で分った。調査は2005年1~6月、約30のがん患者会やインターネット
   を通じて実施。がん患者1,186人の回答を分析した。これまでにかかった保険診療費はがん難民が平均141万円、
   それ以外は 96万円、自由診療分や健康食品代などを加えた総医療費はそれぞれ、305万円と 176万円だった。
   同機構は 「がん難民」を 100%解消すれば 年間約5,200億円の医療費が削減できると推定している。2006.12.9.
 7. 分子標的抗がん剤
   肺がんのイレッサ、乳がんのハーセプチン、悪性リンパ腫のリッキサン、慢性白血病のグリベックなどが分子標的抗    がん剤で、従来の抗がん剤とは少し異なっている。従来の抗がん剤は細胞毒性抗がん剤で、正常細胞も攻撃する。
   口内炎を起こしたり、白血球数を減少させたりする。例えば乳がんタンパクにHER2(ハーツー)が多い。乳がん細胞の   表面にはHER2(ハーツー)の受容体というスイッチがある。この受容体をブロックすることにより、がん細胞の活動を
   止めることが出来る、このブロックするのがハーセプチンだ。しかし、このハーセプチンは毎週点滴が必要です。そして   1本、8万円だ。現在は術前術後に使用すると効果的だ。このハーセプチンの臨床試験の責任者 渡辺亨(渡辺医院
   、浜松エンコロジーセンター院長)先生は 2007年2月、公開講座「抗がん剤治療」を予定。
   イレッサ(イレッサゲフィチニブ)は現在、副作用により、訴訟が起こっている。副作用というのは 間質性肺炎を引き起こし    て死亡することが多いからである。南谷佳弘准教授(秋大)はイレッサを使用するとき、医師と患者との話し合う必要がある    と話している。
 8.「がん対策情報1」に載せていた後藤幸子さん、旧姓原 幸子のネームで、大仙市より、県議選に立候補し、激戦の中
  トップ当選を果たした。今後の活躍を期待したい。

 9.秋田大学付属病院に 新しいPET設備を来年県費で設置。拠点病院のため。2007.6.6.

 10.厚生労働省「がん対策推進協議会(会長・垣添忠生日本対がん協会会長)は 5月30日、「10年以内に75歳未満の
   がん死亡率20%減」などを柱とする政府のがん対策推進基本計画案を大筋で了承した。ポイントは次の通り。
   全体の目標 1.10年以内に75歳未満のがん死亡率20%減。2.がん患者・家族の苦痛軽減と生活の質の向上。
   重点課題 1.放射線療法、化学療法の推進と専門医育成。2.治療初期からの緩和ケア。3.がん登録の推進。
   個別目標 1.10年以内にがん診療に携わる全医師が緩和ケアの基礎知識を習得。2.未成年者の喫煙率を3年以内    に 0%に。3.乳がん、大腸がんなどの検診受検率を5年以内に50%に。4.住み慣れた家庭や地域で療養できる患者数   の増加。5.抗がん剤など新薬の販売までの期間を5年以内に2年半短縮。

 11.東北に 「がん診療連携ネットワーク協議会」設立 2007.6.30.
   東北六県の拠点病院などが協力して、関係機関が仙台市で会合を開いた。「地域格差」があるとされるがん診療の
   レベルを均質化させ、がん死亡率が高い東北地方の状況改善を目指す。この日は病院や各県の約30機関の約60
   人が参加。1ヵ月後をめどに協議会を設立することを確認した。がん患者がどこに居ても最適な医療が受けられるよう   に、医療機関が情報を共有し、患者に提供することが狙いだ。

 12.秋田大(三浦亮学長)は北東北 4大学(岩手医大、岩手県立大、弘前大、秋田大)で、「北東北における総合的がん専   門医療人の養成」のテーマで、文部省の「がんフ゜ロフェショナル養成プラン」に共同申請、採択された。2007.8.1.
   全国で 22件の申請で 18件が採択され、期間は 19 ~ 23年の 5年間。
   計画では A.専門医師養成コース 大学院の博士課程で専門的な知識、能力を習得する。B.コメデカル養成コース
   看護師や薬剤師などを対象に教育を行う。C.インテンシブコース 中核病院の医師や開業医など専門医向けに 最    新の情報や技術を提供する。各コースでは内科系、外科系と言った、従来のの診療科目の枠を超えた臓器別の
   縦断型講義などを計画、いずれも共通カリキュラムや遠隔授業などを通して交流、単位互換で連携する。
   専門医師養成コースの場合、秋田大は化学療法と緩和ケア、弘前大は放射線と緩和ケア、岩手医科大は開発型臨   床試験など得意分野で役割分担。秋田大の本橋豊医学部長は「北東北はがん医療改善の緊急的な取組みが必要   な地域。広大の医療圏やスタッフの慢性的不足といった課題を今回のプランの推進で改善し、がん死亡率低下につ   なげたい」と話している。H17年の人口動態統計によると、北東北のがんの死亡率は全国ワーストの本県 337.8  を
   筆頭に 青森県 305.9( 全国 10位)、岩手県 296.4(同 12位)。日本臨床腫瘍学会によると 北東北でのがん専門医   は 岩手県の1人だけ(一日現在)。専門医を指導する立場にある暫定指導医は本県は 2人、青森県 2人、岩手県
   4人 となっている。

 13. 県がん登録者 2007.8.22.
    県地域がん登録委員会は 昨年 7月に発足。10月、732医療機関に患者登録票を発送。今年 4月で締切った。
    308医療機関(病院 37 医院 271)から届出があり、患者数は延べ数 6002例。
    登録患者 男性 3,265人 女性 2,234人 合計 5,499人
    年齢別では        部位別では              発見経緯別

50~59歳  799人 14.5%
60~69歳 1,245人 22.6%
70~79歳 1,953人 35.5%
80~89歳  958人 17.4%

                                        症状受診 2,223人 40.4%                                                          他疾患観察中1,114人 20.3%                                                        不明 1,070人 19.5%                                                              がん検診 433人 7.9%
                                        健康診断ドック 428人 7.9%

1,375人 25%
大腸 1,207人 21.9%
前立腺  452人 8.2%
気管・肺がん  449人 8.16%
乳がん  430人 7.8%

 14.病院別、がん生存率 公表
   全国のがん治療の中心的な病院が加盟する「全国がん(成人病)センター協議会」は 2007.10.5. までに加盟施設ご   とに胃、肺、乳、大腸の各がんの治療五年後の生存率をまとめ、一部は施設名を含めて公表。

  

   胃がん 五年生存率   肺がん 五年生存率
国立がんC中央病院(東京)  84.1% 大阪府立成人病C  55.5%
大阪府立成人病C  81.3 四国がんC(愛媛)  45.9
神奈川県立がんC  76.4 千葉県がんC  44.5
兵庫県立がんC  76.1 栃木県立がんC  43.6
県立がんC新潟病院  76.0 県立がんC新潟病院  42.4
山形県立中央病院  73.8 兵庫県立がんC  38.7
栃木県立がんC  71.4 神奈川県立がんC  36.4
福井県立病院  70.9 宮城県立がんC  30.0
四国がんC(愛媛)  70.3 北海道がんC  27.8
千葉県がんC  69.8 国立がんC中央病院(東京)  65.7 #
宮城県立がんC  69.1
群馬県立がんC  67.5   大腸がん
茨城県立中央病院  65.5 大阪府立成人病C  87.6
呉医療C  62.9 山形県立中央病院  78.5
    乳がん 県立がんC新潟病院  68.5
群馬県立がんC  92.9% 四国がんC(愛媛)  66.8
県立がんC新潟病院  90.9 神奈川県立がんC  66.5
大阪府立成人病C  89.8 宮城県立がんC  65.3
北海道がんC  89.3 福井県立病院  63.8
千葉県がんC  88.0 国立がんC中央病院(東京)  75.7 #
神奈川県立がんC  85.9
四国がんC(愛媛)  83.2   C は センター
国立がんC中央病院(東京)  93.3 #   # は 手術症例のみ

 取りまとめた厚生労働省研究班の主任研究者で群馬県立がんCの猿木信裕手術部長は「生存率が平均より低かった施設は原因を分析して、診療体制の見直しに役立ててもらいたい。病院で医師に手術法などを相談する際の材料に活用してほしい。」と話している。加盟30施設のうち25施設を調査。1999年に初めて入院したがん患者について、患者数や追跡年数など一定の基準を満たすことができた施設の生存率を算定した。公表に同意した施設については施設名を明らかにした。胃がんでは 生存率が最も高かったのは国立がんC中央病院(東京)、最も低かったのは匿名の施設 45.5%  
 乳がんで 最も低かったのは 72.3% 肺がんの最も低かったのは 24.7% 大腸がんの最も低かったのは 63.8% である。ホームページに掲載している。URL http://www.gunma-cc.jp/sarukihan/seizonritu/index.html
  

2012.6.5.魁  がん治療認定医制度
  2人に一人が がんになる時代を迎え、「がん対策基本法」が2007年に施行された。それに伴い、がん治療認定医制度が
 スタートした。がん治療認定医制度は自分の専門分野の知識だけでなく、がんに関する幅広い知識や能力をもった医師を養 成するためにつくられた。その数は2012年4月現在 11,267人、東北地区 620人、秋田県 77人、今は拠点病院などに多い。
 その他の地区 北海道 556 関東 3632(東京都 1704) 中部 1797 近畿 2042(大阪府 1016) 中国・四国 1254 九州・沖 縄 1336 と 日本がん治療認定機構の今井浩三理事長は話している。
 日本がん治療医機構のHPで、能代山本のがん治療認定医は 山本組合病院の武田雄一郎、近田龍一郎、藤島裕樹と能代
 山本医師会病院の松崎郁夫の 4名である。

                   
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