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        自作 2wayスピーカー 製作編
   
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SPキットの個人輸入と洒落たはいいが、
予想もしなかった展開で周囲に笑い(嘲笑)を振り撒いたお茶目(ド阿呆)な自作スピーカー初心者は、
さもこれは当初の予定通りと言わんばかりの振りをして、
ハコの手配をすべく検索を始めるのでありました。

↑ 6月記す ↑
↓ 9月記す ↓


と言う事でかれこれ半年間、スピーカー製作に掛かりっきりでした。
4月に製作を思い立ち、高額キットを発注し、
5月は到着した荷物を見て「敦盛」を舞い、
6月は英語のマニュアルと格闘しつつ図面を引き、
7月は「憑き物」に取り付かれ、
8月になってようやく本格的に製作開始し、
9月に目出度くお披露目が出来たという、
興味の無い人が見たら、「人生の無駄遣いだぞ、お前」と切り捨てられそうな、
そんな無意味な自作スピーカー製作記、
とくと御笑覧あれ!

 

キャビネット 発 注 編


もちろん「North Creek」で紹介されているキャビネット製造会社で購入するのも手ですが、
それも癪です。 (笑
まずは、国内のキャビネット製造会社を探してみましょう。
うーん、あることは有りますが、やはり金額的にお高いようです。
でも、さすがはプロの仕事。その美麗さは桁違いです。

ここは本来の予定通り、自分で組み立てるべく板材のカットを業者さんに依頼しましょう。
設計図は同梱されていますし。
設計図によると、部材はMDFと合板の2種類を使うようです。
厚さは38ミリ(表板)、29ミリ(裏板)、19ミリ(側板、内部補強板)の3種類です。
日本式の自作SPボックスからすると、板は厚めを用いるようです。
内部補強板も4枚入りますし、止めに側板内部の壁塗りもあります。

この頑丈な造りは極力箱鳴りを防ぐ為でしょうか。
さすが米国、SPボックスにも核シェルター級の耐久性を求めるようです。
某国のミサイルで家屋が破壊されても、North CreekのSPだけは瓦礫の中で無傷でしょう。

一通り翻訳、意訳して作業の流れが把握出来ました。
幾つか、制作する上で困難そうな箇所にも気付きますが、まずは先に進みましょう。

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最初は設計図の引き直しです。米国の設計図ですから全てインチ表記です。
「1・1/8インチのMDFで、縦4・7/8インチ、横3・7/16インチ」なんて設計図じゃ、業者さんに怒られそうです。
それにしてもこのインチ表記、「3/8」とか「9/16」とか「31/32」とか、
これで長さを理解できるとは、米国人恐るべしって感じです。

ちなみに、1インチ=25.4ミリとして、31/32インチは何ミリか電卓で求めます。
全ての寸法をミリに換算し、設計図に記入し終えたら、
コンマ以下の端数を切り捨てるなり、切り上げるなりしておきます。
自分で算出した数字を設計図に記入したら、それを元に頭の中で組み立ててみます。
あちこちにズレが生じていますので、しっかり修正しておきます。
修正が終わり、正確な寸法が決まったら、カットを依頼する為の設計図を描きます。

同時進行で板材販売とカットしてくれる業者さんを探していますが、
38ミリなんて厚さのMDFを扱っているお店は見つかりません。
あっても30ミリまでのようです。
MDFを2枚張り合わせ厚さを確保する方法は、初心者には難しそうです。ズレたらアウトですから。

そんな中で「 日曜大工応援隊! 」さんがMDFを扱い、
30ミリの厚さのパイン集成材を扱い、設計通りのカットをして頂けるようです。
30ミリのパイン集成材はMDFに比べ価格的に割高ですし、
少し薄めの板になりますが、手間は掛かりません。
ここは手間の掛からない、確実な方法を選んでおきましょう。
設計図では38ミリのフロントバッフルに、
更に19ミリの中板を貼り付けるよう指示されていますから、
ここは少し位薄くても勘弁な、です。
それに、MDFとパイン集成材の音の違いなんてコダワリは、私にはないですし。

設計図を描きながら思うことは
「このハコの加工、かなり手間が掛かるな」ということです。
加工箇所が増えれば、それだけ金額にハネ返ります。

設計図が完成したところで、ひとまず「日曜大工応援隊」さんに見積もりを依頼してみましょう。
他の方のスピーカーの依頼例では数千〜2万円程のようです。
3万円程度で納まればいいんですが…。

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後日、メールで見積もりが届きました。
なんと、総額7万円強!
う〜ん、現実は厳しい。
それだけ四角穴やR加工の手間が掛かると言うことでしょう。
この価格なら米国のキャビネット製造会社の綺麗な仕上がりのキットを個人輸入しても変わりはなさそうです。
自分で加工出来れば材料費程度で収まるでしょうが、加工する為の機材がありません。
前回、「今更5万、10万のお金〜」などと大見得を切ったものの、安いに越したことはありません。
もう、十分貧乏ですから。
ここで国内のサイトさんの作例を参考に作っちゃおうかな、なんて思い始めます。
その前に、地元で木材を加工する方法は何かないか、一縷の望みを託し検索してみましょうか。

おぉ!
検索はしてみるもんです。真空管アンプは作ってみるもんです。
あまり期待していなかったのに、見つかったではありませんか。
その名も「 木の学校 」さんです。
何か分かりませんが、機械がいっぱい揃っています。時間単位でそれら機械を使用できるようです。
使用料金もお安い。この設備を利用できたら一気に金額を圧縮できそうです。
自分で汗を流してこそのD.I.Y。
今頃になってようやく自作の真髄に気付くとは・・・。

それにしても恐るべきはインターネットと検索エンジン。
これらのお陰で、遥か海の彼方の、その存在すら知らなかったメーカーさんを訪れ、商品を購入し、
地元のご近所さんの、自分の知らなかった活動を知る。
こんな凄い発明なのに、何でノーベル賞とか上げないんでしょ。
って関係ないですね。

後日、木の学校さんを訪ね、設計図の加工が出来るか確認した所、
コーナーの面取りRのサイズなど、多少の変更は必要ですがほぼ可能のようでした。
これで経費を大幅に節約できそうです。
日曜大工応援隊さんに、材料費とパイン集成材の加工
(ユニットが面一になるよう、落し込む為の溝と、ユニット用大穴)で、再度、見積もりをお願いしましょう。
結果、2万円ちょっとの見積り額でした。これでGOサインです。

一時は、日本式の合板21ミリ厚の設計にし、
ホームセンターで合板を購入し自分でカットすれば、かなり安上がりに作れると目論見ましたが、
密閉性に難有りと判断し取り止めました。

それに元設計図は、
あの気合の入ったネットワークを設計しているメーカーさんのものです。
ここはひとつ
「見せて貰おうか。米国のオーオタの才能とやらを。」
と、内壁の壁塗りを含め、極力元設計に近い形で造ってみましょう。

造るのはかなりしんどそうですが。

 04年06月

 

キャビネット 製 作 編

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カット材が届くまでの2週間、「情熱の真空管アンプ」をじっくり読む時間ができました。
読んでいたら「球アンプが作りたくて作りたくてたまんねーぜコノヤロ!」モードに突入です。カット材が届いても、SPそっちのけで球アンプを作るべく悶々としています。
結局、7月は大の漢が夜の夜中にタマを握り締め、一人ハァハァしていたという、「人の道を踏み外しているぞお前」状態でした。衝動的に部品を揃えたこのアンプ、一体どうなることやら…。そして恐るべきは情熱本、読む者を一気にめくるめく悦楽の境地へ誘ってくれます。 

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8月になって漸く「憑モノ」も落ち、SP製作の意欲が湧いて来ました。やれやれ。
憑モノも落ちたところで、3回程「木の学校」へ通い、やっとカット終了です。使用した機械は、ボール盤、万能糸鋸盤、トリマーの3種でした。総額700円位でした。
人様に頼めば5万円相当の作業も自分で汗を流して700円。その代わり、アップには耐えられない仕上がりです。ま、自分でカットした部分は表に出ない部分なので構わないでしょう。
それにしても、糸鋸盤で直線も満足に切れない自分が嫌になります。(笑

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これはリアパネルとリア補強板です。付属の小冊子によればDamping LayerとしてSoft Glueで張り合わせるとあります。で、このSoft Glueってのは本来同梱されているはずのものですが、私の荷物には入っていませんでした。メールで問い合わせてもしっかり無視されてます。米国の業者は冷たいです。もっとも私のヘボ英語では、スパムメールと判断された可能性もありますが。
しょうがないんで「軟らかきゃいいんだろ」と、シリコンシーラントで貼り付けてます。大丈夫でしょう、たぶん。
上の重石はブロックではありません。愛用のSP台です。

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これはフロントバッフルとフロント補強板です。この部分もDamping LayerでSofu Glueなんですが、ここはSPユニットの荷重も掛かるので、真っ当な「軟らかい接着剤」で貼り付けることにしました。
接着剤のことならやはりここでしょう、ご幼少の砌お世話になったセメダイン社のHPを訪ねました。
「弾性接着剤・PMシリーズ」というのがありましたので、これを用いました。確かに軟らかです。大丈夫でしょう、たぶん。
ユニット孔が微妙に歪んでいますね。
んー、いい味だしてます。

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内部補強板も2枚入り、ハコらしい形になってきました。
接着は木工ボンドではなく、タイトボンドを使用しました。結構強力のようです。タイトボンドで検索していたらウクレレを自作するHPに当たり、「ウクレレって自作するもんなのかー。」と妙に感動。でもこのHPをフツーの人が見たら、「スピーカーって自作するもんなのかー。」って思うんでしょうかね。
この補強板の張り付け位置も指定されていますが、マニュアルと小冊子では寸法が微妙に食い違っているようです。こんな場合はマニュアルを優先すべきなんでしょうね。

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マニュアルによれば、フロントバッフルとフロント補強板は、表面からグリルの取付金具の穴を利用してネジ締めをするとありますが、私はグリルは付けないので、表面からネジ締めするとネジ頭が露出し美観を損ねることになります。
そのため、裏からネジ締めしています。ここあたりの作業手順はマニュアルと違っていますので、ご注意を。
グリルを付けない場合、あらかじめフロントバッフルの作業を全て行っておく必要があります、おそらく。

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本来はキャビネット部分が出来てからバッフルをネジ締めするようですが、上記の変更により、キャビネットへの貼り付けは自分で工夫しなければなりません。
フロントバッフルが側板や天地板と密着するタイプなら何の工夫もいりませんが、指示によれば3ミリ隙間を開けろとあります。つまりキャビネットに接するのはフロント補強板のみです。バッフルの荷重が加わりバランスのとれないフロント補強板をどうやって3ミリ浮かして固定するか。「そんな高度な技術、俺には無いぞ!」と思っていたら、「ベニヤ板でも挟んで隙間開ければ?」という原始的な方法が閃きました。
ま、結果オーライってことで。

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あとは側板1枚残すのみです。ここで今後の作業手順を検討しておきましょう。
まずは吸音材です。日本式のバスレフ設計に比べ、量は多めという印象です。なんか密閉型に近い分量のような。
これでいいのか不安になり検索してみます。うーん、「吸音材など使わん!」という猛者もいらっしゃるようです。
更に検索すると、「戸澤式レゾネーター」やら「カーボンハット」やら、ますます混迷の度を深めます。
さんざん悩んだ挙句「ま、いいや。オリジナルのままでいこう。」という結論に。
だったら最初から悩むなよ、俺。

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続いてネットワークの設置を検討です。
ネットワークの取付は最後ですから、挿入口はウーファー孔とリア下部のバックカップ取付部しかありません。慎重に挿入しないと、ウーファー部分が接着剤で汚れてしまいそうです。また、底に置く大型コイルも、径が極太の為取廻しが難しそうです。予めネットワーク基板との距離を測って長さを調整しておいた方が良さそうです。この上に吸音材が被さるので、配線材の取廻しルートも検討しておいた方が無難です。
指示によれば、ネットワーク基板は左右にside by sideで置くとありますが、補強板が微妙に引っ掛かり、左右には置けません。補強板の中央孔は、あと3ミリ程大きく開けた方が良いようです。
仕方ないので、上下にside by sideで配置しましょう。大丈夫でしょう、たぶん。

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ネットワークをウーファー孔から覗き込んでみました。
この構図は見たことがあるような…。マトリックス構造?それっぽいってだけで、効能は別でしょうが。
ユニットの取付に鬼目ナットとやらを使おうかとも思いましたが、止めました。理由は「俺は頻繁にユニットの取外しをするようなマニアじゃない」です。
ネットワークは外付けにしようかと思いましたが、止めました。理由は「俺にはCやLを弄る知識が無い」です。でもウーファーの音圧の影響を考えると、外付けがいいのかも。それ以前に、この重量級ネットワークが見えると、このSPはいかにも音が良いと自己満足が得られるから、やはり外付けにすべきかも。
リアパネルもネジで取外しが出来るよう(以下略)

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このキャビネットの白眉、内壁のゲル塗りです。
指示によればSoft GlueにDrywallを混ぜ合わせるようですが、田舎のホームセンターにはDrywall Compoundなんて売っていません。有るのはセメント、石膏、京壁位です。「固める粉ならいいんだろ」と、シリコンシーラントとセメントを捏ね合せてみました。
大丈夫でしょう…かね?これは自信が無いです。
京壁の方が良かったかな。いや、京壁だとぽっくり履いた舞妓さんが音像の中心に定位するかも、なんて。
平行面を無くそうと荒く塗ってみました。また指示にはありませんが、四隅も密閉性を高める為塗ってみました。効果は…少しは期待出来るでしょう。

Cr11.JPG ハコの形になりました。いよいよ塗装です。
下地処理として、やすり掛けが必要のようです。このままでも十分綺麗なので必要ないのでは?と思いつつ行うと、更に滑らかな表面になりました。
やすりは、100円ショップ「ダイソー」にあったスポンジヤスリというものを使いましたが、なかなかのアイデア商品です。
しかし、はみ出たボンドは拭き取っても膜の様に固まっていて、余程目の粗いやすりでないと削り落とせないように思います。
オイル系の塗装で仕上げる場合は、はみ出たボンドの対処も考える必要がありそうです。
例えば、マスキング・テープを使うとか。これだと一直線になるので、オイル塗料が染みなくても綺麗に見えそうな気が。
Cr12.JPG 塗料は「 ワトコオイル 」を使用しました。「濡れた様な深みのあるウェットタッチ」と言う宣伝文句にグッときたので。(笑
当初はマホガニー一色の予定でしたが、エボニーという黒っぽい塗料もあったので、衝動的にツートーン・カラーに仕様変更です。
でもMDFに塗ってみると、安っぽいこげ茶色です。しかもMDFは塗料を吸いまくり状態!即、塗料が尽きて塗りムラが。…合掌…
塗料が十分なら綺麗な黒になったのかも知れません。MDFに使用する際は、漢は黙ってリッター缶を購入でしょう。ケチるとロクなことはありません。
背面は塗料不足で斑模様です。底面は塗ってもいません。悲惨な塗装初体験となりました。
Cr13.JPG 正面のマホガニーは、それなりに綺麗に仕上がりました。 
いよいよ大詰めです。
あんまり地味すぎて写真に撮っていませんが、ネットワークの固定はかなりアクロバティックな技量を要します。私がヘボなだけかも知れませんが。
ボリューム満点の吸音材を詰め、最後はユニットの取り付けです。
ウーファー孔の縁が白いのは、パッキン代わりにシリコンシーラントを塗っている為です。
また、ツィーター孔には2ミリ厚のコルクシートを敷いています。
理由は私の計算ミスにより、2ミリ余分に深い孔を指示していた為です。唯一のミスがこの程度で済んで良かったかも。

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おぉ〜! 素晴らしい! 美しい!!

いや、誰も言ってくれないんで、自分で言っときます。

そもそもの発端は、「DS-77zの高音域が綺麗に聴こえない」から始まり、
今回の自作に至った訳ですが、結論から言うと「十分満足」な音で楽しんでいます。
高音域がすっきり、くっきりと綺麗に聴こえるだけでなく、
低音域も、DS-77zでは聴こえなかった音が響きます。
まぁこの低音は、低域ダラ下がりの密閉型に対する、低域盛り上げのバスレフ型という、
キャビネット方式の違いによるものかも知れませんが。

高域も低域も「Borealis North D-28 Unlimited」が優れているとなると、
「DIATONE DS-77z」の面目丸潰れ状態ですが、ひとつだけ優れていると感じる点があります。
それは「音のメリハリ感」。ノリが良いとか、適度な誇張感があるという感じです。
「メリハリのある音」なんて、嫌いな人は嫌いなんでしょうが、
私はそんな音が好きなんだと、改めて気付きました。
じゃあDS-77zのコンデンサの交換、やってみる価値はあるのかも。

もうひとつ気付いた点は、アンプとの相性?についてです。
DS-77z+6BM8超三結アンプでは、
他のアンプとは明らかに異なるその独特の低域再生音を聞くことが出来ましたが、
D-28+6BM8超三結アンプでは、
他のアンプとはちょっと違うかな、位の印象にしかなりません。
これは、ユニットの違いによるものなのか、
ネットワークの違いによるものなのか、
キャビネットの違いによるものなのか、
作った人間がヘボだったからなのか、
は不明です。

故にKT-88超三結アンプによる検証が待たれます。
って、誰も待っていないでしょうが、私が待ってます。

じゃあ、さっさと作れよ、俺。

 04年09月完成

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