死因不明社会

 講談社、海堂 尊 著の上記書名の図書を拝見した。その要点をここに記録しておく。
 要旨 日本では 毎年約100万人以上死亡している。そのうち解剖に付されているのは 約3万人で、約2%に当たっている。残りの98%は 正確な死因を究明されず、火葬にされていると 筆者は主張している。犯罪性がないと判断すると 殆どが医師が推測で死亡診断書を作成しているのだと言う。そのように言われると 死亡診断書には医学的に解明された死因は殆ど記述されていない。死因を学問的に究明しようすると、解剖が必要だが、その費用は25~50万円位で、この費用は国保からは支出できない。犯罪に基づく司法解剖以外は病院や個人の支出となるという。また、遺体の解剖は損壊を伴うので、家族や親族が嫌うためでもある。そんなことで、真の死因が解明されにくいという。
 しかし、現在の日本は医療機器の進歩がめざましく、CT(コンピューター断層撮影)に CAD(コンピューター画像診断支援システム)を搭載すると 頭から足先まで 一体当たり 3000枚(0.1mm厚さで)撮影し、臓器画像を復元すると、臓器の病変を解剖せずに、殆ど分るという。それでも不明な時だけ 解剖すればよいと主張している。今のMRI(磁気共鳴装置による映像取得法)は化学物質の成分分析が可能になったという。
 遺体を傷つけることなく(非侵襲性)、内蔵を鮮明に映像化できるCTは 日本が世界一の普及率となっている。

 日本で初めての Aiセンター(解剖画像センター)は 千葉大学医学部(放射線 山本正二医師担当)が誕生した。
 2007年8月

 厚生省は 新型インフルエンザの対応、肝炎訴訟、などても 医学的、科学的にも疑問に思うことがあります。この筆者はその点を強調されている。即ち医療技官の怠慢と研究不足を指摘した。

  追記 1.2010.8.25. 海上保安庁は 来年度から「海で見つかった遺体について CTやMRTで、死亡時画像診断(Ai)を
      導入することを固めた。

    医療の頁へ         最初の頁へ