認知症の概要

 このページには 認知症(痴呆症)の概要を載せておく。認知症と介護、認知症と自殺との関係を考察する必要がある。
 痴呆症は 2004.12.24.付けの厚生労働省の通達により、認知症という用語を用いる。

 痴呆の8割はアルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆に分けられる。
 1.アルツハイマー型痴呆(変性性痴呆症)
   脳の実質の変性により、神経細胞が脱落し、脳が萎縮して生じる。代表的な病気がアルツハイマー型痴呆。
   アルツハイマー型痴呆の場合、原因についてはまだ明らかではないが危険因子についてはいくつか分っている。
 2.脳血管性痴呆症
   脳梗塞や脳出血などによって脳の神経細胞に酸素と栄養が行き届かなくなり、障害が起こる。梗塞や出血の程度
   が大きくければ一度の発作で痴呆が生じるが自覚症状がないような小さな発作を繰返すうちに神経細胞が広範囲    で傷つけられ、やがて痴呆が起こる。脳梗塞、脳出血の原因となる脳動脈硬化をまず防ぐことが肝心。そのほか
   高血圧、高脂血症、糖尿病などいわゆる生活習慣病も危険因子に数えられる。

 3.アルツハイマーと脳血管性痴呆との違い
   

アルツハイマー 脳血管性痴呆
発症しやすいのは?  女性に多い 男性に多い
進行状況は ? なだらかに進行する 発作などにあわせて階段的に進行する
神経症状出るのか 神経症状は少ない しびれやマヒ、動きの低下など伴う
物忘れの自覚は 物忘れの自覚は失われる 初期は物忘れを自覚している
人格は ? 人格が変わることもある 人格は保たれやすい
画像診断で分ることは ? 画像診断で脳の萎縮が分る 画像診断で梗塞などの病巣が分る

 4.痴呆のきっかけの様々
    痴呆を発症したり悪化させたりする主な理由は 病気によるものと、心理的な動揺や喪失感などが考えられる。

  A. 病気が原因と考えられるもの
     痴呆の症状を招く病気はいくつかあり、中には原因となる病気を治療することで痴呆の症状も改善されるケース
     がある。まずは原因を見つけて正しく対処することが肝心。
    @ 脳の変性によって起こる痴呆症
       アルツハイマー型痴呆、びまん性レビー小体病、パーキンソン病など
    A 脳血管性痴呆
       大・中梗塞性痴呆、脳出血性痴呆など
    B 混合性痴呆
       @ と A が合わさったもの
    C 感染性の病気による痴呆
       進行まひ、エイズ脳症、単純ヘルペス脳炎、脳梅毒など
    D 代謝性・内分泌性の病気による痴呆
        肝性脳症、低血糖性脳症、甲状腺機能低下症、ダウン症など
    E 外傷性の病気による痴呆
       外傷性脳挫傷・慢性硬膜下血腫、ボクサー脳症など
    F その他
       脳腫瘍、正常圧水頭症、一酸化炭素中毒など

       びまん性レビー小体病びまん性レビー小体病  レビー小体という特別の組織が神経細胞の中にたくさん
          できる。物忘れで始まり、幻視や妄想を起こしやすく、早期に手足のこわばりや動作の鈍さが見られる。
       パーキンソン病   脳神経の障害と考えられ、手足のこわばりや手足の震え、動作が極めて鈍くなる。

  B.  不安定な心理状態などによるもの
      痴呆症の発病や悪化には心理的な影響も大きく関わっている。
    @ 親しい人との死別や退職や引退、
    A 住み慣れた土地からの引越しなどによる生活環境の変化に対応しきれず、寂しさがつのたったり戸惑いや
       不安が高じて痴呆症のきっかけになるもある。
    B その他、服用している薬の量が多すぎることで物忘れや注意力散漫、物覚えが悪くなるといった痴呆に似た
       症状が出てくることも。

  C.  治る可能性のある痴呆症
      痴呆の症状が出てくると「もう治らない」と諦めがちだが以下の例のように治る可能性のある痴呆症もある。

  

慢性硬膜下血腫 頭を打った際血管が切れ、1~2週間かけてゆっくりと硬膜とくも膜の間に血液がたまる
病気。たまった血液(血腫)が脳を圧迫して頭痛、吐き気、手足のマヒに続いて物忘れ
などの痴呆症が現れる。たまった血腫を手術で取り除くと痴呆の症状が改善される。
甲状腺機能低下症 甲状腺疾患が原因で記憶障害や意欲の低下が見られる痴呆症。甲状腺ホルモンを
服用することで改善される。
正常圧水頭症 頭蓋骨の中の脳脊髄液が何かの理由により流れが悪くなってたまり、脳を圧迫する
ことで起こる。歩行障害や痴呆の症状を表すが最近では効果的手術によって症状を
改善させるケースも増え、注目が集まっている。

    この内容は www2.health.ne.jp/librar/  による

  秋田県は平成13年4月、県立リハビリテーション精神医療センターに「物忘れ外来」とリハビリテーション科で管理する
  認知症病棟が開設している。同科長は下村辰雄で、鹿角市出身、秋田大学医学部卒業、兵庫県立高齢者脳機能研   究センター付属病院神経内科医長などを経て、現職、52歳 2008.1.28.

  高齢社会に伴い、認知症患者が増えている。65歳以上の 7.5%が認知症と言われている。秋田県は 65歳以上の
  割合が 28.6%で、全国 2番目の高さである。それで推定すると、認知症高齢者は 2万3千人になる。しかし、それに
  対する県の医療体制は不完全という。県立脳血管センター神経内科学研究部長長田乾(けん)、1953年、平塚市
  出身、弘前大卒、米コロラド大留学等、現在、県医師会認知症等診療ネットワーク委員長。
  当面は かかりつけ医と専門医との連携に努力したいという。2008.2.2.
    私は 都会と農村とどちらが高齢者の認知症の罹患率が多いか興味を持っている。私の予想では農村型が
    少ないと考えている。それは農業は人間の主体性が保持されているが都会は仕事が分業化され、人間の
    主体性が保持されにくいからである。しかし、都会でも退職後趣味の世界に活きて、輝くことができるので、
    そのような人は認知症には罹りにくいと考えている。

  認知症の予兆として、次の点を上げている。 1.日付や場所を正しく識別できなかったり 2.作り話をする。 3.その場
              しのぎの返答で取り繕う。
  「認知症サポート医」の養成事業を 厚生労働省は 2005年から立ち上げた。この「認知症サポート医」には
  秋田県では 長田乾医師を含めて、2名だけという。2009.3.14.魁

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