この頃の移植の現状
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是非ご入会下さい。(お問い合わせは マサ まで!)


2002年2月10日
【再生医療】
 各臓器の種子といえる幹細胞の実体がほぼ解明され、一つの幹細胞から細胞レベルでの再生が見えてきた。おそらく10年後位には臓器の幹細胞からその臓器を再生することが可能になり、20年後には他の臓器の幹細胞からどんな臓器でも再生できるようになるとの展望が示されたそうです。。その前に細胞単位の再生から、現在ようやく実用化の目途が立ちつつある皮膚や器官の再生が行われることでしょう。臓器移植の関係から言いますと、脾臓移植に代わる脾島(ランゲルハンス島)の移植が一番初めに実用化されるのではないだろうか。

【免疫寛容】immunologicaltolerance
 移植後に免疫抑制剤を中止しても、移植した臓器である、心臓や肝臓、腎臓が働くという話。

 免疫抑制剤の副作用を心配しなくて良くなりますし、医療費の軽減に繋がります。
 これは現在アメリカ、ヨーロッパの極限られた施設で試みられています。最初の1ヶ月位、いわゆる普通の免疫抑制剤であるステロイド・シクロスポリン・ネオーラル・タクロリムス・そして代謝拮抗剤であるセルセプトを多めに投与して、その後1ヶ月から6ヶ月で免疫抑制剤をすべて中止するというやりかたです。
 今までもつまり、20年、30年前からこういう試みはいくつかの移植施設でされてきたのですが、あまりうまくいっていないのです。それは何故か?原因は2つあります。
 1つ目は、やはり1ヶ月から6ヶ月で免疫抑制剤をすべてやめてしまうと、いわゆる急性拒絶反応が起こってしまって駄目になる。
 2つ目は一旦うまく免疫抑制剤ゼロになっても、人間は色々なところへ行って、(いろいろな抗原刺激という)食べたり、人に会ったり、旅行をしたりして刺激を受けて、一旦達成した免疫寛容、つまり薬である免疫抑制剤を使わなくても移植した臓器が拒絶反応なしに働いているという状態がまた元に戻ってしまって慢性の拒絶反応が起こるという場合がある。
 特に慢性拒絶反応というのがほぼ全例で起こるので今までは駄目でした。しかし、新しい免疫抑制剤であるモノクローナル抗体が開発されてから格段の進歩がありました。(日本ではまだ行われていない)
 新しい種類のモノクローナル抗体が何種類か開発され、それを今までの免疫抑制剤と一緒に使うことにより免疫寛容が達成されることがわかってきました。あるいは、提供者(ドナー)の血液細胞を先に移植して、免疫寛容を達成するいうことが、小動物のラットとか大動物であるブタの実験ではほぼ成功しています。同じほ乳類で成功しているので、人間にも当てはまるのではないかと言われています。
 しかしまだまだ実験段階で、長期的に見ていかなければならない実験です。成功して実用化になるまでには、まだ時間がかかるでしょう。しかし、世界の大きな流れとして行われようとしている事だけは確かです。

【新しい免疫抑制剤】FTY720
拒絶反応を起こすリンパ球が、移植した臓器にやってくる動きを押さえてしまう薬。只今アメリカで臨床実験中。日本で使われるにはあと2〜3年はかかるでしょう。
 今までの、タクロリムス、シクロスポリン(カルシニュリン拮抗剤)の免疫抑制剤としての効果とは別の形で活躍が期待されています。使い方としては、合併症が心配されるカルシニュリン拮抗剤を減らして補うことによって、合併症を減らす事が出来ると期待されています。   (JTR日本移植者協議会会報より抜粋)


2002年1月10日
【腎臓移植希望者の選択基準が変わりました。】
(社)日本臓器移植ネットワークのコンピューターソフトの更新が終わり、本年1月10日から新しい選択基準が適用されました。 以下の通りです。

1.前提条件
 (1)ABO式血液型の一致
 (2)リンパ球直接交換叉試験(全リンパ球叉はTリンパ球)陰性

2.優先順位
 (1)搬送時間(阻血時間)
    同一都道府県内を12点・同一ブロック内を6点
   ※移植希望者の登録地域は、移植希望施設の所在地(都道府県)とする
 (2)HLA型の適合度
    A座及びB座の適応数(ミスマッチ)数を優先し、0の時14点とする。
    DRにミスマッチが無い場合は、ミスマッチごとに点数を1点ずつ減ずる。
    すべてミスマッチを0点とする。
 (3)待機日数
    待機日数(N)が4014日以下:待機日数ポイント=N/365
    待機日数(N)が4014日以上:待機日数ポイント=10+Log1.74(N365.9)点
   注:もし10年待っているとして、ポイントは10点となります。
 (4)小児待機患者
    小児待機者(16歳未満)については14点を加算する。

3.以上点数が同一の場合は、臓器搬送に要する時間や医学的条件等の事項を考慮する。
 その他:C型肝炎抗体陽性ドナーからの移植はC型肝炎陽性レシピエントのみ対象とするが、リスクについては十分説明し承諾を得られた場合のみ可能とする。

【大きな変更点】
 HLAフルマッチの無条件での全国シッピングが無くなりました。
 これにより95%は同一都道府県で移植が行われます。
 意識の低い県ではなかなか移植が行われないのが現実です。皆様の地域に置かれましては更なる啓蒙活動に励まれ、
一人でも多くのひとが命の贈り物を戴き、元気に活動できるようになりますことを願っております。(マサ)


  97/5/10に聞いた話(^_^)/

 最近の移植はすごいかもしれない。僕は兄弟や親から移植しないと成績が上がらないと思っていました。しかしお話を伺うとどうも違うらしい。

 死体腎移植は生体腎移植よりも成績(5年生着率)は落ちます。要するに生ものですので鮮度が大切と言うことらしい。だからといって全く他人からHLAの全く違う腎臓を入れてもそんなにうまく行くとは思わなかった(^^;こっちの方が死体腎移植よりも遙かに成績がいい。

 兄弟間のそれもHLAがほぼ一致している患者さんが移植しても何らかの事情で10%強の方は透析に戻ってしまう。死体腎移植はやはり一度血液を止める為成績は若干下がります。5年生着率は70%前後です。しかし全く他人の腎臓を骨髄などの髄液を事前に移植して体を腎臓にあわせる作業(なんとかというのだが、忘れた(^^;)を一ヶ月すると、格段の成績向上が見られる。最近は夫婦間の移植が随分進んでいるらしい。お医者さんに多いというのも、透析を長く続けるというのはやはり体には良くないというのをよく実感しているから最近の移植医療を熟知したお医者さんはつれあいから移植をする。その生着率はHLAが合っている親、兄弟間と同じレベルの生着率ですって((^(^o(^o^(^o^)^o^)o^)^))/

 透析の方の移植への門戸は徐々に広がっている。皆さん頑張りましょう。