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浅内環境再生への筋道  北羽新報「私の意見」欄に掲載05/3/3〜3/8

国の財政支援


 今年1月21日、国の同意が得られた特定産業廃棄物に関する特別措置法(以下「産廃特措法」という。)を適用した「能代産業廃棄物処理センターに関わる特定支障除去等事業計画」について、2月初め、秋田県は協定に基づく能代産廃環境対策協議会において地元住民説明会を開催した。


 平成16年度から24年度までの9年間、特定産業廃棄物総量約101万トンの存在範囲約12万?と、その敷地外の「蒲の沢」及び、施設外「大館沢」に、国の財政支援を受け総額約26億円で環境保全に当たるものである。


 総事業費約26億円は現段階での概算であるが、ちなみに【国の財政支援の概要】は、国庫補助として、事業費の1/3程度が見込まれており、また、国庫補助を除く県の負担分の70%について記載対象となり、元利償還金の50%が地方交付税措置される見込みとなっている。


 これまでも、能代産廃センターの破産以降、秋田県が地方自治法に基づき、汚水処理など環境対策を行ってきましたが、それに要した費用は平成16年度の予算見込みで約18億7千万円となっている。国の財政支援分約26億円を合わせると約45億円を処分場の後始末のために費やすことになる。


 産廃特措法の適用を受けて、秋田県が能代産廃問題にさらに強く一歩踏み込む姿勢を見せてきた格好になりましたが、巨額の税金を投入しなければならなくなったこの問題の解決は、どれぐらい根の深いかと言うことを知らなければならない。


 これまで、私は後を振り返らずに走り続けてきた。


 ちょうど13年前、見向きもされなかった産廃問題は、能代の環境にとってどんな歳月だったのでしょう


 平成10年に倒産した能代産廃センターが「過去のことはもう、終わった」と思っている人がいる。それは大きな間違いで、「底辺の部分」の調査研究に蓋をしたまま実態は未解明だ。能代は、なぜ あんな惨憺(さんたん)たる公害を引き起こしたのか。いつ、どこで、誰が何をしてはいけなかったのか、何をすべきだったのか。痛みを伴う失敗の情報こそ伝えるべきではないかと、産廃業者の破たん処理には多額の税金がつぎ込まれていることがわかった市民から強く求められていた。


図―1 処分場の概略図(秋田県環境整備課資料)



和解の果実


 私たちは、11年間続いた旧能代産廃センターの公害問題に関わる2件の裁判を和解したのが04年7月。能代産廃訴訟和解に基づき、住民5団体は秋田県と能代市、「蒲の沢」土地所有者浅内財産区の8者と、同センターの環境保全等に関する協定を締結した。


和解で地元住民が救済されたわけでもないし、公害問題は解決しました、というきれいごとを伝えることはできなかった。処分場からの汚水漏れが続き、地下水が汚染される現実は何も変わらない。ベストではないが、現状を打破するため、今すぐできる具体策を決めなければならなかった。


私は、秋田県が産廃特措法を適用しながら同センターの環境保全対策を実施する考えを持っていることを知らされていた。


03年4月17日、それまでの環境部長から申し送りのような電話が入った。「秋田県はこれまで能代産廃の環境対策は自治法でやってきたが、国庫補助でやれるよう厚生省と交渉している。代執行をかけることが前提だ。」と言った。


恒久対策を図る方針のようだが事業の具体的なシナリオは不透明で、処分場の掘り起こしにためらっている様子から地元対策だけかとうかがわれたが、地元住民との和解を積極的に求めていた。私はこれが片付かないと、環境対策の開始はさらに遅れると理解した。


ところが継続中の裁判は、もう一つの訴訟相手である浅内財産区管理者・新能代市長の方向性が見えずに、和解の勧試があってから1年半になろうとしていたが協議は進まなかった。


この間に、香川県・豊島に次ぐ岩手・青森県境の不法投棄問題をはじめ岐阜県など産廃特措法の適用を目指す自治体が増え、国が上限としている1千億円のパイの争奪戦が始まっているのを懸念していた。


05年1月21日に国の同意が得られた産廃特措法の適用は、8者による協定締結と同様11年間続いた裁判の"和解の果実"である。



「産廃特措法」に基づく実施計画のポイント


産廃特措法は不適正に処分された産廃に起因する環境保全対策を国が財政支援する。処理基準に適合しない埋め立てが行われた最終処分場も支援対象となっている。


同センターについて秋田県は、平成10年6月以前に不適正に埋め立て処分された産業廃棄物に起因する地下水が長期にわたって続いていることを認め、県が維持管理を行わなければ汚水が処分場外に流出することにより生活環境の保全上の支障が明らかであることから、その支障を早期に除去する必要があるとしたのである。



(1)秋田県の支障除去等の基本的な考え方は、「現場内処理」が基本


県側が説明した実施計画は、県が事業者に変わって地域の保全を図るため、環境保全対策部会の提言や国の行政処分に関する通知(※)を踏まえ、「現場内処理」を基本とする汚水処理などの維持管理などの環境保全対策を行うとともに、汚染地下水による支障を除去するための汚染拡散防止対策を講ずるとしている。



  (※)「行政処分の指針について」(平成13年5月15日付環境相大臣官房廃棄物・リサイクル対
  策部産業廃棄物課長通知)によると、「最終処分場において、浸出液により公共の水域を汚染
  するおそれが生じている場合には、遮蔽工事や浸出液処理施設の維持管理によって支障の
  発生を防止できるときは、まず、その措置を講じる用命ずるべきであった、これらの方法によっ
  て支障の発生を防止できないときに始めて、処分された廃棄物の撤去を命ずるべきである」と
  されており、最終処分場については、行政プロセスにおいても遮蔽工事や汚水処理などの維
  持管理による支障の発生の防止措置が、処分された廃棄物の撤去措置よりも優先するものと
  して位置づけられている。



(2)支障除去等事業における計画


効率、費用など合理的と判断される次の支障除去等の方法の選定をした。


図―2 支障除去等事業計画図(秋田県環境整備課資料)


1.汚水処理などの維持管理対策【約10.3億円】


1. 現在実施している揚水井戸による汚染地下水の汲み上げ処理

2. 蒲の沢、南沢、大館沢等での汚染拡散防止のため、滲出水の回収などの継続実施

3. 水処理施設(事業者設置既存1号、3号水処理施設及び秋田県設置既存新水処理施設)の改良

4. 処理水の河川などへの放流の検討


 {現在、既存水処理施設で処理された水は能代市の公共下水道に放流しているが、
今後、能代市や地元住民と競技を行いながら、河川への放流を検討する。}


2.汚染拡散防止対策【約9億円】


1. 県道山本町逆川に向かう東側と大館沢南側に、汚染拡散防止のための遮水壁を既設遮水壁に約770m延長して新設築造する。



図―3 


蒲の沢及び大館沢と鉛直遮水壁との関係断面図

(秋田県環境整備課資料)




2. 地下水処理のための揚水井戸をさらに4箇所増設する

3.場内雨水対策【約5億円】


1. 処分場上面、法面約6haを遮水シートなど4層で覆うキャッピング工法を施して、分離された雨水は水質を常時監視しながら場外へ直接放流して、汚水処理量の減量化を図る。


2. 処分場の下流西側に設置されている「農業用貯水池」を雨水調整池として整備


3. 常時監視機器を設置して雨水のモニタリング(常時監視)を実施。


4. 場内雨水の放流の検討・キャッピング工法を施して、処分場から分離された雨水の放流にあたっては、能代市や地元住民と協議を行った上で実施する。


図―4 場内雨水対策工概要図 (秋田県環境整備課資料)



4.処分場調査【約0.2億円】


 地元住民から要望されている初期の処分場に埋め立てられた廃棄物の調査である。県は、処分場全体としては安定化に向かっているとして、第一段階の地中レーダー探査当を実施したうえで、第二段階として必要なら試掘調査を検討するなどとしている。


5.環境モニタリング事業【約1.4億円】


 周辺環境の水質・低湿調査の継続実施



能代産廃環境対策協議会議は、慎重な姿勢で

 国に実施計画書を出すとなれば、しっかりとした調査や点検が欠かせなくなる。


 住民への安全対策が強調されているが、一見いいことのように思えるものでも危ない部分もあった。


 和解が決まったからと言って、県のペースに載せられて環境対策に応じたら、これまでの苦労も被害のことがうやむやのされてしまう。今、やっている程度の「応急的補修工事」の説明なら受けるつもりはないと、最初から厳しい。早期解決を望むなら、説明受ける選択もあると言いつつ、処分場の将来をどう、育てるかということであり、もっと慎重に取り扱うべきだと言う意見があった。


 環境問題は、人の生活の健康と安全に関わる問題で、しかも、差し迫った状況のなかで住民側は、国の支援を受けるため、総論では理解しながら、具体計画は県、住民間の論議はずいぶん細かい部分で引っかかった。


 いろいろな立場の人たちが能代産廃について心配をしていただくことにはありがたく受け止めている処分場問題に疑問を持ちながら実効ある反対運動、行動ができず、歯がゆさの思いだったと告白してくれる市民がいた。だが、能代産廃が破産し、国の財政支援でもって環境対策を計ろうとした頃合を見て、これまで関心を引かなかった人たちが、一転して、不法投棄の原状回復を現実課題に浮上させて、処分場復活のイメージが拡がる機運にあった。負の遺産を逆手に循環型社会だとかリサイクルだとかを提言して処分場の再稼動をほのめかしてくる。
 住民は、県の確固たる信念を確認せざるを得なかった。


 「国の支援を受けながら効率よく短期間で対策を進めることになるが、平成24年度で秋田県がやる環境対策が終了という訳ではない。その後も必要に応じて秋田県が環境対策を実施する」と、部長は言った。


 十数年前から住民が騒いで、いろいろな問題があったにもかかわらず、能代市も秋田県も聞く耳を持たなかった。行政の不信、それだけが残っていた。県から今後の対策として、遮水壁による封じ込め案を提案された住民側は、「なぜ、全量撤去一本に絞られないのか」と、ゴミの全面撤去より問題の解決がないと強く主張してきた。

 これに対して県側は許可権者であることを盾に、「県が許可して埋め立てした廃棄物を県が撤去することはできない」と、はっきりしていた。巨額な撤去費用やどこへ搬出するかという物理的なものに考慮を傾斜しても埋め立てした廃棄物を撤去することは県が自ら廃棄物行政のあり方を否定することになるばかりか、責任問題にまで発展しかねないからだ。


 現場を見てきた住民はゴミの撤去をまったく断念したわけではないが、次の展開を目指して初期の施設設置届出した処分場No.1〜No.2の掘り起こし調査を強く要望した。



千葉県市原市内にある中間処理施設
(92/4/17)


 ここから運ばれた廃油等は、事業開始初期の処分場No.1〜No.2に中身の入ったドラム缶まるごと埋め立てしたと証言する人がいる。


 意見が分かれた。


 県側は「第二段階として必要なら試掘調査を検討する」と譲らなかった。県は「問題のある処分場を掘って見てけれ」と住民に言われるのは、これまでやってきた県の廃棄物行政は信用できないと宣言されているようなものだ。


  03年3月議会で寺田知事は、「住民の不安を解消するためならば、センターの土壌を掘り返さざるを得ない。」との認識を示した答弁は県の従来の姿勢より、踏み込んだ形だった。


 住民側は掘り返しの実施に期待していた。


 しかし、能代保健所のある職員は「知事答弁は『実施する』とは言っていない。検討事項に留まっている」といった。「検討」という二文字は、役所言葉では「やりません」といっている意味のことだった。

 住民の一人は、「県の方針は後退した。やっぱり、信用できねぇ!」と、吐き捨てるように言った。


 「試掘にあまり金もかからないだろう」知事の言葉に見合う仕事の段取りを考えていた。

 バックフォーのアーム一段で4~5メートルの深さに掘れる。それだけあれば十分だ。 
     

香川県豊島の不法投棄現場では、深く掘ったゴミの層を見学コースにしていた(00/6/25)



 産廃施設から廃棄物の撤去を求めるには理由もあれば目的もある。このまま放置すれば、地下水汚染が続くばかり、住民の健康被害が出る恐れがある。住民は「あの処分場に何が埋まっているかだけを知りたい訳ではない。特に影響している浅内財産区有地・蒲の沢や処分場周辺の地下水汚染が22年たった今も続いている。秋田県がいう能代産廃15年〜30年対策は100年対策以上になるのではないか、今後の維持管理、対策をどうするかに目的がある。運動をしている人たちが高齢化し、生きているうちに子や孫に何とかしてやらなければならない」と言った。


 秋田県が、不適正な処理があったと認めて「産廃特措法」に基づく実施計画があると言っても、「何が、どうして、不適なのか。環境対策に巨額な税金が必要になった原因を説明しなければならない。」と、改めて平成7年に実施した漏水の原因究明の不適さと、行政に対する不信感をあらわにする住民もいた。


 何で香川県豊島で出来て、ここ能代の現場では撤去できないのか、住民は何回も豊島のやり方をそのままやったらいいと繰り返して、夜遅くまで議論した。


「国が決めたのだから、何が何でも従わせようとしている。そのような考え方と同じ線上で『現場内処理』を選んだのではないか」と、県への恨み節が出た。そのために、環境保全対策部会の提言や(※)「行政処分の指針について」を細かく咀嚼して理解するに時間がかかった。


 県が目指す「現場内処理」を満足させるための3基の水処理施設があった。そのうちの一基は秋田県が国庫補助で建設した水処理施設である。住民は、他県にみる不法投棄と、秋田県が廃棄物を処分するために施設を許可した現場の違いによる環境対策に泣き笑いしながら限界を認め、涙を呑んでいた。


 私は、苦しんできた声を腹の中から渋りだしている住民の心は本当だと、思った。


 問題のある処分場の調査は、「事実の掘り起こし」なのだ。


 県は信頼を回復するためのラストチャンスだと受け止めてほしいと願う住民の粘り強さは、処分場の重機による試掘調査を「検討する」から「実施する」に、計画書は修正した。



苦渋の決断・場内雨水対策へ地元の協力


 水対策は、管理型処分場の心臓部分である。


 県は処分場上面、法面約6haを遮水シートなど4層で覆うキャッピング工法を施して、分離された雨水は処分場の下流西側に設置されている「農業用貯水池」を雨水調整池として整備、そこへ常時監視機器を設置し、能代市や地元住民と協議を行った上で処分場から分離された雨水を、農業用水路に放流する計画である。



写真は現場説明会(04/8/29)

地面に足をつけて説明を受けるこの場所は、なんとゴミが層をなして積まれている上に私たちが立っている。

 この現況を、保護マットや雨水制御シート等で覆い被せる(キャップ方式)ということである。

環境保全部会の提言を踏まえ、秋田県は、洗い出し(シャワー方式)から方向転換した。


図―5 場内雨水対策工標準断面図(秋田県環境整備課資料)


 またしても意見が分かれた。


 植物を植栽し保水機能を持たせ、廃棄物を洗い出して土に還元することを考えていた住民側から、従来のシャワー方式を変える必要性について問われた。雨水による埋め立て物の洗い出し効果に期待できないと主張した。


 これに対して県側は、「遮水壁を処分場の全周に設置すると、雨水がしみこんで滞留する地下水が多くなることが予想される。処理しなければならない水が増量し、維持管理にコストがかかりすぎるので、キャッピングし、雨水が入らないようにするものである。ただし、雨水が入らないことで、コスト的には楽になるが、処分場の洗い出しは効果が期待できない。材質を工夫して降雨の一割程度は内部に滲み込むようにし、揚水井戸で汲み上げる。」とした上で、「処分場と分離した雨水は沢に放流したい。」としたのである。


 住民側は、”センターの水”と耳にするだけでナーバス(神経質)な反応にでる。それだけ、煮え湯を飲まされてきた記憶があるからだ。白く泡のある悪臭がする同センターの場内水が、夜な夜な農業用水路に無断放流され、その流入末路の「寒堤」に生息する魚がダイオキシンまみれとなって大量にへい死していた。


 かといって、現在、能代市下水道の終末処理場に流入している一日450立方を超える大量のセンター処理水を受け入れるには、土側溝である農業用水路は堪えきれない困難を極めていた。
「雨水が、ゴミに触れないようにするのが絶対条件である。」と、住民側はこの事業に協力するための苦渋の決断をした。



環境対策に共通の認識を


 恒久対策への筋道を「エンドレス」にしない努力がとりわけ行政に求められることは、住民とて理解している。が、不安を招く安易な譲歩はしなかった。


 この事業の対策目標を、地下水中に検出されるVOC(トリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物)が、環境基準を下回るレベルとしていることに対して、「微量であれ、検出されること自体が問題であると言う認識を、住民と共有して持っていただきたい。」と、センターに掛かる経済負担と住民の健康と安全で安心な生活を守ることを天秤にかけてはいけないと、「安全の基準」の共有化を強く要望した。


 住民側5団体は、新工法箇所の現地視察を踏まえ、汚染地下水の回収・処理や遮水壁による汚染拡散防止対策など事業計画を検討し、04/9/11日開催した第三回環境対策協議会において4項目14点を県に要望、確認して完成したものである。


 その後、能代市は04/10/12付けで、住民の意見を強く後押しする形で意見書を県に提出した。


 住民が自分たち一人ひとりの問題と捉えて行動し、論議を戦わせた意味は決して小さくなかった。一つずつドアを開けてきて、今日の日が来た。それでも、問題の一つの到達点でしかなく、これからは、一歩進めて、どんな環境に再生するのか、めざすのか論議を深め、運動を続けていかなければならない。


05/2/24

文責 能代の産廃を考える会 事務局長 原田悦子







能代産業廃棄物処理センターに関わる特定支障除去など事業実施計画書(案)

の意見集約について

8・11日開催した第1回環境対策協議会、8月23日に開催した第二回環境対策協議会、及び9月3日には能代市浅内土地改良区に、能代産業廃棄物処理センターに関わる特定支障除去等事業実施計画書(案)について県より説明があり、現地視察を踏まえ数回に渡り協議し検討してきた。検討結果について次のとおり意見集約した。

汚水処理等の維持管理対策について


1. 各処分場の浸出水量、揚水井戸による汚染地下水は、水質及び、揚水量の管理を徹底しながら汲み上げ処理を継続する。


2. 「蒲の沢」における滲出水の回収を継続実施することは論を待たないが、汚染土壌を一部除去し(砕石等に入れ替え工事)、滲出水の集水機能を高めるための対策を講じること。


3. H8/8月、蒲の沢をボーリング調査した結果、地下5メートルの地下水からベンゼンが環境基準の44倍検出されていることなどから、いったん地下に潜った汚染地下水調査を実施し、回収対策を講じること。


4. 水処理施設の改良について


処分場の浸出水・滲出水及び汚染地下水は、遮水壁の設置や揚水井戸の増設により汚水量の増が見込まれるが各水処理施設の処理能力を超えない十分余裕を持った量的改良をするともに、処分場の浸出水・滲出水及び汚染地下水には揮発性有機塩素化合物や重金属が検出されることも考えられることから、除去するための設備を取り付けする等各水処理施設への処理能力に十分余裕を持った質的改良をすること。



汚染拡散防止対策について


1. 事業者が設置した遮水壁について汚染拡大防止の効果として有効に機能しているかは、蒲の沢への滲出水が続いていることなどから住民の疑問を払拭できていない。東側及び大館沢への築造遮水壁は難透水層Dc2層の中まで打ち込むなど、底面遮水層として機能している粘土層の接続部に疑問がもたれない工法にすること。


2. 大館沢の遮水壁設置及び、揚水井戸の増設に当たっては、大館沢の処分場が、沢側に近く更に地下水の存する位置まで深く掘って造成し、廃棄物で嵩上げしている。嵩上げ部分からは汚水やガスが漏れて処分場の安定感が失われていることから崩落等を防止するための対策について検討すること。


処分場が崩落することを懸念しているということである。工事には十分気をつけていただきたいし、地震対策も十分検討しなければならない。この場所は、大館沢、寒堤、浅内小沼と、農業用水路につながっている。



場内雨水対策について


1. 処分場の埋め立て廃棄物が沈下し安定したことを確認した上でキャッピングし、突起物等でキャッピング材に、は損傷が発生しないよう対策を講じること。


2. 埋め立て処分場は、雨水による洗い出し効果を得なければ、浄化が困難であると考えられることから、既存のコンクリートで覆った処分場及び、キャッピングした処分場の雨水地下浸透状況を監視し、雨水の地下浸透による洗い出し効果があまり得られないようなところについては、浸透対策を検討すること。


3. 理由があるのは、別として、できるだけ舗装等で固めることは避けるため、舗装等範囲計画の必要性を検討すること。


4. 場内雨水の放流については、雨水が、処分場の浸・滲出水及び汚染地下水などと完全に分離されることを条件とする。


5. 雨水以外は流さないこと


6. 雨水放流先の大館沢農業用水路は、土側溝であるので、放流水量の監視を徹底すること。


雨水放流による大館沢農業用水路及び寒堤に影響があった場合は、速やかに復旧工事等対策を講じること。


7. 雨水放流に関わる事項については、特に約束事であることを明記した文書を残したい。


処分場掘削調査について


 「処理基準に適合しない処分」の解明を望む住民感情や市の申し入れに配慮し、速やかに実施すること。


 住民としては、廃棄物の全面撤去が本来の念願としているものである。しかし、撤去にはたくさんの問題点がある。裁判の和解に当たって、県から撤去困難な理由も示されたことも検討した。何よりも、香川県の豊島事件、青森、岩手の事件にある不法投棄と認められない能代産廃センターの事実があって「現場内処理」つまり、段階を踏まなければそこに到達できないというのも理解できる。忸怩たる思いである。しかし、県も「処理基準に適合しない処分」があったことを認めていることから、住民感情や市の申し入れに配慮して速やかに問題の指摘されている処分場の掘削調査を実施してほしい。



 計画全般に関してであるが、本来なら、住民団体としては何よりも廃棄物の撤去を要求したいところであるが、「現場内処理」ということを踏まえてから9年間、きちんと維持管理を進めるということなので、この計画で進めていただきたい。



 なお、浅内自治会、小野沢自治会の飲用井戸水調査、安定型処分場NO.9の関わる問題等については、今後の検討課題としていただきたい。



 04/9/11 能代産廃センターに関わる環境対策協議会 住民5団体資料