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『センター試験「数学力」の判定に疑問 東北大教授分析 得点分布、2次と大差』
 大学入試センター試験の数学問題では「数学力」を十分に判定できない・・・。日本数学会理事長の森田康夫・東北大教授が、同大の2次試験との比較からそんな分析結果をまとめた。 「計算力」があれば点を稼げるセンター試験の特質が背景にあるとみられる。教授は30日、入試数学を検討する専門家の集会で報告し、改善を訴える。
 02年から今年まで3回の入試を対象に、主に理学部志願者のセンター試験と大学独自の2次試験の各教科成績を調べた。外国語などはセンター得点が高ければ2次得点も高いという相関が表れるのに対し、数学ではそれが極めて弱かった。
 今年の前期日程試験で見ると、センター試験の数学@(主に数学T・A)では理学部受験生約600人の約30%が満点の100点を取ったが、2次試験(300点満点)になると、センター満点組が、上は260点前後から下は40点台まで分散し、4人に1人の割合で平均を下回った。センター試験80〜90点台でも同様の分布を示した。
 センター試験・数学のもう一つの柱である数学A(主に数学U・B)でも全体的に2次試験との相関は弱かった。センター試験が広い範囲の基礎的な知識を測るのに対し、2次試験は記述問題で論理的に深く考える能力を試す。東北大の問題は難易度は比較的高いが、悪問、奇問の少ない標準的な問題とされる。
 森田教授は、02年、03年の試験でも同じ傾向が出ていると話す。この傾向はセンター試験の高得点者が多い一部の国立大の入試担当者の間で指摘されたが、データで裏付けされた形だ。
 @平易な問題で平均点を60点程度にする制約から、計算量の多い問題を出しているA計算力は学習で伸びるため、数学的思考力がそれほど高くなくても高得点を取れる、などセンター試験の事情が背景にあるという。
 森田教授は「前身の共通1次試験に比べ計算量が増え、数学者でも時間内に全部解くのは難しい。高校ではこれに対応して計算練習が過度に重視されるようになった。難易度が多様な問題を出す一方で、計算量を減らすなど出題方針を改めるべきだ」と話す。今年のセンター試験の数学@は約40万人、数学Aは約35万人が受けた。

平成16年5月30日朝日新聞より


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