<< HOMEへ >>
                 マイナス定電流給電型 ユニバーサル シングルアンプ
   

McTop.JPG

Special Thanks

 

Wat!の真空管アンプ
素敵なアンプをありがとうございます

おっ君のウェブサイト
勉強させて頂きました

情熱の真空管
日々精進させて頂いてます

   


このマイナス定電流給電型ユニバーサルシングルアンプを設計された、
wat!様のサイトを知ったのは、TU−879が完成して少し経った頃でした。

TU−879で使用できそうな出力管として、350Bという真空管をネットで検索していた時、
wat!様の「手持ちの球と音の印象」のページに出会いました。
このページを見て、
「1台で幾種類もの真空管を使えるなんて、便利なアンプだなー。」
と大いに興味を覚えたのですが、
素人の身には回路図を見てもダイオード関係の仕様がよく分かりません。
「でも、実体配線図もあるし、時間を掛ければダイオードなんかも分かってくるだろう。」と、
まずは定番・6BM8超三結アンプを製作したのでした。
まぁ、正確には、マイナス電源?アースから?定電流?と、分からないことだらけだったんですが・・・。

それでも、wat!様のご教示もあり、無事完成させることが出来ました。
(wat!様、ありがとうございました。)

こうして完成したマイナス定電流給電型ユニバーサルシングルアンプの音を聞いていると、
wat!様の「明るくて抜けの良い音〜低域も異例なほど強力」
「細かい音がつぶれずよく聞こえ〜」というご説明にも納得できます。

このマイナス定電流アンプを製作されたtyatarouken様は、そのアンプの出来に納得されたのでしょう、
豪華版実装図を作成され、私のような初心者が製作し易い様、配慮して下さいました。
ならば私は製作過程でも公開して、他の初心者の方の後押し
…と言う程の知識も内容も持ち合わせていないのが辛いところですが…
をさせて頂きましょう。

 

準 備 編


まずはwat!様のサイトにて、
マイナス定電流給電型ユニバーサルシングルアンプの仕様をご検討くだい。

 wat!様のサイト「 Wat!の真空管アンプ 」へどうぞ。

初心者の方には、こちらのサイトもご覧になることをお薦めします。
ベテランの方の真空管アンプ製作記です。
機種は違えど、得るものは大きいと思います。

 おっ君様の製作記「 KT66 Craft Notes  」へどうぞ。

製作に掛かる前に部品が手元に揃っていた方が、レイアウトを考えやすいと思います。
部品表を片手に、早速注文、あるいは買出しへGO!

 製 作 記

.
McMemo.JPG
○wat!様仕様で製作するなら、落書きの必要は無いでしょう。
○結構小さめのシャーシを購入したので、デザインから部品の配置場所まで、自分で検討しなければなりません。
私は回路の設計は出来ませんが、自分好みのデザインを考えるのは意外に楽しいものでした。
○ただ、真空管アンプの場合、部品の位置関係や配線の距離、配線の仕方など、タブーやノウハウ、細かなTipsの塊のようで、同じ回路図を元に製作しても初心者とベテランの作では、その性能特性に大きな隔たりがあるらしいです。
こればかりは多くの先達の例に習い、自身で知識を増やしていくしかないかもです。
○その意味で、回路の設計者であるwat!様の仕様で製作すれば、完成度は高いと思います。
○落書き時の注意点は、鏡反転させた(下から見上げた)図で描くことです。うっかりすると真空管ソケットの配線などが、とんでもないことになります。
はい、うっかりしました。なりそうでした。(笑
        
Mcpln.JPG
○シャーシに直接描けばより正確でしょうが、紙のほうが楽だと思います。貼る際にはしっかりと。
ノギスがあれば正確に寸法を計れて便利です。百円ショップに売ってました。
○電源トランス横と真空管ソケット周りには放熱孔を開けました。
TU−879でKT88や6550はかなり発熱することを知り、6BM8STCでは電源トランスもかなり発熱することを知りましたので。これでコンデンサも少しは長持ちするでしょう。
この放熱孔開けは手間が掛かりますが、やっておくことをお勧めします。(高機能版の場合)
○立ラグなどのネジ穴も然るべき場所に開けます。
部品のハンダ付けを始めてから追加で穴開けするのは危ないです。レイアウトを考える際、部品の配置もしっかり検討しておきましょう。
○OKならば、ポンチで印をポチっと入れます。力が大きいとシャーシが凹みますので、加減をして。

McSc.JPG
○手廻しドリルでも全く問題なく作業が出来ますが、10ミリのドリル刃を使えるものがお勧めです。でも、電動ドリルがやっぱり楽チンかも。
この作業の途中、邪念や無常を感じると切っ先がずれ思わぬを後悔するハメになります。バチカンの修道士の如く、高野山の修行僧の如く、己が信ずるものの為に無心で作業するのが大吉です。(笑
ドリル刃は1ミリから10ミリのセットがあれば便利です。
○時にはテーパー・リーマでグリグリと穴を拡げます。径を拡げたり、バリを取ったり、ズレを修正したりです。
○電源トランスの四角穴は、ハンドニブラーで切り取ります。金鋸でも可かもです。
○真空管ソケットの穴は、シャーシ・パンチで開けます。結構力が必要です。迂闊に捻ると穴の縁が歪みます。
○仕上げにヤスリでバリ取りです。いろんな意味で事故防止の為にやっておきましょう。

Mchole.JPG 邪念に身を委ね、漠然と作業をした結果です。

○合言葉は、「注意一秒、ズレ一生」です。「一穴入魂」でも可。(まぁ!)
穴開け作業が終わってから、ぺるけ様の掲示板にて、「きれいな穴の開け方」が話題になりました。
○曰く、最初は1〜2ミリのドリルで、段階を経て徐々に大きくしていく、らしいです。
お勧めのドリル刃として、「ステップ・ドリル」が紹介されていました。
McSgDi.JPG
○出力段SG電圧設定用の定電圧ダイオードは、基板に並べました。ユニバーサルたる所以の回路ですね。これでスクリーン・グリッドの電圧を設定し、各真空管が最適な(に近い)動作をするのだそうです。
○ダイオードの向きに注意し、一列に並べ、要所からスイッチへのケーブルをハンダ付けします。ダイオードの足は短めに切ってハンダ付けした方が、きれいに仕上がったように思います。
○ケーブルは基板に穴を開け通しています。TU−879でこの様に処理していたのでマネしました。
たぶん、ケーブルが動かないよう固定する為だと思います。
○基板をパキっと2つに割る技は、「 2万円握り締めて超三アンプを作る 」で知りました。
いかにも発熱しそうな雰囲気と、作業のし易さから基板にしたですが、こんなもんでしょうかね。
○両端のL型金具はシャーシへの取付用です。

McCbl.JPG
電源ケーブルは奮発しました。

○ホスピタル・グレードに対抗し、建設現場・グレードです。メーター95円です。(笑
ホスピタル仕様はお洒落なスケルトンですが、建設現場仕様は仄かに漂うゴム臭が哀愁を誘います。
でも、これで私の望む力強い、逞しい音は約束されたも同然でしょう。何たって建設現場仕様ですから。(おい!)
○中のケーブルは撚られていたので、このままシャーシ内に引き込みました。
○ACインレットを使って着脱式にすると便利らしいです。ま、お好みでどうぞ。

Mcin06.JPG ○出力段カソードの定電流回路です。基板を使用すれば楽かもです。
○VRの配線は、シールド線を用いノイズ対策をするのがセオリーですが、距離が短いので普通の配線材を使いました。
結果的には、ノイズ等の問題はありませんでした。
私は横着なので、2連ボリュームを使います。
Mcin01.JPG
○まずは電源トランス、出力トランスを所定の位置に4ミリネジで固定します。
トランス類にキズなど付かぬ様、エア・パッキンなどで包んで(養生して)おきます。
○そして裏返し、電源部から配線していくのがセオリーだそうです。
ヒーター配線は、「6.3Vだから細くていいや。」と思っていたら、「意外に大電流が流れる」ため、太目のケーブルが良いらしいです。これも後で知りました。と言うか、配線材は全般的に太めが良いらしいです。特にアースや電源部は。
○ベテランの方の作例では配線が綺麗に成されていますので、これもマネさせて頂きましょう。
「綺麗な音響は、綺麗な配線に宿る」かも知れないです。
○整流ダイオードは、スペースが取れなかった為、背面に張り付いています。
○中央の青い四角は、出力段SG設定スイッチです。これをスズメッキ線で繋げています。

Mcin02.JPG ○電源トランスのヒーター配線は一般のアンプと違い特殊です。実装図をよく確認して、注意して配線して下さい。
この部分の説明は、「いただいたご意見・ご感想コーナー」にあります。
○整流ダイオードは、「踊るダイオード」状態です。うっかりすると「破烈のダイオード」です。
○MJ誌に、「整流ダイオードの足は放熱を兼ねているので、切らずに使用する。」とあったので、この狭いスペースで切らずに使用しようとした結果、踊ってしまいました。
Mcin04.JPG
○アンプ製作のセオリー通りならば、ここは平滑コンデンサの配線ですが、このアンプの場合シャーシが小さい為、平滑コンはスイッチの上に被さる形になるので、先に設定スイッチの配線を済ませます。
○SP端子も配線します。次の作業でコンデンサを取り付けると、空きスペースが無くなる為です。
出力トランスの余分なリード線は、くるくる巻いて寄せておきます。
○レイアウトを考え部品の配置を検討する時、作業手順も確認しておくのが賢明のようです。職人さんの世界では「段取り八分」とか言うそうです。
もっとも、wat!様仕様の大き目のシャーシの場合は、部品が二段重ねになることはないでしょうから、セオリー通りにどうぞ。
○それにしても、配線材がごちゃごちゃしています。綺麗な配線の理想もここまででした。
ここはスイッチにダイオードを直付けした方が良かったのかしら?
○線材を短く切り過ぎ、他と違う箇所に取り付けたのが1箇所あるのは、ここだけの秘密です。

Mcin08.JPG
○通常は、リップル・フィルター部の配線が済んでから信号部の配線ですが、ご覧の通り、仕様変更で初段周りに空きスペースが在りません。
デカップリング・コンデンサが上に被さるので、指もコテ先も入らなくなる為、先に初段周りを配線します。
○なんか、セオリー無視状態です。臨機応変も、ものつくりには大切ってことで、ひとつご容赦を。
んー、果してこれで作ってみたいという方の役に立つんでしょうか。
○黒いコンデンサを留めているのは、塩ビパイプなどを固定するバンドです。大きなホームセンターなどで売ってます。2個で90円位です。Φ34のものでもコンデンサが嵌らず、2つに切って上下から挟んでいます。
高さが75ミリ位になるので、ネジ留めの部分を削って65ミリ(シャーシの高さ)に加工しました。
コンデンサを留める部品は、通販では見かけたことがありませんが、「世界のアキバ」には有るんでしょうか。

Mcin07.JPG ○これはアース配線の初期案・没案です。
ぺるけ様の「 私のアンプ設計マニュアル 」を読んでいると、この取り廻しではマズいように思えてきました。何とか、wat!様の引き回しに近い形に変更しましたが、そのしわ寄せで初段周りがキチキチになり、部品のハンダ付が大変に…。

○レイアウトは最初にしっかりと、です。
Mcin10.JPG 初段周りは危うい配線です。
上記の変更で、とんでもないことになってます。
○せめて抵抗の足には絶縁チューブでも被せていたらと思います。
○上から見ても、殆ど真空管ソケットが隠れています。何かトラブルがあった場合、その部品だけ交換というのが困難です。
メンテナンス性が最悪の配置となってしまいました。
これでは、「やってはいけない作例」ですね。
○シャーシは、大きいに越した事はないかもです。
Mcin12.JPG ○マイナス給電型と謳う通り、プラスとマイナスの配線が混在していますので、電解コンデンサの取付の際には極性をしっかり確認しましょう。
フィルムコンデンサでは、極性は関係無いです。
○ここはソケットからの発熱の影響を少なくする為、最初から宙吊り状態にし、ソケットから距離を置く予定でした。が、しっかり固定されていないコンデンサは、振動などで音質に悪影響を与える場合があるらしいです。
Mcin13.JPG
○最後に電源リプルコンデンサを配線し、(普通、最初に行うんですが…。)出力段SG設定回路やSP端子のアースをアース母線に配線し、アース母線は整流ダイオードの立ラグからシャーシに落とします。
これも普通は初段付近でシャーシに落とすのがセオリーのようですが。電源付近で落とすのは「もってのほか」らしいです。
○結局、最後まで「掟破り」で製作を終了してしまいました。果してこれで、「良い音」はともかく、「真っ当」に鳴ってくれるのでしょうか。
○最後の最後は、ハンダのカスや配線材の切り屑が落ちていないかチェックします。配線ミスがないかも、回路図や実装図と照し合せ十分にチェックしましょう。喜び勇んでスイッチを入れ、感電したとか、コンデンサが爆発したとか、真空管が溶けたとかなったらもう・・・。
○回路図にある、各部位の電圧のチェックも必須です。我がアンプは、電圧が若干多めに出ていますが、10%以内の差はOKらしいです。

Mcin14.JPG


さっそく音出しです。
まずはエレハモの6V6GTから。
お安い、小振りな真空管でも良い音がします。
次はフィリップスの6550を。SGスイッチを切り替えてっと。

  「ぶぉぶぉおぉぶおぉぉぶおぶぉぶぶぶ・・」
  「何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁ〜!」

見事に発振しているらしいです。

結局、昔の回路図を元に製作していた為、
コントロール・グリッドの1KΩ抵抗が付いておらず、Gmの高い球で発振したとのことです。
よく見ると、ソケットアダプタのイメージ図では最初から明記されている部品です。
つまり、見落としていた私のミスに拠るものでした。

サイト内の情報は、隅々までチェックしましょう。
って私が言っても説得力がないですね。

心配だった、自己流アースの引き廻しや初段の混雑ぶり、配線材の引き廻しについても、
聴感上は悪影響は無い様です。

wat!様、最後まで面倒を見て頂き、ありがとうございました。

 



いかがでしたでしょうか?

真空管アンプキットは作ったけど、次のステップアップはどうしようとお考えの皆様。
超三結回路は気になるし、全段差動ppも魅力的だとお悩みの貴方。

マイナス給電で・・・
クロストークが良く、多量の負帰還を安定的に掛けられ、

定電流回路で・・・
部品代を安く、残留雑音を小さく、真空管交換時の調整の手間も無く、

ユニバーサルで・・・
多種の真空管の音色を1台で楽しめる。

そんな「マイナス定電流給電型ユニバーサルシングルアンプ」を選択肢に加えてみませんか。


 

後 記

McBak.JPG


測定機はありませんので、全て聴感上の印象になります。

残留雑音は全く聴こえません。
6BM8超三結では、軽く「サー」と言うノイズが聴こえるのですが、
これは多量の負帰還と定電流回路お蔭でしょうか。

クロストークも実験してみました。
RCA入力はL側だけ繋ぎ、SP出力はR側だけを繋ぎ音を出すという方法です。
TU−879では、景気よく音楽が聞こえました。
6BM8超三結では、格段に音量は少ないですが、それでも音楽が聞こえます。
しかし、マイナス給電型アンプの場合、ボリュームを最大にしても音楽が聞こえません。
「え?この方式ならモノラル・アンプを2台作る必要が無い?」なんて、
モノラル・アンプを聴いたことも、作ったことも無いのに思ってしまいます。
念の為、ウーハーに耳を近づけます。
音が聞こえません。スコーカーも同じです。
ツィーターのドームの真ん前に耳を置くと、幽かにシャカシャカしているようです。
素晴らしい特性のようです。

このアンプに限らないですが、電源オフの際「ぼふっ」なんて音がSPからします。
これにはスパーク・キラーという部品で対応します。
スイッチの寿命にも良いそうです。
後で付けておきましょう。と言うより、必須かもです。

Mc6V6.JPG


デザイン上のポイントはボリューム位置でしょうか。
ここにツマミを置くことで、シャーシ上に無駄な隙間がなくなり、
また、この黒い色がアクセントになり締まった印象になったと思います。
実用上も、入力-VR-初段が最短距離で繋がります。
ただ、無造作に機器を扱う方には向かない配置です。真空管に触れ火傷をするでしょう。

入力端子も、黒い縁取が使用決定の理由です。
シャーシは、リードP-11。深さ65ミリが肝です。
これでSGスイッチとコンデンサを二段重ねに出来、
シャーシをコンパクトにまとめることが出来ます。
極太電源スイッチは、五百数十円のもの。
ま、真空管アンプは嗜好品の要素も強いので、各自お好きな部分にお金を掛ければ良いかと思います。
出力トランスは、ノグチPMF−10WS。

04年4月に発売された「情熱の真空管アンプ」。
発振トラブルの際、全段差動をさておきトラブル・シューティングの頁を貪り読んだ、
なんて、恥ずかし過ぎてここには書けません。

Mcend.JPG

Mckt88.JPG

これでいいのか?アースの取り廻し・・・

ん〜 KT88 カコイイ! 音もイイ!

 04年04月完成

<< HOMEへ >>