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本来は、このアンプで賑々しく第二部の幕を開けようと構想していた様な記憶が
有ったり無かったりする訳ですが、気の向くまま自作衝動の赴くままに行動したら、
華々しく超三極管接続Ver.2アンプで幕を開け、散々たる結末を迎えてみたりした
と云う、態々「お勉強アンプ」などと名乗らずとも、作るという行為それ自体が
全てお勉強なのだと思う昨今、引き続きAct.2計画を実行するのもお勉強ならば、
Ep-Ip特性図にロードラインを引いてみるのもお勉強と云う事で、今更ながら
ここは基本に立ち返り、バラック仕立てで一からお勉強をし直そうと思ったのでした。

 




バラック・ボードの製作

c_04.jpg

電源トランスは5687P.P.Pで製作した別筐体電源部を用います。仕様は、0-220V/0.118A、0-6.3V/2A、0-6.3V/0..4Aとなっている様です。このトランスが左右独立で2台入の豪華版仕様です。

出力トランスは、5670P.P.Pで使用した「ばざーら」さん謹製の、SE/PP共用のユニバーサル・トランスを流用です。一次側負荷には2.5K、5K、7Kタップと、大方の真空管には対応出来るでしょう。

そして真空管は、遠い昔にこの目的の為に手配していた様な記憶のある、華麗なるTV球6EM7一族の流れを汲むコンパクトロン6FM7を、漸くと言うか今更と言うか、満を持しての投入です。
これで戦の装備は整ったぞ。ってか既に揃っていたのですが。 



                    (2SD1409A)
280V +---+---+---+---C  B  E---+ 270V
         |   |   5k     +         〜
        100 0.1  +     120Ω     210V
        μF μF VR30k---+
         |   |   +      47
         |   |  100k   μF
     +---+---+---+------+------+



まずは電源部の平滑回路からやっつけてやりましょう。
5687P.P.Pでは整流直後で280V程の電圧となっていました。
基本回路は こちら  ですが、お勉強用アンプの電源ですので、電圧を可変式にした方が色々使い廻せて都合が良いだろうと、半固定抵抗器を割り込ませました。これで40mA程度の消費電流を想定し、270Vから210V程の電圧を取り出せる、かな?多分。

2SD1409のdatasheetより、40mA時のhFEを400とすると、ベース電流は0.1mAということで、100kΩには2mA程度流してベース電流の安定化を図る様な定数にしましたが、「10k+VR50k+200k」として1mAとし、抵抗値を高めてリプル除去能力を優先した方が良かったのかなぁ。良く分かりませんが、最初から失敗かも。(^^;

c_02.jpg

どうせお勉強アンプ、なにかをどうにかしたらこうなったと云う、その知識の蓄積が主目的と、莫迦素人に有るまじき建設的意欲をもって、上記の安定志向回路で基板を組み上げてみました。

半固定抵抗器のdatasheetには、回転寿命が200サイクルとあります。これが単純に200回せば壊れるぞ、と云う意味かどうかは分かりませんが、耐久性を考慮するならサーメットトリマでは無くポテンショメータ(回転寿命15,000サイクル程)が必要の様です。

ま、これが壊れる程に使い倒せたら、それはそれで本望というものでしょう。其処まで実験という名のお遊びを続けるだけの脳味噌が、この莫迦素人にあれば良いのですが、どうなりますやら。

c_03.jpg

平滑基板が完成したので、早速通電テストです。
手持ちの抵抗器より、負荷として7KΩ/60W相当を付け、電源ON。どうやら目論見通り、270Vから210Vの間で可変出来る様です。第一段階は無事クリアした模様です。多分。

負荷7kΩの場合、270V÷7000Ω=39mAから30mA程電流が流れていることになりますが、その時の2SD1409の消費電力は、
0.4Wから2.1Wとなり、この小さな放熱板だと特に低電圧時の発熱に不安が残ります。うっ、早くも二つ目の失敗発覚か?
ま、どうせ実験用だしと、己の失敗を糊塗して先に進みましょう。
半固定抵抗器は、70V*0.002A=0.14Wと、一応定格内でしょう。
100kΩは、0.002A*0.002A*100k=0.4Wで2Wのものを投入です。

c_05.jpg

取り敢えず、バラック・ボードってこんな感じなんでしょうか?
自分でも良く分かっていない代物を組み上げるとは、素晴らしい
と云うか恐ろしいと云うか莫迦と云うか、何とでも言ってくれ。

まぁ、ここまでは何となく作れるんですが、問題はこの後、
画面の奥に小さく写っている信号部の処理をどうするのか。
web通販店で見掛けて「これは便利かも!?」と思った端子台を組み込んでみたのですが、果たして脳内妄想通りの使い勝手の物なのか、見当違いの物を購入しちまったのか、その結果はもっと先に進まないと判明しないでしょう。その前に、ロードラインを引いてみて、信号部増幅回路の定数を決定しないと、ここは弄り様が無いからだったりします。果たして最適な動作点が判るのか?





ロードラインの検討

c_07.gif

 

FrankさんとこのPDFファイルを紙印刷しても良いのですが、それだと表が小さいし、
プリント・スクリーンしてWin付属のペイントで検討しても良いのですが、
ここはレイヤ機能を搭載したお絵描きソフトの方が便利に使えそうな気がするし、
それならばっ!と云う事で、ぼんずーず様謹製のバッチ・ファイル を利用させて頂き、
PDFをJPEGに変換し、フリーのお絵描きソフト で、ロードラインを検討してみました。
フリー・ソフトの作者の皆様、ありがとうございました。

先ずは電力増幅段から検討です。
6FM7の動作例として、プレート電圧=175V、バイアス=-25V、プレート電流=40mAとあります。
が、負荷抵抗値は記されていない様なので、2.5kでロードラインを引いてみましょう。
2500Ω*0.04A=100Vで、電流が0mAとなる点が175V+100V=275V。
275V÷2500Ω=0.11Aで、電流が最大となる点が110mAで、275V-110mA間を線で結んでと。
えー、多分この青線が2.5kΩ負荷時のロードランでしょう。・・・えぇ、多分(^^;

でもこの175V/40mA/-25Vの動作点だと、バイアスの振幅0V-25V-50V間の比率が悪いなぁ、と。
こちらのご説明より、150V強/50mA弱/-20Vの動作点にすると、バイアス0V--20V間の変化が
約100V、-20V--40V間の変化が約80Vと、歪成分の少ない動作となりそうです。が、これだと
最大出力が減少するんでしょうねー。まぁ、1W以上もあればOKなんですが、
手持ちの電源部では対応するのが大変そうなので、一先ずこの動作点は保留にしとくかなぁ。
この動作点ではプレート損失が7.5Wと定格内ですが、同じTV球の6BM8は結構熱くなる球だった
し、この6FM7はヒーター電流を1.05Aも喰うしで、かなり熱くなりそうな悪寒です。

続いて5KΩのロードラインを引いてみました。
プレート負荷5kΩの場合は、動作点を200V/35mA/-31V辺りにするとバイアスが0V--31V間が
160V、-31V--62V間が120Vと、この辺りが最良のポイントかなぁ、と思いました。
5kΩ負荷の最大出力は、情熱の真空管アンプに載っている式より、
((320V-40V)÷2.828)^2÷5000Ω=1.96Wと求め、ロス分を引くと1.5W辺りですかねー。

続いて7kΩは、「5kΩとあんまし違わねーんじゃねーの?」という印象です。
まぁ、今のレベルだと「似た様なもんですよ。」で一括りにしときましょう。

うーん、取り敢えず5kΩのプレート負荷抵抗が電源の都合上、無難かなぁ。

 


         (231V)   (239.3V)   
          +-+OPT +--+100Ω+-EBC
          P  5kΩ   |   (242.8V)
  +---+---G         C
      |   K   (31V) |
     470  +---+     |
     kΩ 900  |     |
      |   Ω  C     |
      |   +---+-----+
      |   |
  +---+---+--------------+            

出力段の回路はこんな感じでしょうかねー。
カソード抵抗は-31Vのバイアス電圧で35mA流れるので、
31V÷0.035A≒886Ωで、1.8kの並列接続で900Ωでいいかな。
後で2kΩ//1.6kΩで889Ωと気付いたんですが、どうしましょ。
必要ワット数は、2kΩは30V÷2000Ω=0.015Aで
0.015A*0.015A*2000Ω=0.45Wで2Wを、1.6kも2WでOKでしょう。

プレート-アース間電圧は動作点200Vにバイアス分のカソード電
圧を31V嵩上げして231Vと。出力トランスの直流抵抗が236Ωな
ので8.3Vの電圧降下分も嵩上げして239.3Vと。+B電圧を240V程
に調整すりゃOKかなぁ。おっと、出力段信号ループ用のCも入れ
とかなきゃ。ってことは、繋ぎに100Ωでも入れときゃOKかな。

c_08.gif

 

続いて電圧増幅段の検討です。
「情熱の真空管アンプ」には初っ端に6SL7を用いたご解説が載っています。
6FM7のユニット1は6SL7相当らしいので、そのまま真似してお勉強です。
平滑基板にはB電源端子を二つ付けておいたので、そこから直接ユニット1の
プレート電圧を取ろうかとも思いましたが、電圧増幅段は極少リプルとするのが
基本だろうと、CRでフィルタを組み、プレート電圧220Vとしました。

で、ロードラインを引くべく電流値を計算すると、220V÷200kΩ=0.0011Aと。
220V-1.1mA間に引いた青線が200kΩのロードラインと。
交流負荷は、(200kΩx470kΩ)÷(200kΩ+470kΩ)≒140.3kと。
増幅率は、(160V-70V)÷2V= 45倍・・・で良いんですかね。
右肩上がりの橙線は内部抵抗 を求めたもので、rp≒60kΩとなりました。
Datasheet上はrp=30kなんですが、こんな端っこでの動作だと2倍程になるんですかね。
同じく0.5mAを基準に増幅率を求めてみると、μ≒66辺りかなぁ、と。

で、増幅率と云うか電圧利得を求める計算式もある様なので、検算してみましょう。
式に当て嵌めると、66x(140.3kΩ/140.3kΩ+30kΩ)≒54.4倍となります。
rpを表から求めた60kΩとすると、66x(140.3k/140.3k+60K)≒46.2倍となります。
表から求めた利得に近いのは、表から求めたrpの場合の様で、この動作は、
内部抵抗が2倍に強まった、余り良い動作点では無いのかもしれません。
より良い動作点を求めるには、更に高電圧が必要の様です。

振幅は95Vp-pなので、出力段のバイアス64Vを、充分励振出来る・・・のかな。
どうも今一つ、V(p-p)とV(rms)の関係を理解していない様な・・・。

次いで出力段の利得も 5.5x(5k/5k+1k)≒4.6倍と求め、出力トランスの電圧比が1/25で、
総合利得が 46.2x4.6/25≒8.5倍・・・っすか。こんなもんっすか。少なくないっすか。
負帰還に廻せるのは、1.5倍、3dB程度の様です。ま、いっか。

100kΩのロードラインも引いてみましたが、どちらの動作がどうなのかを検討するのは、
もっとレベル・アップしたりスキル・アップしたりキャリア・アップしてからの話でしょう。

 


                                   P
           +-----C--------------+-+G
           |      (222V) (243V) |  K
           +-200K-+42K+-+B      |
           P      |            470
RCA+---+---G      |            kΩ
       |   K (2V) C             |
       51  +--+   |             |
       kΩ 4k C   |             |
       |   +--+---+             |
   +---+---+--------------------+-+   

電圧増幅段はこんな感じになるんですかねー。
バイアス分のカソード電圧が2Vで0.5mAで2V/0.0005A=4kΩと。
電源電圧の243Vをプレート電圧220Vにカソード電圧2Vを嵩上げ
した差分21Vで0.5mA流す抵抗値は21V/0.0005A=42kΩと。
グリッド抵抗は手持ち次第で51kでも47kでもってとこです。

カップリング・コンデンサの容量は、こちらの計算式より0.2μF
〜0.3μF辺りが最適っぽいですが、手持ちにあったかな。
別に0.1μFでも3.1Hz程の様なので、実用上無問題でしょ。
カソードバイパス・Cの容量も、真空管アンプのしくみと基本 を拝
読しますと、大容量じゃ無きゃ駄目だ駄目だ駄目だと思ってしま
いますが、最初ですから気にしません。手持ちをテキトーに。