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                             WE396A / 5670 Para Push-Pull AMP
   
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Special Thanks

VALVES,TUBES,DACS & MORE !
5670ppp基板のプロデュースご担当
Lucy様のblog

Jinson's Personal WebPage
5670ppp基板のアートワークご担当
じんそん様のHP

月刊 無線と実験 7月〜11月号
6V6GT アルテック型
プッシュプル パワーアンプ
黒川達夫 先生
 とても参考になりました。
ありがとうございましたっ。押忍!

 

   

 

「そろそろ「投げ遣りなVR」の替わりの次回作を作ろうかなー。」
と思いつつ、何時もの様にネットを徘徊していたある日、
又もやじんそん様のサイトにて衝撃の出会いが有りました。

どうやら今回は「真空管アンプ基板だぜ!しかもパラpp!!」の様です。
後日公開された基板レイアウト図を元に、無帰還のアンプらしいと判断が付くと
制作意欲が急激に膨れ上がりやがったのは何故でしょう。

「これは作って聴いてみなければ!」と思い立ったらもう、球や部品の検討を始めています。
基板レイアウトが公開されただけで、製作のアナウンスも何も無い状態なのに・・・。
「次回作」も「DS-77z(改)」も「三段構成全段差動ppアンプ」も、
皆、途中で打っ棄って、誘蛾灯に誘われた蛾の如く、じんそん様のサイトに屯ったのでした。

 

   

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ばざーら謹製出力トランス
OPS 10W-D  \3,500
SE/PP兼用ユニバーサル型
1次許容電流 60mA

プッシュプル時
1次:5kΩ/10kΩ
シングル時
1次:2.5k/5k/7k/10kΩ

 

5670という真空管の仕様を調べてみると、パラプッシュプルでも最大出力2W位の様です。
5W位の出力トランスをと探してみると、春日無線さん、東栄変成器さん、イチカワさん
辺りのトランスとなるようです。10W超でノグチさん、HAMMONDさんが選択肢に加わると
いうところでしょうか。どのメーカーさんのを用いても良い音で楽しめるとは思いますが、
「いまイチ、オリジナリティーに欠けるかなぁ。」などと天邪鬼な思考が脳を過ります。

折りしも、上條様のご紹介されていたトランスを拝見し、「トロイダル・トランス、カコイイッ!」
との思いがあったところへ、susi-k様の換装記事を拝見し、「もう、これに決定!」
なんて考えていたんですが、でも、
「1万5千円超かぁ」「40W級かぁ」「2次側4Ωに8Ωを繋いでも1次側7kΩかぁ」
と、どうも5670・PPPアンプとはバランスが取れそうにありません。
うーん、阿蘭陀でのショッピングにも未練を残しつつ、他を当たってみましょう。

そんな時、ふと思い出したのがjkawamori様のblogでの紹介記事でした。
以前、「ばざーらの小さなトランスを購入した。」との記事が載っていたのを思い出し、
早速、検索してみました。如何やら真空管ラジオの専門店のようです。HPはありません。
「つまり、ラジオ用の出力トランス?」と思いつつ、お店に電話をしてみました。
人当たりの好さそうな小父様の声です。「へぇー、5670で。出力は2Wも取れないんじゃない?」
と、店頭でなら自作の相談に乗って貰えそうな印象の店主さんでした。
そういえば、自作の部品を会話をしながら購入したのは、これが初めてです。
通販なんて、お手軽で便利な反面、実に侘しい購入方法だと気付きました。でも致し方無し。

そして、店主さんのお勧めがこの「OPS10W-D」でした。
「小さいのは他にも有るけど、これがいいんじゃないかな。」とのこと。
シングル/プッシュプル兼用の、10Wクラスの出力トランスとのご説明でした。

SE/PP兼用のトランスとなると、その構造上の理由に因りPP専用より低域特性が悪くなる様ですが、
PP用出力トランスとてその特性を発揮するには、ペア管を用意し、バランス調整回路を設け、
アンバランス電流を限りなく0mAに揃えてこその高性能の様です。

現状を顧みますと、
○5670をペアで揃えるのは困難だろう
○PPP基板にはアンバランス電流を調整する機能が無さそう
○私には、改造してアンバランス電流調整回路を取付けるだけの技量が無い
という、歴然たる現実に思い至りますので、ここは兼用トランスでも無問題かなと。

偶には「人柱」として情報を提供しなくては、皆様に申し訳が立ちません。
購入する旨を伝えますと、「じゃぁ、おまけも何か入れとくから。」とのこと。
うーん、何だろう。ラジオのアンテナとか?ラジオのツマミとか?

小さいトランスは、シングル用の「OS4W-C」\1.700です。
ばざーらさんのお勧めする、自信作のようです。
むふっ、どの球で鳴らそうかなー。

 

   

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じんそん様の公開された基板レイアウトを拝見し、パターンを追いながら回路図のようなもの
を手描きしてみました。どうやら、アルテック型(P-K分割型)位相反転段の
無帰還パラプッシュプルアンプらしいと分かりました。

うっ!この回路は、初段と位相反転段がカップリング・Cで繋がっている為、
アルテック型とは呼ばれない様です。詳しくは、Lucy様のblogへどうぞ。
いやぁー、また恥を晒してるなー。いつものことだけど・・・orz

私の「この3年間に作るアンプ・リスト」の中には無帰還アンプは存在せず、
我が家のアンプは、マイナス給電アンプも超三結アンプもLM3886アンプも、皆、高負帰還のアンプです。
「こりゃ無帰還アンプの音色も堪能してみにゃなるまい。」と、渡りに船とばかりに、
5670真空管を手配すべく、速攻で球屋さんを駆け巡りました。
ただレイアウトを公開しただけで、製作のアナウンスなど無い状態なのに、気が早すぎです。

BOI Audioさんでは在庫数が不足とのことで、入荷次第出荷ということで手配しました。
その後、じんそん様より「球もオプションで扱うよ」と。しかも「RAYTHEON」と。
更に、基板のプロデューサーであるLucy様の試作レポートでは「GEよりRAYTHEON」と。
で、届いた球が「GE」で、しかも特性をキッチリ揃えたペア管で、ときた日には、
「俺の人生、ビミョーに歯車狂ってる。」と、思わずには居られません。

まぁ、単に後で球を交換する楽しみが増えたってことなんですが。(^^;

 

   

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使用部品も、何を選択すべきか悩みます。
普通にラグ板と配線材を用いてこのアンプを作るなら、
何の迷いも無くお安い抵抗を用いることでしょう。
でも、ラグ板と配線材で千円も掛からない部分に五千円という大枚叩いて用意した基板です。
豪華な器には、豪華な素材を盛り付けてこそのお大尽モードということで、見繕ってみました。

カソード抵抗、位相反転段プレート・カソード負荷抵抗は、巻線抵抗で纏めてみました。
以前より名前だけは聞き齧って、「どんなもんだろう?」と思っていたWelwynとDALEです。
Welwynは、ホーロー抵抗と名乗るだけあり、小さなホーロー抵抗そのものでした。
(って、まんまやん、俺(^^;)
全段グリッド周りには、生産終了を記念し、お馴染みのRMGを用意しました。
抵抗類も入手し終えたその後に、じんそん様より
「抵抗もオプションで揃えたよ。しかもオールDALEだよ。」との案内が・・・。
「俺の人生、大いに歯車狂ってる」と思ったのは言うまでもありません。
果して、Welwyn.RMG.ちょびっとDALE連合軍は、オールDALE枢軸軍に打ち勝てるのか!?

カップリング・コンデンサは、基板に収まるギリギリのサイズでASCです。
さて、問題はカソード・バイパス・コンデンサです。
折りしも、「無線と実験」誌では黒川達夫先生の「6V6GTアルテック型ppパワーアンプ」が
連載されており、その中でOS-コンを初段のカソード・パスコンとして使用しておられました。
どうやらこの部分のCは「低インピーダンスのCだと高域特性が良くなる」らしく、
OS-コンを用いるのは理に適っているかもと、真似をさせて頂きました。

では、出力段のカソード・パスコンはどうしましょ?
基板レイアウト図では、22μFで、大きさは6〜7ミリ程のものを指定しているようです。
んー、これはまるでOS-コンを指定しているかの様なサイズに思えてきます。
或いは、BG-NXの33μFとか。

「戦列を並べた 真紅のBG-NXが 轟音と共にスピーカーユニットを 吹き飛ばすのが好きだ」

なんて、アホなコピペを考えながら、BG-NXいいかも!と思ってみたり。
しかし、このカソード・パスコンを検討するにはもう一つ、低域時定数が関連するようです。
要は「Cの容量が大きければ、低域特性が良くなる」らしく、この考えからすると、ppp基板の
22μFは少な目という気がするのですが、初心者の知らないルールが何か在るのかも知れません。

などという葛藤を経て、結局カソード・パスコンは全てOS-コン100μFとなりました。
戦列を並べた8個の真っ赤なBG-NXにも、捨て難い魅力が有るんですけどね。

< 2005/11/02 >

 


製 作 開 始

c04.JPG 今回は、5670PPP基板の美しさも楽しむ方向でシャーシ・デザインを考え、クールな青基板にはクールなアルミの地肌がお似合いかなと、「見せるアルミシャーシ」を考えたのですが、私に金属加工は無理なので、気合を入れて板金屋さんに見積依頼した所、嗚呼、「九千円」とのご返事でした。(ToT)
貧乏人は直ちに転進し、百円ショップにてモノを見ながら考えた、
バラック仕様、総額七百円プラス手持ちのアルミ板プラスαにて
急遽組み上げることと相成りました。
ちなみにこの中央の仔猫ちゃんは、バナナがおやつに含まれるが如く、今回の制作費、七百円に含まれます。決して「萌え」に目覚めた訳ではありません。・・・ホントか?・・・ 
c05.JPG トランスの配置を検討する為、例の如く漏洩磁束のチェックをしてみました。流石は噂に違わぬRコア・トランスです。前回の伏椀型トランスに比べ「ブーン」と言うハム音の音量が、格段に少なめのようです。一番ハム音を拾う状態でも、(その音量は微かなものですが)2センチも離せば殆ど聞こえなくなります。
勿論、伏椀型でも配置方向に留意すれば、全く問題は無いので
すが。
手配したトランス用のシャーシが、あまり余裕の無い大きさだったので不安も有ったのですが、先ずは一安心です。
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c07.JPG 基板の裏側では、ヒーター用配線材を取り廻してます。
Lucy様のご教示の通り、初段管から引き廻しました。
ヒーター配線用のランドには、TU-879の製作で覚えた小技、
「山盛りの半田メッキ」で対応しました。
こうして見ると、Lucy様の作例の様に円を描いて配線材を引き
廻した方が、すっきりした印象になって良かった気が・・・。

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一先ずppp基板は完成しました。
う〜む、見るからに良い音がしそうな気がしてくる基盤です。(^^;
無事に良い音を奏でる様一旦神棚に奉り、引き続きシャーシの製作に突入です。

< 2005/11/08 >

 

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トランス用シャーシ内は、こんな感じです。
Rコア・トランスと出力トランスをすっきり格納するには、
横長のケースが良いかなとタカチのMB−13を用意しました。

そして上條様の作例を真似させて頂き、トランス直列配置としました。
Rコア・トランスは底にネジをかませ、上げ底にしていますが、
厳密には中心軸は合っていないでしょう。1〜2ミリはズレている予感が。(^^;
もう少し横長のケースだったら、トランスの間隔もとれて良かったのですが。

スピーカーのマイナス端子とRコアのアースは、
ピンジャックを用いて基板シャーシと接続するようにしました。

偶々購入することとなったSE/PP兼用出力トランスですが、
こうして電源トランスと一緒にケーシングすると、220V程度の電源を要する、
小型管を使用したシングルアンプ、プッシュプルアンプのどちらでも、
真空管の信号増幅部分だけを別シャーシで組み上げれば使い回しが出来るかなと。
えぇ、貧乏人の発想でアレですが。(^^;

 

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思い付きデザインの、でっち上げバラック仕様ppp基板アンプの完成です。
当初の目的である「基板の美しさも楽しむ」アンプという点はクリアしたかな、と。
えぇ、只単に基板を剥き出しにしただけ、ではありますが。

高圧電源部が剥き出しの儘で超デンジャラスだわ
信号配線材が剥き出しの儘でノイズ耐性が低いわ
全く以ってバラックでジャンクな逸品となりました。

 

c11.JPG 後姿は正しくバラックそのものです。
剥き出しの儘の入力端子など、如何にもノイズ耐性がひくそうです。「こんな高級品、バラックに使うな」と怒られそうですが、でもカコイイ!ので使わずには居られませんでした。
c12.JPG 横から見ると、こんな感じです。如何にも安普請です。
ま、七百円プラスαですから、其れなりってことでご容赦を。
構成は、アルミ板の表面にコルクシートを貼りppp基板を載せ、
アルミ板とペン・スタンドの間に補強板を敷き、ネジ止めしています。寝せる角度は30度位ですが、この角度ですと右側のネジに長いものが必要となり、予算追加で長いネジ80円位を購入しました。
ペン・スタンドはプラスッチック製の為、強度不足なのが難点です。難点と言えば、このデザイン全てが難点だらけなんですが。

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ご主人様の声に耳を傾ける忠犬が寄り添うのにお似合いなのがスピーカーならば、
その暖かさに背を丸める仔猫が微睡むのにお似合いなのが真空管
と言うことで、百円ショップの仔猫ちゃんの登場です。
        _, ._
これで「真空管アンプ( ゚ Д゚)ハァ?」などと宣ふ
不埒な腐女子の剛毛の生えた「はぁ〜と☆」を鷲摑みでしょう。
はい?イマドキのジョシコーセー相手には、この程度じゃ無理っすか。そーですか。

 

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ばざーらさんから頂いた「おまけ」は、何とCDでした。
んー、太っ腹!と言うか、「私のトランスで下賎な騒音を鳴らすことなど許さん。こんな高尚な音楽に耳を傾けなさい。」と言う思し召しなのでしょうか。(^^;
折角のベンちゃんですが、聴き慣れないジャンルの為か、クラシック音楽の聴き所が今一つ良く分かりません。
私の耳も、長い時間を掛けてエージングする必要があります。

他に、シールドケーブルも「おまけ」で入っていました。
ばざーら店主様、どうもありがとうございました。
 

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 完成05年11月                                                              << HOMEへ >>