県内プロバイダーの逮捕事件に関して

白神インターネット協議会 会長 杉澤 徹

 インターネットに関して大館で不祥事がありました。民間プロバイダーが猥褻なCD-ROMを作ってインターネットを使って不特定多数に販売したというものです。2業者とも逮捕されました。また、10月にはネット上で誹謗中傷された女性からの訴えで、秋田市の男性が名誉毀損で逮捕されました。
 インターネットは垣根のない自由な世界です。今回のことが発端で、インターネットを利用した通信に対して規制が強化さることを懸念しております。
 パソコン通信の世界では、管理運営者である大手業者が管理責任を問われ損害賠償を請求された例もあります。しかし、インターネットは世界中のコンピュータが接続されて情報が交換されており、全体を管理する大手業者がいるわけではなありません。管理する側とされる側という構図がない世界であるがゆえに、個人の責任と良識ある判断で利用することが基本となります。

 車社会は流通と経済の発展、個人においてはドライブなどのレジャーというように社会に豊かさをもたらしました。一方では交通戦争や騒音、排ガスによる環境汚染という弊害ももたらしました。しかし、マイナス面だけをみて、今日の社会から自動車をすべて排除するということがいかに非現実的なことであるかは誰でもわかります。
 インターネットの普及は車社会における道路の整備によく似ています。利用するにあたっては、法的規制だけではなく、個々の交通マナーやアイドリングストップ運動といった自主的な責任判断が重要になります。インターネットにおいても自主的な良識ある判断が求められるのではないでしょうか。

 秋田県では情報立県を目指して、平成8年度から「インターネット活用型地域情報ネットワーク形成支援事業」を始めました。本荘由利、田沢湖角館地区を皮切に、次々と協議会が作られ県内全域に低廉にインターネットを利用できる環境が整いました。現在では、秋田、大館、男鹿を除く八地区で、総計3,500に近い会員数になっております。全県の地域プロバイターはそれぞれの地域で産業・観光・物産の紹介や行政情報など地域情報の積極的な発信をしており、地域の活性化、公共の福祉に多大な貢献をしております。
 白神インターネット協議会もこれまで、能代山本地区の情報発信はもちろんのこと、白神山地の情報発信ということで、隣県の岩崎村や鰺ヶ沢町との交流も行っております。設立一周年記念事業としては、子どもたちの描いたイラスト展、バーチャルショッピングの実験、教育的活用への支援を目的とした講演会や研修会の開催、行政担当者との意見交換会など行政と民間が一体となって取り組んでおります。

 今回逮捕されたプロバイダーは県の支援を受けた地域プロバイダーではありませんが、会員の利用状況をチェックする立場にあるプロバイダーが自らこのような事件を起こしたということは、大きな問題であり非常に残念なことであります。最近大館地区にもインターネット協議会が設立されました。今後この「大館地区インターネット協議会」に大館地域の情報化の促進とインターネットを利用した地域起しを期待したいと存じます。
 今回の事件はまったく遺憾な事ですが、このことだけをことさらに取り上げてインターネットの弊害を説くよりも、間近に迫った二十一世紀における無限の可能性に目を向けることが肝要と考えます。併せて利用者においては、社会通念上良識ある使い方をして、今回の事件が法規制の発端にならぬ事を祈念するものです。


白神ネットホームページへ