ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー | ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 | 1947年5月27日 | 冒頭からデフォルメしまくりでまさにフルトヴェングラーって感じ。縦横無尽にテンポを変化させ、それでいて曲の流れを失わず怒涛のラストまで一気に聴かせる。真似しようとしてもできない、この交響曲のひとつの究極のカタチ。 | ★★★★ |
カルロス・クライバー | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 | 1975年 | フルトヴェングラーと演奏タイプは全く違い、こちらはリズムと勢いでぐいぐい前へ押し進む。正統派の演奏が聞きたいならこっちか。そのパワーでカラヤンも吹っ飛ぶ? | ★★★★ |
ベートーヴェン:交響曲第7番
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 | 1950年1月 | 上ともろかぶりだが仕方ない。ベートーヴェンの演奏においてフルトヴェングラーは外せないのだ。スピード感と、ややもするとそれに隠れがちなこの曲が持つ精神性とが、高い次元で両立した稀有な演奏。 | ★★★★ |
カルロス・クライバー | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 | 1976年 | ワーグナーが「舞踏の聖化」と呼んだ躍動感あふれるこの曲は、クライバーにとっても正に真骨頂と言える。リズム感や迫力も申し分ない。録音のよさをとるならこっちか? | ★★★☆ |
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー | バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団 | 1951年7月29日 | 数え切れない録音があり、個人的にも生演奏、テレビなどを含め数十種類の演奏を聴いたが、今のところ興奮度でこの演奏に勝るものには出会っていない。録音はよくないし、ラストのコーダではフルトヴェングラーのあまりの超速テンポにオケがずれてたりもするが、そんなものはお構いなしの魂がここにはある。賛否あれど、一度は聴いておくべき演奏。 | ★★★★★ |
レナード・バーンスタイン | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団&ウィーン国立歌劇場合唱団 | 1979年9月 | 演奏と録音の均衡が最も取れたもののひとつといえるだろう。熱さと美しさの両方を体感できる。ただ、個人的にベートーヴェンはもっと厳しく演奏してほしいというところがあるので星はこの程度。バーンスタインの響きには愛がありすぎる。 | ★★★☆ |
オットー・クレンペラー | フィルハーモニア管弦楽団&合唱団 | 1957年10〜11月 | 上記三つの熱い演奏とは趣を異にする、言わば達観したかのような演奏。全体を通して表現力がすばらしく、内からの感動がある。特に第1楽章のラストの表現は、数ある第9の中でも随一といえよう。噛めば噛むほど味が出る、スルメ第9。 | ★★★☆ |
クラウス・テンシュテット | ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団 | 1985年9月13日 | テンションはフルトヴェングラーに負けず劣らず。非常に熱い。ただ、ちょっとアンサンブルの粗さが目立つのと、最近の録音にしては音質がイマイチなのが残念。十分完成度は高い方だと思うけど。 | ★★★ |
ベルリオーズ:幻想交響曲
シャルル・ミュンシュ | パリ管弦楽団 | 1967年10月 | ミュンシュが晩年に残した決定的名盤。1967年、パリ音楽院管弦楽団が発展的に解消され、フランスの国威をかけて創設されたパリ管のデビュー盤でもある。第4,5楽章の圧倒的表現はミュンシュならでは。 | ★★★★☆ |
アンドレ・クリュイタンス | パリ音楽院管弦楽団 | 1964年5月10日 | 東京文化会館での来日公演ライブ。この時期のフランスは、指揮者に恵まれていたんだなあ。もちろんオケが優秀なのも必須条件だけどね。両者を比べると、こっちのほうが音が華やかかな。本当は、双方甲乙つけがたいんだ。クリュイタンス盤は第5楽章の鐘が音痴なのでミュンシュに軍配。 | ★★★★ |
ブラームス:交響曲第1番
シャルル・ミュンシュ | ボストン交響楽団 | 1956年 | 世間的にはパリ管弦楽団と残した方が伝説の名盤らしいが、未入手なのでこっちを掲載。音の厚みとパワーは十分聴き応えがある。パリ管の方もいつか聴きたい。 | ★★★ |
レナード・バーンスタイン | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 | 1981年10月 | 個人的に、クラシックにはまるきっかけになった演奏。バーンスタインだけにためるところではめいっぱいためるが、変にいやらしくならずいい感じに仕上がっている。弦の音がきれい。 | ★★★ |
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
レナード・バーンスタイン | イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 | 1986年9月 | まず特筆すべきは第2楽章の長さ。通常の指揮者が10〜12分でやるところを、なんと18分もかけてやっている!途中で止まっちゃうんじゃないかってぐらい。でもそれが逆に妙な緊張感を生んでて好き。ただ、個人的にこの演奏の一番の聴き処は第3楽章。今度はものすごいスピードで一気に畳み掛ける。低音のグルーヴ感もかっちょいい。第4楽章の壮大なクライマックスもこの人ならでは。マーラーかっての。 | ★★★★ |
マーラー:交響曲第5番
レナード・バーンスタイン | ニューヨーク・フィルハーモニック | 1963年 | マーラーは、実はあまり聴かない。ただ、この5番の第4楽章は、なんともいえず好きだ。バーンスタインのマラ5にはウィーン・フィルのものもあるが未入手。 | ★★★☆ |
マーラー:交響曲第9番
レナード・バーンスタイン | ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 | 1979年10月 | バーンスタインが生涯で唯一、カラヤンの独壇場であったベルリン・フィルに乗り込んでの緊張感いっぱいのライブ録音。本番の前日と翌日にコンサートを入れられるなどカラヤンからの邪魔もあった(らしい)が、終わってみれば語り継がれる伝説の名演。第4楽章で天に召されよう。 | ★★★★ |
プロコフィエフ:交響曲第1番「古典」
シャルル・デュトワ | モントリオール交響楽団 | 1988年5月 | 実は、プロコフィエフの交響曲は未だこれぞ!という演奏に出会ってないのが現状。現在持ってるものの中で、一番聴きやすいのがこれ。デュトワはこういう細やかな曲を実に丁寧に仕上げてくれる。 | ★★★ |
プロコフィエフ:交響曲第5番
シャルル・デュトワ | モントリオール交響楽団 | 1988年5月 | 1番同様こちらも暫定評価。この5番の場合、曲が曲だけに誰がやってもそれなりの爆演になるので、逆に繊細な部分をどう仕上げるかで評価が分かれてくる。その点、デュトワの演奏は悪くはない。ただ、良くも悪くも中庸の演奏。今ひとつの個性に欠ける気がするのだ。 | ★★★ |
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
エフゲニー・ムラヴィンスキー | レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 | 1978年4月30日 | ちょっと好みじゃない演出もあるが、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのこの乾いた響きはなかなか出せるものではない。でも実はこの曲には外せない名盤がある。残念ながら一般発売していないので伏せておくが(ヒント:H.S指揮、演奏A大学R.M)。 | ★★★☆ |
カール・ベーム | ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 | 1966年3月 | この曲は変に色をつけずに割と淡々としている方がいい演奏になる気がする。その点、模範的ともいえる演奏を聴かせてくれてるのがこのベーム盤。オケの特徴か、ムラヴィンスキー盤よりもオケの音が華やかに聞こえる。あとは好みの問題。 | ★★★ |
シューマン:交響曲全集
レナード・バーンスタイン | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 | 1984〜5年 | バーンスタインが憑かれたように曲に没頭する姿が頭に浮かんでくる。曲が持つ狂気をここまで如実に引き出した演奏はないんじゃないだろうか。他をあまり聴いたことがないので大きなことはいえないが。バーンスタインが死ぬ間際に残したPMFでの2番の映像記録も貴重。 | ★★★★☆ |
ショスタコーヴィチ:交響曲全集
ルドルフ・バルシャイ | ケルン放送交響楽団 | 1992〜2000年 | 超廉価で話題になったバルシャイのショスタコ全集(今は若干値が上がった。それでも安いが)。ショスタコに師事し、後には交響曲第14番の初演も行うなど、作曲者と親交のあったバルシャイの演奏は、決して値段と同じく安いものではない。派手さはないが、作曲者の意図と曲の意味をしっかりと把握した腰の据わった演奏で、安心して聴いていられる。といいつつまだ全部は聴いてないんだけど・・・。 | ★★★ |
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番「革命」
ベルナルト・ハイティンク | ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 | 1981年5月 | 安価で手に入るので軽んじられがちだが、なかなかに均整の取れた好演。昔はバーンスタインのラストにおけるはっちゃけぶりに興奮したものだが、今はこっちの方をチョイス。ただ、この曲もベストといえる演奏にはまだ出会っていない。 | ★★★ |
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」
エフゲニー・スヴェトラーノフ | ソビエト国立交響楽団 | 1978年2月28日 | こりゃすげー。これ最高。第1楽章の「戦争の主題」で見せる、最弱音から長ーいクレッシェンドを経て最後はものすごい加速とともに地獄絵巻を繰り広げる様からしてまず他の追随を許さない。打楽器群も躊躇なく大音量でぶっ放し、ブチキレ寸前の金管群が鼓膜を刺激する。かといって繊細な部分の表現も秀逸で、静と動、緩と急を自在に使い分けるスヴェトラの真骨頂的演奏となっている。14秒!にも及ぶラストのトゥッティを含め、とにかく全編を通して圧倒されまくりだ。 | ★★★★★ |
レナード・バーンスタイン | シカゴ交響楽団 | 1988年6月 | 世間的にも定評のあるバーンスタイン&シカゴ響盤。スヴェトラーノフとの違いは、この戦争交響曲をものすごく感動的に歌い上げているところか。曲に没入し、同化し、心中していくかのようなバーンスタイン独特のアプローチで、深く、深く切り込んでいく。オケの音がとてもきれいなのも特徴。「圧倒」のスヴェトラ、「感動」のバーンスタイン、さて、どっちをとる? | ★★★★ |
シベリウス:交響曲第5番
ネーメ・ヤルヴィ | エーテボリ交響楽団 | 1982年10月 | 演奏する側としては難易度の高い曲だと思うが、曲自体の完成度が高いので、そこそこの演奏は多い。ただ名演となると極度に少なくなる。この曲にはいくつかの個人的なツボがあるのだが、このヤルヴィ盤は、そんな俺のツボをしっかり押さえ、全体的な完成度も極めて高いベストの演奏といえる。他の演奏では若干繊細さに欠ける面を見せることがあるヤルヴィも、この演奏ではさにあらず、加えて彼本来の豪胆な演出も出し惜しみなく披露された、隠れた(?)名演奏といえるだろう。 | ★★★★☆ | |
サイモン・ラトル | バーミンガム市交響楽団 | 1987年2月 | その大胆な解釈ゆえに時としてとんでもなくエキセントリックな演奏を繰り広げることもあるラトルだが、あなどるなかれ、このシベ5はかなりいい。特筆すべきは弱音部。おいおい大丈夫かいってぐらい小さい音で曲が進行する様は、スリリングではあるがその効果は絶大、この曲の醍醐味のひとつであるダイナミクスの幅を存分に楽しむことができる。ただ、その若さゆえか、ラストをはじめとした壮大さ、雄大な表現が求められる個所では若干物足りなさも否めない。 | ★★★★ | |
ジョン・バルビローリ | ハレ管弦楽団 | 1966年7月 | ラストの昇天への盛り上がり方など聴きどころも多いが、アレグロ部分のテンポが遅めで、他指揮者の演奏を聴いたあとではちょっと間延びして聞こえる。特に第1楽章ラスト、第3楽章冒頭などでは、疾走感あふれるヤルヴィのような演奏をどうしても期待してしまう。 | ★★★ | |
パーヴォ・ベルグルンド | ヨーロッパ室内管弦楽団 | 1996年12月 | シベリウス・ファンには高い評価を得ているベルグルンド、その3回目の全集から。無駄を廃し、骨組みだけにしたような、ちょっと他とは違う空気感を持った演奏。ただ、音が生々しくて時にグロテスクに思えてしまう。純粋に曲を知るにはこれ以上のものはないけどね。 | ★★★ |
チャイコフスキー:交響曲第4番
エフゲニー・スヴェトラーノフ | ソビエト国立交響楽団 | 1990年5月24日 | これはもうこれ以上の演奏は今のところ考えられない。冒頭の豪快な金管のファンファーレから、疾風怒濤のラストにいたるまで、全編を通して完璧。特に第4楽章は、そのゆるぎないパワーと圧倒的迫力、息つく暇も与えない超速スピードで、否応なく熱狂させられる。興奮度、満足度ともに120%の快演。スヴェトラーノフ万歳! | ★★★★★ |
チャイコフスキー:交響曲第5番
エフゲニー・スヴェトラーノフ | ソビエト国立交響楽団 | 1990年5月24日 | 今まで聴いてきたチャイ5とは一線を画する名演奏。まるで重戦車のように腰をどかっと据え、確固たる自信とそれに見合う説得力とをもって悠然と突き進む。メリハリも非常によく効いていて、激しいところはとことん激しく、聴かせどころではめいっぱいメロウに響かせる。超速テンポやパワフル・ブラスも健在。ラストはやはり興奮の坩堝。 | ★★★★☆ |
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
ワレリー・ゲルギエフ | サンクトペテルブルク・キーロフ歌劇場管弦楽団 | 1997年7月4、6〜7日 | 長いことこの曲は苦手だったが、最近やっと聴けるようになった。どうやら、男性的なアプローチをした演奏なら聴けるということがわかったのだ。雄大に聴かせてくれるゲルギエフは、その点では俺に向いてる。っていうかこれは一般的に見てもかなりいい演奏なんではないか? | ★★★★ |