このページは、僕の見た夢を日記調にしたものです。僕が夢を見ると更新されます。なお、夢なので、必ずしも話のつじつまが合っていない場合があります。
2003年2月6日の夢「島谷ひとみ」
毎日毎日同じことの繰り返し。刺激がほしい、変化がほしい、出会いがほしい、何でもほしい。テレビでは「堂本剛の正直しんどい」をやっている。ゲストは島谷ひとみ。いっしょにカラオケをやっている。いいなあ。俺は、島谷ひとみが嫌いじゃない。ふとした瞬間に顔が不細工になるところなんか、俺好みだ。どちらかというと、芸能人としてみるより、彼女にしたいタイプ、といったところか。
なんかますますいたたまれなくなり、ドライブでもして気を紛らわそうと思ったが(免許取りたて)、風邪を引いて熱がある今、あまりそういう気分にもなれない。僕はパソコンに向かい、いつになく出会い系サイトを覗いてみた。一時期はちょっとやってみようと試みてみたものの、結局顔も知らない相手と話をしてもつまらないという結論に至り、それ以来遠ざかっていた。ただ、今日のようなやるせない夜はなんにでもすがりたいという気持ちだった。即効性がほしかったので、チャットに挑戦。いろいろ見ているうちに、あまり人のごちゃごちゃしてなさそうな個人チャットを発見。ここにしよう。
<秋田・匿名>誰かいませんか?
<広島・ひとみ>こんにちは
<秋田・匿名>眠れなくて。ちょっとお話しませんか?
<広島・ひとみ>それより、今から会いましょうよ
<秋田・匿名>え?だって、キミの住所が本当なら、とても簡単に会える距離じゃないじゃん
<広島・ひとみ>思いが通じれば、不可能なことはないよ
失敗した。よりによって、こんな頭イッちゃってる子とつながるなんて。それに、距離はともかく、話し始めて藪から棒に「会おう」なんてまずおかしい。俺は、ネットでの関係は絶対ネット内に収めるべきだと思っている。上手くいきっこない。ますますやるせなくなった自分の気持ちを抱え、なんだか泣きたくなってきた。その子との会話を早々に切り上げ、パソコンの電源を切った。やっぱドライブ行こう。さっさと着替えて、車庫に向かう。車に乗ってエンジンをかけると、ガソリンが残り少ない。仕方がないので最寄のガソリンスタンドによって満タンに入れてもらい、トイレも借りた。さて、今度こそドライブ、と、車に乗り込もうとしたそのとき、後ろから不意に話し掛けられた。
「こんにちは」
「え?」
振り返ると、そこに島谷ひとみが立っていた。いや、ちょっと違うか。本物よりちょっと若い?それにいても似ている。
「ドライブ行くんですか?私も乗っていいですか?」
「も、もちろん」
普段は疑り深い方だが、その日のやるせない気分と、目の前にいるのが島谷ひとみ激似というのとで、すっかり麻痺していた。二人は車に乗り込み、行く当てもなく延々とドライブをした。彼女との時間は最高に楽しかった。聞き上手だし、話し上手。ノリもテンションも似ている。僕は時間を忘れて彼女とのドライブを楽しんだ。
明け方になると、彼女はどこへともなく帰っていった。彼女は広島出身で、今は親戚の家に遊びにきてるらしい。数時間前にチャットした子も広島県のひとみちゃんだった気がしたが、あまり考えないことにした。何より急に毎日が楽しくなった。僕らは次の日も会う約束をしたのだ。
それから、僕らは夜のドライブ限定の関係を楽しんだ。話は尽きることがなかった。風邪は治ってなかったが平気だった。彼女とずっといっしょにいたい思った。数日たって、彼女が不意に言った。
「ねえ、おばさんの家に来ない?」
車を運転しながらの話にも疲れてきていたので、僕は行くことにした。彼女が案内した場所は、町からはちょっと離れた、どちらかというとみすぼらしい家だった。それでも、感じのいいおばさんに迎えられ、ぼくらはまた朝まで延々と話をした。最近の映画の話から将来の夢まで(彼女は歌手を目指していた)、今思うと、その話のどれもが他愛のない、とりとめのないものだったと思う。それでも僕は楽しかったし、彼女も楽しんでいるようだった。
ふと目が覚めると、彼女の寝顔が目の前にあった。僕らは、一つの小さな布団にいっしょに寝ていた。ああ、あのまま話し疲れて寝てしまったらしい。時計を見ると、朝10時。ここ数日の不摂生がたたったのか、風邪はますます悪化しているようだった。頭がガンガンする。いったん帰らなきゃ。彼女の無垢な寝顔に、キスしたい衝動を必死に抑え、僕は彼女を起こさぬようそーっと帰ろうとした。すると、
「ねえ」
「あ、起こしちゃった・・・?」
「ねえ、今日はこのままずっといっしょにいよう。何もいらないから、そばにいて添い寝してくれるだけでいいから。ね?」
「だめだよ。風邪がうつっちゃうよ。」
「そんなのうつるならとっくにうつっちゃってるよ。大丈夫、いいでしょ?」
「いや、そうしたいんだけど、今日はもうどうにも具合が悪いんだ。また今夜。今日一日十分休養を取って、元気になるから。明日はきっと、ずっといっしょにいるから。」
「そう・・・」
今思えば、どうしてあの時多少無理してでも一日いっしょにいてあげなかったんだと思う。風邪なんて、たかが知れてるじゃないか。僕は、明らかに彼女のことが好きになっていた。彼女のためなら何でもしてあげられると思った。ただ、あの時は慢心していたんだ。あまりにも当然のように毎日会っていたから、会えなくなることなんて、考えもしなかった。考えられるわけがないだろう!
翌日も、その翌日も、彼女は約束の場所に現れなかった。おばさんの家だといわれた場所にも行ってみた。だが、そこにあったのは、誰も住んでいない、小さな掘っ立て小屋だけだった。僕は狐か狸にでも化かされたんだろうか。それとも、普段の鬱憤と風邪とが相まって、右脳が僕にささやかな夢を見せてくれたんだろうか。今となってはもうわからない。車に戻ると、燃料切れを示すFuelのマークだけが、空しく光っていた。
数ヵ月後、僕は上京していた。数ヶ月ぶりのみんなとの再会。この間のことがまだ心の隅にこびり付いていたが、僕はあれを夢だと割り切ることにした。みんなと会って飲んだりすれば、気も紛れるってもんだ。久しぶりに里恵にも会える。
飲み会にはまだ時間があったので、僕はぶらっと渋谷の街を散策した。相変わらず活気付いてる。センター街に入ってまもなく、なんだか周りがざわついてる。なんとなく聞き耳を立ててみる。
「おい、今HMVに島谷ひとみが来てるらしいぜ」
僕は心臓が止まりそうになった。この間の”夢”がまた鮮明に蘇る。いや、おかしな話だ。相手はモノホンの島谷ひとみ。僕は、まだ心臓が動悸している自分を嘲った。ただ、足は自然とHMVに向かっていた。これで気持ちの整理がつくような気がした。相手はスター、僕は一般人。
島谷ひとみは、新曲のプロモーションをしていた。ゲリラ訪問らしく、彼女は自分のCDを買ってくれる人に、一人一人サインをし、握手を交わしていた。そういえば、彼女も歌手を目指してるといってたな。ここは一つ彼女にあやかって島谷ひとみのCDを買ってやろう。僕も列に加わった。テレビで見るよりずっときれい。やっぱり芸能人は違う。やがて僕の番になった。彼女はCDに丁寧にサインをし、握手をしようと手を差し伸べた。僕も手を出す。目が合った。彼女は一瞬きょとんとした顔をし、それから優しく微笑んで言った。
「ひさしぶり」
2000年5月24日の夢「世界の終わり」
人間以外の生物たちがいっぱい出てきて人間の悪いことをいっぱい言ってきた。この世で人間だけがする醜いことの数々。嘘をつくこと、中傷すること、恨むこと、意味のない殺戮、虐待、とてもここでは書ききれない。人間に理性というものが備わってから始まった悲劇の数々。でもこれは人間同士のことだからまだいい、とその生物たちは言う。問題は自然破壊。いつしか自然と共存することをやめ、自らの私腹を肥やすためだけに動くようになった人間。そのために破壊される自然。それによって、地球上に生きる人間以外の生物にも危害を及ぼすことになった。この世に人間が生まれてこなかったらよかったのに。
「だからみんな、死んでしまえばいいのに」
「私はあなたの人形じゃない」
「私とひとつになりたい?心も身体もひとつになりたい?」
「だから私を見て!ママ!」
「欠けた心の補完。不要な身体を捨て、全ての魂を今ひとつに」
「レイ・・・」
「駄目。碇君が呼んでる」
生物たちが口々に言っている。意味が分からないものもある。ただ、みんな人間を忌み嫌っていることはわかった。でも、そうなんだろうか。人間にもいいところはいっぱいあるじゃないか。優しさや思いやり、何より「愛」という感情を持っているのは人間だけだ。
「そんなものは全て人間が自分たちに都合がいいように作り上げたものだ。愛だと?愛に地球が救えるものか」
確かに人間は、今まで多くの自然を破壊してきた。でも、それは仕方がないことではないのか。理性を持ったが故に文明が生まれ、それを発展させていきたいと願う。でもそれには、何らかの犠牲がともなうだろう。
「おまえたち人間は自分のことしか考えない。おまえたちの文明を発展させることよりも自然を維持する方が地球にとってはいい、ということがまだわからないのか。もういい・・・どうせもうおしまいだ。見ろ、おまえたちのせいでせいで地球は滅びた。」
ふと周りを見渡すと、そこは、見渡す限り何もなかった。無。真っ暗闇とも透明とも判別のつかない世界に、僕は一人立っていた。立っていたかどうかもわからない。もはや自分の姿さえ見えなかった。
2000年5月10日の夢「マラソン大会」
小学校のマラソン大会。僕は長距離が苦手だった。ビリと言うほどではないが、順位はいつも中の下。中途半端なことこの上ない。僕が当時すごく仲がよかったやつがいた。そいつはいつもトップ10以内をキープしていた。そいつは他のスポーツも得意だった。すごくうらやましかった。悔しいから特訓した。毎晩走るのを日課にした。そして次の年のマラソン大会、僕は、なぜかなんの苦労もなくトップ10以内にいた。なんだ、こんなに楽なことだったのか。そしてゴール目前、僕の前で走っているのは、例の仲のいい友達だった。今なら追い越せる気がした。一気にスパートをかけた。真横に並んだ瞬間、そいつと目があった。僕と目があったそいつは、何かに怯えるような、何とも言えない表情を見せた。僕は追い越すのをやめた。僕は全てを理解した。そいつは、今まで僕といることで優越感を得ていたんだ。それを壊すことはたやすかったけど、僕はあえて追い越さなかった。今度は僕の番。追い越せるのに追い越さないと言う最高の優越感。その日の夕方、ニュースで、ある少年が親友だったはずの友達を殺したというニュースをやっていた。優越感と劣等感の狭間。僕はその事件の意味を、何となく理解できた。
寸評・・・俺は追い越しちゃうと思うんだけどなあ。多分、最近ひんぱんに起こってる少年犯罪の影響でしょう。俺はこんなに暗い奴じゃない(はず)。
2000年4月25日(火)の夢「ラプソディー・イン・ブルー」
僕は、前々から楽しみにしていた山下洋輔ピアノの「ラプソディー・イン・ブルー」のコンサートに来ていた。開演前、ずっと前の方の列に、二人の男の子が見えた。年は7つか8つぐらいだろうか、まだ大きすぎるシートにとても仲が良さそうに座っている。その子供たちを見るともなく見ていると、昔の失われていた記憶がよみがえってきた・・・
・・・十数年前、僕には、カズキ(仮)という、いつもどこへ行くにも一緒といってもいいぐらい仲のいい友達がいた。ある日、中3になるカズキのお姉ちゃんがピアノの発表会に出るというので、カズキの家族に連れられて僕も会場に行くことになった。
カズキのお姉ちゃんのことは、もちろんよく知っていた。優しくてきれいで、それによく一緒に遊んでくれたので、僕はそのお姉ちゃんのことが大好きだった。かずきも、お姉ちゃんのことをとても尊敬していた。お姉ちゃんは一生懸命練習していたので、僕もカズキもその発表会をとても楽しみにしていた。
いよいよ発表会が始まったが、お姉ちゃんの順番になっても、お姉ちゃんはいつまでたっても出てこなかった。僕らより先にこの会場に向かったお姉ちゃんが、僕らより遅いはずがない。でも、お姉ちゃんは結局その会場のどこにもいなかった。
僕らは会場を出た。すると、カズキの両親のところに、警察の人が話しかけてきた。警察の人がなにやら説明していた。すると、突然カズキのお母さんが泣き崩れ、いつもにこにこしているカズキのお父さんが、今まで見たこともない恐い顔をしているのが見えた。僕は、何となく居づらくなって、そこからは一人で帰った。
次の日、カズキは学校に来なかった。次の日もその次の日も、カズキは学校を休んだ。僕は心配になって、ある日カズキの家に行ってみた。でも、カズキの家には誰もいなかった。その日の夜お母さんに聞いたら、カズキの家は引っ越したんだ、といわれた。理由を聞いても、はっきりしたことは教えてくれなかった。カズキとはその後、二度と会うことはなかった・・・
・・・「ラプソディー・イン・ブルー」は素晴らしかった。演奏が終わると、会場を拍手の渦が埋め尽くした。前にいる子供たちも、熱心に拍手をおくっていた。
その日の帰り、僕はビデオ屋に寄った。中古のビデオが、処分品として大安売りになっていた。何か掘り出し物はないかとその中をあさったが、古い映画ばかりでどうもこれといったものはなかった。そこには、いくつかのAVも混じっていた。その中の一本のビデオのジャケットを見て、僕は体中に衝撃が走り、しばらくそこを動くことが出来なかった。
レイプをテーマにしたそのビデオのジャケットには、服を引き裂かれた、泣き叫ぶカズキのお姉ちゃんがうつっていた。
2000年4月17日(月)の夢「一夜の夢」
僕はいつも通りビデオを借りに下北沢駅前のレンタルビデオ屋にやってきた。すると駅前の広場で声をかけられた。女の子だった。顔は新しくモーニング娘に入った吉澤ひとみによく似ている。でも格好は、いかにも下北、といった感じのおしゃれで派手な服装だった。そのときは道を聞かれただけでわかれた。
一週間後、僕が借りたビデオを返しに再び下北沢に行くと、また彼女に声をかけられた。今回は成り行きで一緒に街をぶらつくことになった。でも、彼女から声をかけてきたにもかかわらず、彼女は終始僕の斜め前をまるで一人で歩いているかのように歩いていた。そして、たまに気づいたように後ろを振り向くと、なんの感情もない声で僕に話しかけてきた。
「その楽器何?」
僕はマンドリンをもっていた。
「ああ、マンドリンっていう楽器なんだけど、知ってる?」
「しらない。」
「あ、ああ、そう。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「楽しい?」
「え?」
「そのマンドリン。」
「ああ、楽しいよ。仲間もたくさんいるし。飲みもあるしね。」
「ふうん。」
「・・・・・・。」
「ねえ。」
「ん?」
「君、彼女いるの?」
「いるよ。」
「あ、そう。」
これを会話というなら、僕たちはそんな他愛のない会話をしながら歩いた。彼女は、まるではじめから歩くコースが決まっているかのようにまっすぐ規則正しく歩いた。
でも、僕はこの奇妙なデートが嫌いではなかった。彼女は、滅多に笑わないし、いつも言い放つ言い方をするからろくに会話にもならないが、変な魅力があったし、何よりかわいかった。そのうちに、これは彼女なりのお礼のつもりなのだと解釈した。それにしては、彼女が勝手に歩いているだけだが、そう考えると納得できた。そうだよ、こんなかわいい子が僕に興味があって一緒にいてくれるわけないもんな。
そんなことを考えているうちに夜になった。僕らはのどが渇いたので、売店でペットのジュースを買った。が、彼女はいっこうにお金を出す気配がない。
「あ、俺、払おうか?」
「うん。」
当然のようにいうなあ。僕がお金を払おうと財布を見たら1万円札しかなかった。仕方がないので1万円札を出し、彼女にはジュースを2本持たせたまま外で待っていてもらった。だが、人はいいんだけど手際が非常に悪い売店のおばあさんはなかなかお釣りを数えられず、僕は軽く2,3分待たされた。
「ごめんごめん。」
やっとお釣りをもらって僕が外に出ると、彼女の姿はなかった。代わりに、僕の分のジュースと、一片の紙切れが置いてあった。辺りを見回したが彼女の姿はすでになく、仕方がないので僕はその紙切れに目を通した。
「今日は楽しかった。やっといい人を見つけたと思ったら君には彼女がいるらしい。せっかくいい人でも彼女がいるとわかっている人と一緒にいるのは私としても胸が苦しい。このジュースは君からの唯一のプレゼントとして受け取る。ありがとう。縁があったらまた会うこともあるだろう。2回も偶然があったんだから、3回目もあるかもしれない。2回目はちょっとねらったけど。それじゃあ、さよなら。」
すでに人通りの少なくなった下北のとある路地裏で、僕はどうしようもない切なさに胸をしめつけられていた。名前も知らない彼女、そんな彼女のことを僕はすでに好きになっていたというのか。でも、今更気づいてもあとのまつりだった。彼女はもう、ここにはいない。もう1度、出会えるかどうかもわからない・・・
・・・目が覚めた。まだ彼女のことが頭にこびりついている。彼女とは、夢の中でしか会えない。夢の中でも、もう出会えないかもしれない。