構造化された指導T

TEACCHでは「構造化」を重視する。それは、自閉症児は自分をとりまく環境の認知が悪い。したがって自分に何が期待されているのか、自分は今何をすればいいのか分からないので混乱する。自分が何を期待されているのかを明確にするために、環境を再構成すること=「構造化」である。構造化には「物理的構造化」、「スケジュールの提示法」、「ワークシステム」、「タスクオーガニゼーション」の4つがある。

物理的構造化
ついたてや家具などを利用し、余分な刺激を断って課題に集中しやすい環境を作ること。視覚的な手がかりを利用し、活動の内容と場所が1対1で対応するようにする(例 学習の場所はいつも学習の場所とし、遊びの場所と共用しない)。
〈TEACCHでは教室のレイアウトに細心の注意を払う〉
ワークエリア(学習や作業を行なう場所)を決める…視覚刺激によって気が散らないように、窓や鏡のない場所を使う。ついたても高くする。
プレイエリア(遊んだりして自由時間を過ごす場所)を決める。

※プレイエリアとワークエリアは近過ぎないようにする。
フードセンター(おやつの場所)
トランジッションエリア(中継地)…1つの活動が終ったらその中継地に戻る。そこにある手がかり(スケジュールを示してある絵や文字など)に基づいて、次の活動に移る。それは自閉症児は一つの活動から次の活動に移るとき、非常に混乱しやすいからである。
カムダウンエリア(安息地)…混乱した自閉症児が冷静になる場所。自閉症児は、一度混乱してしまうと、叱ったり、励ましたりしても、かえってよけい混乱しがちであるので、外部からの刺激が少ない場所を設定し、そこで落ち着くのを待ったほうがよい。

スケジュールの提示法
自閉症児は時間の概念の理解や記憶に困難をもつ。言語理解も低い。次に何が起こるか分からない状況では非常に不安定になる。そこで、子どもの理解できる方法で、次の活動の内容や活動の順番を明確に知らせることが必要になる。
(文字の理解が可能な子どもには文字によるスケジュール、文字の理解が不可能な子どもには絵やカードによるスケジュール、具体的なものを提示してのスケジュール<これをオブジェクト・スケジュールという>を使用する。)
 オブジェクト・スケジュール…例 お皿を置いて、食事を伝える。