第9回  現地視察 作成開始 2006/10/19

最新の更新 2006/10/24
男鹿市の松くい虫の被害状況を視察しながら、松くい虫被害やその対策についての活動を学習する。

平成18年9月20日(水)

 今日は男鹿市の松くい虫被害現場を視察するので、秋田県山本地域振興局農林部森林整備第1班の相馬建勝氏と春日重和氏を講師に迎え、サン・ウッド内には入らず、外であいさつし、すぐにマイクロバス2台で出発。

サン・ウッド前であいさつする講師の方々 大潟村では枯れたクロマツがお出迎え

バスの中で講師のお話しを聞きながら松くい虫被害発生の経緯などを勉強する

 大潟村に入ると車窓から枯れた松が目立つようになってきたのだが、初めて見る人はあの白っぽいのが松の残がいだと気づかない場合が多い。

「やさしく走ろう男鹿半島」という看板が出迎える ちょっとややこしい道を通り抜け いよいよ
なまはげラインに入る 「あの木は・・・あれは杉」

右手田んぼの向こうに枯れ木林が・・・、

左に日本海が見えるがその手前は枯れ木、枯れ木、

正面を見ていると、これでもか、これでもかとばかりに松枯れを堪能してしまった、緑の山を見たい

ようやく男鹿入道崎に到着。

入道崎の灯台の隣には緑が、これはカシワの緑だ。  この石段を上ると海底透視船のりば

ここで松くい虫の被害についての説明を受ける

後食痕

マツノマダラカミキリのオスとメスの標本

松の枝からの脱出孔と木くず

 このカシワ林について「ここのカシワは自生ですか、植林したのですか」と質問しましたが、説明した振興局の人はわからない様子でした。あとで私が作成している「ブログ 風の松原散策」にコメントがあり、

 「入道崎一体のカシワはもちろん天然のものです。かつて、日本海側の海岸林は、北海道から島根県や琵琶湖までカシワ林で覆われておりました。これは花粉調査 で判明しております。中世以降人口の増加とともに自然林を伐採し、用材として使い尽くしたのです。
 秋田県はカシワがもっとも似合う県なのですが、藩政時代 からマツ林が人工林として完成しました。しかし、現在この人工林が機能しなくなったのです。代わりは、潜在的に当地にあるカシワ、ミズナラ等こそ防風、砂 防に適している樹木なのです。県内では最近になって生徒や学生が学んでいるのです。大人はまだ知らない方が多いのが現実です。

と書かれていました。

 説明が終わった後、10分間の休憩があったので、海の家の反対側にある植林の最前線へ直行。近くに見えるが歩いてみると予想外に距離があった。

遠くに海の家が見えるがその右端に植林地があった 植林地の後方も松枯れ林

植林している木は3種類 この木の名前が不明
枝を1本失敬してきたが振興局の人も不明。

3列に植林している。グミとカシワはすぐにわかった。
左の赤茶けているのはケヤキだろうと言う人がいた。

これはまるで木の墓場だ。ガイコツみたいな木だ。
この花は男鹿特有の名前がついていたと思うが
今は思い出せない

 これらの写真をブログに掲載したところ、カシワ、アキグミ、ケヤキの組み合わせを見た「カシワくん」氏がこんなコメントを書いていた。

 写真では、海側がケヤキそのうしろにアキグミそのまたうしろにカシワといった組合せでしょうか。アキグミからの天然由来の窒素分が、ケヤキとカシワの生長が促進させているものと考えられます。このアキグミを活用しているところにこの事業の新規性があります。この施策は相当に研究された方針と考えられます。 私は、海岸林は、秋田県ではこうした方針で緑の復活は成功するものと考えております。
 「風の松原」のように特定地域は、マツでなければダメかもしれませんが、それ以外は、こうした方法で余り財政負担がなく、かつ生物多様性を維持しながら本県の自然植生を考え、枯れたマツ林を変えていくことが、これからの行政のあり方だと考えております。ほんとうに良い写真を掲載くださいまして、ありがとうございます。

とコメントを寄せていた。


 こんどは五里合を通り、三種町八竜地区へ向かう。最近男鹿に行くときは船越経由だったので、男鹿温泉から五里合の海岸線を通るのは何年ぶりだろうか。

北浦の近くだろうと思いますがこんな素晴らしい松並木や一本松がありました。近くのバス停は北磯
だったと思いますが、この並木や一本松には名前があるのだと思います。
これこそ白砂青松の眺めですね

 ここの松並木と先ほどのガイコツのような松枯れ林を比較すると、ブログにコメントを書いた「カシワくん」の意見がよくわかります。

 男鹿地区のマツ林の多くは国有林です。「風の松原」と、いかに区分され、放置されているかが分かります。この地区の優先種はご覧になったと思いますが、カ シワです。放置しても潜在自然植生のカシワ林で覆われることと思います。しかし、伐採もままならない林野財政や、ボランティアもいないとこんな風景だろうと思います。恵まれた「風の松原」の存在がいかに貴重なものかがわかります。

 入道崎の海岸の枯れたマツ林の奥手の山々は、実はカシワの森林帯なのですが、気がつきましたでしょうか。
このような海風の強い地域こそ当地に大昔からある樹木がふさわしいのです。マツは本来もっと南の地域にあったものでかつ尾根などのほかの植物との競争の少ないところに生息していたものです。そのため、従来から天然分布を超えた植林であり、しかも密植林の脆弱さが指摘されておりましたが、秋田県でも現実のも のになったわけです。

 途中でトイレタイムに旧若美町の宮沢海岸に寄った。ここもクロマツの墓場状態だった。

海岸の駐車場の上は全くの墓場 夕日温泉WAOの付近は緑があるがその回りは枯れ木

 こんどは松枯れ防止に頑張っている町、旧八竜町に向かった。男鹿市の旧若美町と隣接した場所。ここまで来ると松の緑が鮮やかでほっとする。希望を取り戻したような感じになる。

旧八竜町に入ると重点防除地区の看板と緑 そこにマイクロバスを駐めて説明

ここは最重点地区に指定されている場所。
緑色の中で一番下の海側(左側)が現在地だ。

海側を見ると松苗畑の海側には風力発電の
プロペラが幾つも続いている。

松苗は3年生くらい。前に置いたバインダーはA4用
写真の場所は旧八竜町の民有林。正面は、今年5
月の調査では被害木が1本もなかった場所。見渡
すと4〜5本赤くなっている。今年の被害木は9月始
めから赤くなってくるのだそうだ。

帰りに浅内に入り、福田の集落まで来ると、民家の庭に赤くなったクロマツが見える。マイクロバスの時計は4:56。サン・ウッドに到着した時刻はカメラに17:08と記録されていた。

第9回終了