支柱講習会 公園の木を救え!
今回企画担当 福岡徹 (文 福岡徹 写真 大類聡、福岡和長)
5月4日、能代市二ツ井町富根の「ブナの森ふれあい伝承公園」で、支柱講習会を開催しました。
今回担当は、前回に引き続き、私、福岡徹、写真撮影は庭の会専属カメラマンの福岡和長・大類聡の師弟コンビでお届けします(笑)。
鉄は熱いうちに打て!と言います。ビールも冷たいうちに飲まなければマズイ(笑)。
市長との直接対談を終えて2週間、 伝えるだけは伝えたけれど、まだまだこれから、 街に形として現れなければ何にもなりません。
この対談の勢いを、熱のあるうちに何かの形に表さないと、話だけで終わってしまいます。
街路樹の剪定モデル地区を作る計画は今冬の予定、まだまだやるべきことはあるはずだと、もうひとつの提案、「景観を損ない、樹木を傷つける植栽支柱の改善」を実現するために、この公園の植栽支柱を教材に、庭の会の支柱講習会として公園の樹木の手入れを行わせていただくことになりました。
せっかくなので、この講習会は市役所の関係課の皆さんにもご案内してあります。故郷への貢献、会員の技術と意識のレベルアップ、併せて市民、行政にも理解を深めてもらうという一石三鳥の企画です(笑)。
この公園は、完成後4年ほど、私の母校でもある富根小学校に隣接する『ブナの森伝承館』に付随する公園で、園内の樹木は白神山地に自生する樹種を主体に植栽されています。ブナやモミはこの辺りには自生しませんが、エゴやトチノキ、マンサク、ミズナラ、ケヤキ、アオキ、ユズリハなど、地域の里山にも自生する樹種を選択している点は素晴らしいと思って見ていました。
地元とはいえ、これまで、ただ通りすがりに見るだけだったこの公園ですが、樹木が傷んでいるのを見て何とかしてあげたいなとずっと思っていたところ、今回、市長さんとの対話を機に、思い切って、ここを管理する関係課の方に声を掛けてみたのが事の始まりです。
開会式の模様です。今回の支柱講習会は、この公園を管理する富根地区協議会様と、担当課の能代市役所二ツ井地域局産業振興課のご理解ご協力を得て実現したものです。
まずは会長さんの挨拶で始まり、それを受けて、私がお礼と日程の説明をしています。
参加者は予想をはるかに超える20名。市役所から4名(地域局産業振興課2名、地域局建設課1名、本庁河川管理課街路樹担当1名)、庭の会メンバー5名、地元の協議会の皆さんが10名ほどです。
案内はしてみたものの、たぶん企画倒れ、結局会のメンバーだけでやることになるだろうなと思っていたところ、メンバーより早く市役所の方が来られていたのには驚きました。
せっかくの休みなのに、皆さん仕方なくではなく、やる気を持って参加されていることをとても嬉しく思いました。
協議会の方々も続々やってきます。なんとまあ、なんだか大事になってきたなと、せいぜい10名集まればいいだろうと思っていたのに、とても嬉しい誤算でした。
講習会はまず、公園内の点検から始まりました。支柱は何のために掛けるのか、人や車両に安全に、かつ、木に優しく景観を壊さず、木の成長を助ける支柱を掛けるにはどうしたらいいか、八掛け、鳥居、どんな木にどんな方法で掛けたらいいのか、樹木がどんな風に支柱で傷んでいるか、病害虫の様子はどうか、1時間ほど説明しながら公園内を一周しました。
添柱鳥居支柱。樹種はケヤキ。幹と支柱がくっついている箇所に結束されていないので、木と幹が擦れて傷んでいる。木と幹が離れた箇所で結束しても動くので効きめは薄い。最上部の結束箇所より上の支柱は、風で支柱に枝が叩きつけられて傷むだけなので要らない。樹冠より高い支柱は景観を壊す。生きた木より死んだ木が目立つのでは本末転倒。
添柱鳥居支柱。樹種はオオシマザクラ。枝と支柱が付きすぎていて、枝の肥大とともに支柱が食い込み、枝がえぐれてきている。枝の多い木は添え木が付けずらい。ここは場所的にも広いので八つ掛けでもいいと思う。木にはカイガラムシや天狗巣病も付いていた。
竹八つ掛け支柱。幹より太い支柱で支えられているブナ。細い木には細い竹、竹の上部を使ってもいい。竹は水が溜まらないように節止めするが、結束点のすぐ上の節で切れば目に優しく見える。根杭はちゃんと5〜10センチ上で止まってる。このぐらいの太さの竹なら、出(結束点から節止めまでの長さ)は5cmあればいい。節の間隔が長くて出が長くなる場合は、元(下部、土に刺さる所)を切って長さを調整すればいい。
植えた木より竹ばかりが目立つ支柱は、非常に見苦しい。
竹八つ掛け支柱。カシワ。支柱の掛け方はまずまずだったが、結束縄が幹に食い込み、上部が肥大していた。植栽後3年ぐらいで木は急激に太るので注意。杉皮で隠れていて見つけづらいが、放っておくと養分が上がらず、上部は枯れてしまう。
枯死したヤマモミジ。これは支柱以前の問題。ここは土壌が硬くて水はけが悪いのだと言う。ここは冬期は地吹雪になるところ。かなり風も強い。この工事の植栽は雪の降る時期だったという。植え付けて根付くまでに寒風にさらされると枯れる。いろんな悪条件が重なったようだ。せめて高植えしてあげるぐらいの余裕があればよかった。
点検完了でちょうど10時。館内で一服をいただきました。市役所の街路樹担当の方とお話。こんな若手の方がこれからの市を背負って立つと思います。来てくれて本当に嬉しい。
「発注者が現場と実務がわからなければ何時までたっても街の緑は変わらない。たとえば、設計・施工業者の意識や技術レベルが低くて『木に合わせて臨機応変に対処する。』ということが理解できなければ、始めから検査基準に『支柱は最上部の結束点の10センチ上で切ること。』とうたえばいい。県や国の仕事でも醜い支柱が横行している。これをちゃんとやるだけで、能代の評価はかなり高くなる。頑張っていきましょう。」
なんて話をしているところです。
職人の一服は休憩ではない(笑)。ということで、一服中も有意義な話ができました。
一服終了後は、いよいよ実技。さきほど説明した内容を、今度は実際にやってみます。
効かない結束縄を外し、本当に結束の必要な箇所に結束し直します。結束の必要のない箇所で、幹と支柱が付いているところは、幹の保護のために杉皮を巻いています。
不要な支柱の上部を切ります。
枯枝を外し、切り口にトップジンMを塗りました。
これで一本完成です。役所の方から、「木らしくなった!」という声が上がりました。
木と幹が付きすぎていたり、逆に離れすぎていたり、添え木が傾いていたり、添え木を外して架け替えなければならない箇所もありました。添え木は木の右に来ても左に来ても関係ありません、横木の反対側でもOKです。設計書の仕様にこだわらずに、木の一番効くところに掛けてやります。
上部がほとんど枯れていました。ヤゴを生かして切り口に殺菌剤を塗りました。
こんな感じで、午前中に10数本直しました。残りはまた暇を見てやることに。
ということで、解散前に皆で一枚。役所の方にとってもらいました。
良いことした後は、みな良い顔?です(笑)。
あとがき
会の勉強会は何度か行っていますが、地域の皆さんや役所の方にご案内しての講習会は、今回が初めてのことでした。白神山地の植樹ボランティアには毎年参加していますが、会の主催で奉仕活動をするのも今回が初めてです。
人から頼まれてやるのでは奉仕ではありません。自分から事を作って地域のことに参画していくのも大人の責任です。
庭の会はまだ同好会のような会ですが、今回のように外に出て他と関わっていくことも、これから多くなるかもしれません。
楽しみながら、庭の本質、植木屋の本質を勉強して行けたらなと思います。
ご参考までに、開催要項は以下の通りです。役所の皆さんにも同様のご案内をしました。
庭の会の皆さまへ
今回企画担当 福岡 徹
支柱講習会のご案内
お疲れさまです。
この度、富根地区協議会様のご理解をいただき、ブナの森ふれあい伝承公園の植栽支柱を教材に、下記の要項で講習会を行う運びとなりました。
記
開催主旨
無駄な支柱がどれだけ木を痛めつけ、景観を壊しているか、現場の現実を見なければ何も解らない。木を生かすために植える植木屋が木を痛めつける植え方をするのでは本末転倒。木は命がけで生きている。「木を植える」ということは「気を植える」ということ、設計時、施工時のほんのちょっとの気遣いで、木の将来が大きく変わる。心のある、気のこもった仕事をしたい。無意味な植栽支柱が日本全国の公共工事で延々と行われているのはなぜか、この講習会を、「何のために木を植えるのか」という、緑の本質を本気で考える機会にしたい。
目的
地域貢献をしながら、会員の意識と技術向上を図る。併せて、植栽設計と施工、管理の本質を学ぶ。
開催要項
・日時 平成19年年5月4日(金) 午前8時半開会
・会場 能代市二ツ井町富根 ブナの森ふれあい伝承公園
・集合場所 公園前駐車場
・参加費 無料
・内容 1 支柱補修 (樹冠から飛び出た支柱の除去。支柱と擦れて傷んだ樹木の支柱掛け替え。傷んだ結束材の補修等)
2 軽剪定と樹木の手当て(枯枝、病害枝の除去。傷んだ箇所への殺菌剤塗布等)
※作業は午前中で終わります。残った分については各自時間のある時に行います。小雨決行、悪天候の場合は当日集合の上、判断いたします。
連絡、問い合わせは今回担当者まで
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