バードバスと小滝の庭

リフォーム庭。駐車場からアプローチ、玄関までの前庭。

道路から50センチ程高い所にある住宅は、ウッドデッキを備えるなど内外に木を用いたモダンな作りになっています。

前庭を計画するにあたり、この高台に立つ「木を活かした家」を「山小屋」に見立て、山頂に向かって山道を登って行くような雰囲気を出せたら面白いと思い設計しました。 メインとなる山道風のアプローチは、屋根からの落雪を避けるために大きく迂回させ、ひび割れた岩肌を思わせるような山石張りの階段にしました。

玄関と駐車場との高低差は、緩やかな曲線を活かした石積を斜めに走らせ、駐車スペースを十分に確保しながらも自然な広がりを感じられるようにしています。


 

階段脇には小流れを作り、流れ蹲踞風に組んだバードバス(杯型水鉢)を水源として筧から水を落としています。水源付近は植裁で奥深く見せたいところですが、 落雪を受けるため筧の立ち上がりは石を組み合わせてドーム状に囲い、露頭岩が風化して節理に沿って割れ、割れた岩の間から水が染み出てきて流れになった、そんなふうなイメージで作ってみました。


水鉢は、設計段階では階段脇の中腹辺りに置く予定でしたが、階段の施工中、登りながら水の流れを楽しめたらより野趣味のある面白い庭になるのではと思い、変更しました。 水鉢には玄関側からも飛石で伝えるようにしましたので、玄関やデッキからの眺めのポイントにもなりました。

 

玄関ポーチは既存のインターロッキングを一部敷き直し、質感の似たレンガをランダムに敷き、石段へと繋ぎました。石張りの階段と違和感のないように、石段の蹴上部分に使用した御影石をレンガの中にもポイント的に敷き、レンガの色も御影石の色に合わせて統一感を持たせています。水鉢へ向かう飛石は、洋のレンガと和の飛石との馴染みを良くするために意図的にレンガの中から打っています。


また、道路と石張りのアプローチの繋ぎ部分から砕石敷きの駐車場との境もレンガ張りにしていますが、これは、訪問客をスムースにアプローチへと導入し、上部と同じレンガを使うことで庭に一体感を持たせています。 石積の前には、石積のラインを明確に見せるために伊勢砂利を敷いていますが、このレンガ張りは、砂利留を兼ねながら、同質、同色の砕石、石張り、石積、流れを引き立たせるクッションの役目と、庭の奥と前部を繋ぎ、 庭に連続性を持たせる役目を持っています。


石材は、奥様が白神山地の麓、藤里町のご出身ということで白神山系産出の山石で統一し、 道路から見ると、しっとりと水打ちされた石張りや石積みは屋根の色と同系色で、建物との調和もとれたのではと思います。


植裁は、隣家側をドウダンの生垣にし、玄関前にシンボルツリーとしてヤブツバキを移植、アプローチ脇の斜面には電柱の目隠しとして根曲がりのモミジを寄せ植えし、 階段を登りきった所に既存のブナを、アプローチの始まる所にオンコを移植しました。 オンコは、自然風な柔らかい庭の雰囲気に合わせ、丸く刈り込んでいたものを自然樹形に近い形に直しました。


下草は、既存のものを活かし、水際に合うセキショウやワサビ、ショウブなどを流れ沿いに、キクザキイチゲやショウジョバカマなどを苔の中に植えました。 石材同様当地に自生する植物を多用しましたので、白神山地の幽谷の雰囲気を出せたのではないかと思います。


また主線となるアプローチからは、流れを「沢飛び」で渡り玄関前へ、玄関からは駐車場へと飛石や延段で伝えるようにしてありますので、様々な角度から庭の表情を楽しめるようになっています。

平成16年5月 作庭地 能代市二ツ井町


追記

作庭4年目、庭は今、こんなふうになっています。昨秋の水害ではこの庭も水没したのですが、よくここまで持ち直しました。今年も春を迎えられたことに感謝です。(平成20年5月撮影)




地苔が増えて、かなり落ち着いてきました。手前右下の石は、ご主人の座るベンチです。




電柱の目隠しに植えたヤマモミジの寄せ植えも、いい感じに枝を広げてきました。
天気のいい日には、アプローチに心地よい木陰を作ってくれます。




ミズやフキ、アイコなどの山菜も、この庭を彩る主役です。




庭に山の木があると、遠景の山並みと庭や街が繋がってきます。



※こちらの庭は、昨年7月に地元紙で紹介されました。記事はコチラ





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