Farm SASAKI
田んぼ紹介


イメージ  冬期湛水栽培(冬・水・たんぼ)で稲を育てています。育てているというよりは、稲を中心としたたくさんの生き物たちが元気に育っていけるような環境を整える作業をしています。
 冬期湛水に合わせ、不耕起栽培も実施しています。田起こし、代かきをしないことで根が自分の力で伸びようとして丈夫になり、株も太くなります。
 
 
 ・冬・水・田んぼとは?
 ・不耕起栽培とは?
 ・無農薬とは?
 ・カメムシ被害について
 ・無施肥とは?
 ・他にしていることは?
 ・慣行栽培との違い
 
冬・水・田んぼとは?】・・・冬期湛水
 文字通り、田んぼに冬から水を入れる栽培方法です。慣行栽培では乾田効果を狙って冬の間田んぼを乾かしますが、冬・水・田んぼでは冬期の低温菌(コウジ菌、納豆菌など)の活性化を狙います。雪が降る前に水を入れると、モノアラガイなどの小さな貝類が出てきます。
 春、田植えを過ぎて暖かくなると、ミジンコが泳ぎだし、ユスリカが羽化し始め、次いでイトミミズが大発生します。ミジンコ・ユスリカは色んな生き物たちのエサとなります。またイトミミズやアオミドロ、イチョウウキゴケなどは特定の草が異常繁茂するのを抑えます。イトミミズは土づくりや土壌を柔らかくしてくれます。
 
不耕起栽培とは?
 慣行栽培では田植えの前に田起こし、代掻きという作業を行いますが、不耕起栽培ではこの2行程を行いません。
 田起こし、代かきではロータリーを使いますが、このロータリーの回転で小動物達が死んでしまいます。また代かきした田んぼの水は田植え時に排出しますが、この排水が河川汚濁の一因となっています。
 不耕起栽培は、田んぼの中の生き物だけでなく、環境にも優しい栽培方法と言えます。
 不耕起栽培で育った稲は、自分の力で根を伸ばそうとし、根が丈夫で元気になります。
 
無農薬とは?
 無農薬とはもちろん、農薬を使わないことです。農薬は何のために散布するかというと、色んな病気の予防、雑草が生えないため、または生えた雑草を殺すため、害虫を殺すため、の3点です。
 では農薬を散布しないと色んな病気になったり、雑草が増えすぎて養分を取られたり、害虫が増えて米を食べられたりするのでしょうか。

 冬・水・田んぼの不耕起栽培ではまず稲を丈夫に、元気にすることを心がけます。薬に頼らない丈夫な体づくりに心がけるのです。根が丈夫になればそうそう簡単に病気になったりはしないのです。また他の生き物達がいる環境では、それぞれが適度な緊張感を持ち、それが稲(のみならず他の草達)を元気にしているのではと推測しています。

 田んぼの虫達は稲ばかり食べるのかというとそんなことはなく、稲より先に畦畔の草達が枯れそうになるくらい食べられたりしています。除草剤で稲ばっかりにするから、他の草を食べたい虫達も仕方無しに稲を食べてるかもしれないのです。また色んな草が生えると、虫達がそこを住みかにします。生物の多様化に一役買っているのです。

 バッタ・イナゴ・ササキリ類は本当に良く稲の葉を食べます。それでも稲が負けるくらいは食べないようです。当ファームの一番のいたずら者は、稲の茎の中に入って株を食いちぎる、ニカメイガの幼虫です。こいつに株を食われると、その株は死んでしまいます。でもちょっと待ってください。稲を食べれば害虫なのでしょうか。もしかしたらその株はもともと弱くて病気になりそうだったのかもしれません。もっと丈夫な株を育ててくださいとのメッセージかもしれません。今年は畦畔の周りで約20本ぐらいの稲が食べられていました。もう穂を出し切ってもうすぐで身が入りそうなもの、出穂前で食べられるもの、色々です。でも20本ぐらいだから、そんなに被害は大きくないのです。もしかしたら虫が増えてしまう要因を人間が作ってしまって、勝手に害虫と呼んでいるのかも知れません。
カメムシ被害について
 カメムシは稲がまだ青いうち、米になる前の籾の中の白い液体を吸います。これが斑点米の原因になり、等級を下げる原因になります。でも見た目だけの問題なんですよね。
 確かに斑点米だけを食べればちょっと苦いです。でもそれだけ。ご飯全体で食べれば全く味には影響ありません。白いご飯にたまに黒いのが混じってるだけ。
 カメムシを殺す農薬は出穂後に散布します。よって少なからず米そのものに影響を与えている気がします。しかもこの農薬、完全に効くかというとそういうことはなく、「散布したのに斑点米が出て等級が下がった」ということも少なくありません(タイミングを計るのが難しい)。味に影響ないのに、体にも影響ないのに、見た目を重要視するあまり体に影響あるかも知れない農薬を使っているのが慣行栽培の現状です。
 この悩ましいカメムシ、稲だったら何でもいいかというと、結構なグルメで窒素過剰な稲を好んで甘汁を吸いに来ます。過剰窒素は何で起こるかというと、化学肥料の穂肥、実肥の過剰投入が原因なのです(人間には苦み成分)。害虫な筈のカメムシ、「この稲は苦み成分のアミド態の窒素が入りすぎてますよ。化学肥料の入れすぎですよ」と教えてくれてるんです。実は害虫なんじゃなくて益虫?

H20はカメムシによる着色米が大量に出ました。冬水田んぼを初めてから年数が短く、土が充分に成熟していないせいかもしれません。田植えが他の田んぼより2週間も遅いのに、中干しをしないためか、出穂が1週間程早い気がします。そのためカメムシが集まってくるのかもしれません。
H21は出穂期の畦の草刈りを徹底し、様子を見てみたいと思います。
無施肥とは?
 無施肥とは文字通り肥料を使わないことです。春先に米ぬかをまきますが、これは主にイトミミズなどの小動物のエサになっていると思われます。では一体、稲の栄養分はどこからくるのでしょう。

 当ファームではH19、7俵/10aの収穫がありました。また、H20は6俵/10aの収穫でした。農繁期になると、用水路から水が供給されます。水には元々ミネラル分が含まれており、これが栄養素として吸収されているものと思います。また生き物たちがたくさんいるということは、その中でたくさんの命が生まれ、死んでいるということです。その死骸が微生物達に窒素酸化合物やリン酸化合物などにまで分解されて、稲の栄養になっているのではと思います。
 稲にお菓子(化学肥料)ではなく糧をあげること。生き物たちの活動が活発になるような環境を整えてあげること。その辺が大切なのかも知れません。

H21は元肥として有機質肥料「バイオノ有機」を3kg/10a散布しました。無肥料の主旨からは外れますが、今年はこれで一度試してみたいと思います。追肥も行わず、元肥も僅かなので、環境に与える影響は無いのではと思っています。田んぼの生き物達は普段と変わった様子はありません。稲以外の草は増えた気がします。不耕起の年数のせいかもしれません。
 
他にしていることは?
 平成20年度も全量天日乾燥にしました。石油代高騰の影響もあるのですが、やっぱり機械乾燥が勿体なくて、杭をあちこちから調達してきました。
 天日乾燥するとお米が美味しくなるという話はよく聞きますが、天日乾燥で美味しくなったのかどうかはよく分かりません(慣行栽培だと天日乾燥でもここまでは美味しくならないと親戚のアベさんが言っていた)。もう少し面積を増やして同条件で栽培し、天日乾燥と機械乾燥の比較ができるようになったら試食してみようかと思います(面積増やしても、勿体なくて全量天日乾燥にしてしまうかも)。

 平成20年度は、コナギ、イボクサ、ホタルイ、ガマの繁殖が強く、稲がある程度大きくなるまで手取りの草取り作業を行いました。アオミドロが田んぼ一面に広がったのですが、抑草効果はないんじゃないの?というくらい、草が出てきました。深水管理しようが冬期湛水しようが、草が生える時は生えるんだなぁ、というのが20年度の感想です。除草機なる、手押し式の機械もあるのですが、小動物が死ぬのではと思い、手取りで済ませました。
慣行栽培との違い
 ・冬の間から田んぼに水を入れる
   低温菌の活性化
   用水の確保が必要:農閑期は用水路の水が止められるため、独自に水を引かなければならない。
   →地域一帯で冬期湛水すれば、一年中用水を確保できる(水利権の問題が残る)
   隣の田んぼに漏水
   →乾田効果を狙っている隣の田に迷惑。畦畔の整備(漏水させない)
   →H20に隣の田んぼの間にもう一つ畦を作り、水が入り込まないようにしました。
 
・田起こし、代かきしない
   作業の省力化が可能
   専用の田植機が必要
   →H21は普通の田植機(歩行型、4条)で田植えしました。問題なく植えられました。

 ・成苗を移植:4.5葉が目標
   慣行栽培:2.5葉(稚苗)

 ・疎植
   風通しが良い
   →病気に強い
   →イトトンボの通り道(虫を食べる。生態系のバランス)
   →クモが巣を張るスペースになる(虫を食べる。生態系のバランス)
   →いもち病に強くなる

 ・ミジンコ、イトミミズの大発生
   土に栄養分を供給?
   雑草が生えにくい(草が雑草化しない)、巨大化しない
   →深水管理が徹底されれば、かなり効果あり(生えないということではないので、手取りは必要)


 ・中干ししない
   根が枯れない、病気に強い
   →出穂が早くなるので、カメムシに狙われやすくなる。畦に木酢液の散布で効果あるか?(H21実験予定)

 ・生き物がたくさんいる
   病気に強くなる(何故?)

 ・深水管理
   →株が太い、無効分けつが少ない
   →病気に強くなる

 ・安心して玄米を食べられる
   環境ホルモンの心配が極めて少ない
   →近隣からの飛来は免れない
   →→農薬に弱い生き物が普通に生きているので、意外と影響は少ないと思われる。
   →どういう履歴を持っている土地か調査が必要(カドミウム米は未だに問題)
   →農薬に弱い生物が生息しているかどうか(ミズアオイ、イチョウウキゴケなど)




【補足】
 最近の農薬は肝臓で分解されるように作られています。散布の際はアルコールに弱い人、妊婦は要注意。残留農薬の影響は動物実験だけでは分からないことが多く、日本全土(世界全土で?)で大がかりな農薬耐性の人体実験をしているかのようです(言い過ぎか?)。未だに昔のDDTやその代謝物のDDE,DDDとかが土中から検出されるようで(環境ホルモンの可能性あり)、いかに昔使われていた農薬の残留性が強かったか。
 人間が服用する薬についてもそうですが、基本的に薬は毒の一種で、農薬も「毒をもって毒を制す」という考えから抜け出ていないと思います。除草剤だけで考えても、稲にとって無害な訳でなく、「この濃度だったら我慢できる」というレベルまで希釈して散布するわけです。濃度を間違えれば稲だって枯れます。希釈したって稲や選択性で免れている他の草にだってストレスは与えているわけです。
 何故病気になったのか、何故他の草が繁茂したか、その本質的な原因究明をしないかぎり技術的な話ばかりに終始してしまい、別の形でゆがんだ現象が再発してしまうように思います。
 
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