能代山本広域市町村圏域は、秋田県の北西部に位置する一市六町一村で構成されているが、高速交通体系からの立遅れ等により地域経済は低迷し、出生率の低下や若者の流出等により人口が減少し、高齢化が加速している。
圏域には、かつては「世界の小野」と言われた体操競技、全国制覇43回(平成8年11月現在)の能代工業高等学校のバスケットボール(能代市)、フェンシング(二ツ井町)、自転車競技(峰浜村)、綱引き(琴丘町)、ウェイトリフティング(八竜町)、野球の山田投手(能代市)など他地域には見られない全国的に知名度の高い多くの輝かしいスポーツの実績がある。
最近では、能代市の「バスケの街づくり」、琴丘町の「体育の町宣言」などスポーツに焦点をあてた新しい地域づくりが打ち出されている。
一方、日本海、米代川、出羽山地、白神山地など恵まれた自然とのふれあいの中で、四季を通じて各種目に応じたスポーツ施設の立地が可能であり、また、アフタースポーツとしての休養地、行楽地などにも恵まれている。これらの自然とこれまでの輝かしい実績を生かしながら、スポーツに基づく新たな圏域づくりの構想として「スポーツリゾート構想」を策定するものである。
本構想は、従来行われていた拠点開発型のリゾート形成とは異なり、地域のスポーツを振興するとともに、優れた人材や自然資源を生かして、圏域外とのスポーツを通じた交流を盛んにし、多くの人々の来訪を図り、圏域を活性化しようとするものである。そのためには、まずスポーツ交流の中枢的な機能を果たす拠点づくりと、地域の特性を生かした陸上、水上、山岳スポ−ツなどの施設整備、そしてこれらをネットワークして、自然を生かした滞在型観光のメニュー化を図る必要がある。これらの基盤が確立されることにより、国内はもとより国際的な規模の公式試合や練習試合、強化訓練などが実現し、国内外から選手、観客など多くの滞在型の誘客が可能となり、休養地、行楽地などへの波及効果、あるいは、地場産品の需要の拡大等圏域各地での活性化が期待できるものである。
このようにして、圏域がスポーツリゾートとして知名度を増すことにより、スポーツに関連する機関や産業の誘致や育成が可能となり、世界的にも脚光を浴びるようなスポーツのメッカが創出されるものである。
この構想を実現するためには、構成市町村が各々の役割を担いながら一丸となってまい進する必要がある。
経済が社会を支配する時代から、生活や文化的視点を重視する時代への転換により、生活のゆとりや豊かさが求められ、また、自由時間の増加に伴い、余暇時代を迎えるなどライフスタイルも変化してきた。
こうした社会背景の中で、スポーツの日常化、大衆化が進行し、社会生活や家庭生活におけるスポーツの機能や社会的役割はますます重要な位置を占めるようになってきた。
また、国民の余暇充実策として、総合保養地域整備法(通称リゾート法)が制定され、高速 交通網の整備とともに、リゾート開発が各地で加速され、地域振興の戦略(さまざまな問題が提起されているが)として期待され、注目を浴びている。
このたび策定した本圏域のスポーツリゾート構想はこうしたリゾート法の恩恵に浴することのできない本圏域において、各地域にある優れた伝統文化や自然景観、そしてスポーツの実績と人的資源を生かし、スポーツの持っている社会的、経済的、文化的機能を活用しながら誘客を図り、人との交流を基調とした地域活性化を推進する新しいリゾート地域の建設を目指すものである。
また、スポーツリゾートの整備にあたり、これまで培われてきた各種の競技スポーツの栄光を更に発展させるとともに、施設整備にあたり、誘客とは別に圏域住民のだれもが身近で楽しめるリゾートライフの創出も必要である。
こうした、スポーツを核とした圏域内外の人的交流により圏域の抱えている課題である活力 ある地域社会を創造するものである。
スポーツリゾート構想を実現するために、9つの施策を推進する。
1. スポーツ交流の推進(スポーツの輪を大きく広げよう)
2. 人材の育成、確保、底辺の拡大(スポーツに親しむ人づくり)
3. スポーツ施設、設備の整備(鍛えるスポーツから楽しむスポーツまで)
4. 休養地、行楽地の整備(アフタースポーツの憩いの場づくり)
5. スポーツリゾートのネットワーク化(いつでもスポーツ情報の提供を)
6. スポーツ関連機関の充実(スポーツ若人がいっぱい)
7. スポーツ関連企業の誘致と育成(スポーツで新しい地場産業の確立を)
8. 地場産品の育成と開発(スポーツをグルメで満喫)
9. 交通体系の整備(気軽にいつでも来圏を)
能代山本スポーツリゾート構想の実現にあたっては、おおむね次のような三段階を想定し、計画を進めていくものとする。
(1)第T期・中核施設整備を図る発芽基礎期(ホップ)
平成3(1991)年度〜平成7(1995)年度
この期間においては能代山本スポーツリゾート構想の発展方向を見定めるため、先進地視察や資料の収集、さらにはコンサルタント等により、構想の充実を図るとともに実施計画を策定し、能代市を中心とした中核施設の整備を図っていくこととする。
能代山本スポーツリゾート構想の基礎を支えるため、全国優勝43回を誇る能代工業高等学校バスケットボール部を契機とした能代市の“バスケの街づくり”を中心に、現在の能代山本圏域における実績をもとに、競技スポーツの振興を図ることとする。
このため能代市にスポーツ振興の核となる施設として、のしろやまもとスポーツ リゾートセンター及び能代市総合体育館の建設を進める。また、周辺町村において はそれぞれの特色を生かした基礎的施設・設備の整備を図っていくものとする。
また、こうした施設に関する情報やアフタースポーツとしての休養地、行楽地の情報などを集めて提供することができるよう、情報ネットワークの構築に向けて体制を整えることとする。
更に、地域全体がスポーツリゾートとしてのイメージを高め、積極的に情報を発信することにより、スポーツ関連企業の誘致を行い、行政と民間が一緒になってこの計画を推進する体制を整える。
イベントとしては、能代カップ高校選抜バスケットボール大会の充実を図るとともに、各種スポーツの全県大会、全国大会の開催を目指し、更に能代市総合体育館の竣工記念行事として、国際的な試合の誘致も行うものとする。また、環日本海国際交流の一環として、環日本海国際交流バスケットボール大会の開催を検討するものとする。
新しい試みとして、能代山本圏域において既存の競技スポーツの枠を超えたニュースポーツへの取組みも開始する。
また、広大な面積(195ha)を有する浅内の鉱さい堆積場跡地については、現在浅内鉱さい堆積場利活用促進懇談会(県、市町村、関係団体代表)で検討中であるが、利用希望申入れ及び案の中にはレジャーまたはリゾートに関するものが多く、その結論を待って対応する。更に、能代火力発電所に隣接する熱帯植物園を中心とした能代エナジアムパーク(能代火力発電所PR施設)構想が明らかになったので、風の松原、はまなす画廊を結ぶ能代港周辺の観光の拠点として位置づけを図る。
◎第T期の主な事業
・のしろやまもとスポーツリゾートセンターの建設
・能代市総合体育館の建設
・能代カップ高校選抜バスケットボール大会の拡充
・環日本海国際交流バスケットボール大会の開催
・全日本3世代交流ゲートボール大会
・全日本女子バレーボール国際試合の誘致
・全国少年少女体操交歓大会の誘致
・各種スポーツ全県大会、全国大会の開催
・ニュースポーツへの取組み(ストリートバスケットボール大会等)
・強化合宿の誘致(各種スポーツ)
・スポーツ関連企業の誘致
・人材育成事業(指導者等)
・情報ネットワークの構築に向けた体制づくり
・大館能代空港へのアクセス道路整備
・浅内鉱さい堆積場の利活用促進
・能代エナジアムパーク(能代火力発電所PR施設)の建設促進
(2)第U期・衛星型整備を図る伸張展開期(ステップ)
平成8(1996)年度〜平成12(2000)年度
この期間においては、第T期で行った拠点型整備の上に、のしろやまもとスポー ツリゾートセンターを核として周辺町村の施設との連携を強めていく衛星型の整備を図って いくこととする。
この期間は大館能代空港が開港する時期であり、空港を利用した来訪者を受け入れるため、この構想を支えるスポーツに広がりをもたせ、レジャースポーツやニュースポーツへの取り組みを更に推進し、首都圏からの来訪者に対する滞在型のメニューを構築し、情報発信を強力に推進する。
このため、これら新しいスポーツに対応した施設、設備の整備を進めるとともに、のしろやまもとスポーツリゾートセンターのサブ的機能を果たすサテライト・トレーニング施設、合宿所等の整備を図っていくこととする。
また、これらの施設等の情報収集、提供をするため、情報ネットワーク網の構築を更に推進する。
この頃になると、施設設備も一応整ってくるので、全国大会、国際大会の誘致、開催を更に推進する。
◎第U期の主な事業
・レジャースポーツ、ニュースポーツへの取組み強化
・衛星施設の整備(サテライト・トレーニング施設、合宿所等)
・情報ネットワーク網の構築
・地場産品の開発
(3)第V期・ネットワーク型整備を図る開花充実期(ジャンプ)
平成13(2001)年度〜平成17(2005)年度
この期間になると、スポーツリゾートとしての形が整い交流の輪も広がり、圏域外からたくさんの人がやってくるようになるので、圏域の連携を強めネットワーク型の整備を図っていくこととなる。
構想の定着とともに、競技スポーツ、ニュースポーツとも盛んになり、より充実した指導が求められてくる。このため、スポーツ研究所、スポーツ関係専門学校などの誘致、開設によりハイレベルな指導者の養成を図ることとする。優秀な指導者を擁することによって、その指導を受けるために各地から人がやってくるようになり、さらに交流の輪が広がることとなる。
また、交流の拡大により、スポーツ以外の要素を加味することも充分に考えられるようになってくるので、民間企業や第三セクターなどによるリゾート施設の整備も進められることとなってくる。
こうして、地域全体の体制を整えることにより活力ある地域社会を創造するものである。
◎第V期の主な事業
・スポーツ研究所、スポーツ関係専門学校の誘致、開設
・リゾート施設の整備