「オレは怒ってるんだぁ!」since 2000/06/01

俺らはドラマー〜「プロと共演・・・そしてライブのスタッフ」

last updated 2001/05/05


2001/02/10・・・
我々「JUNK SHOP」のメンバーは、とあるホテルのステージに立っていた。こんな大変な状態にあるのに、なぜか緊張感は無く、自分でも呆れるほどリラックスしていた。・・・遡ること一年ほど前。うちのベーシストである加藤君がとんでもないことを言い出した。「(大学時代の)後輩の須藤君を呼びたい!」え?T-SQUAREのベーシスト(元)である須藤満さん?・・・実現するのか?・・・私はほとんど“ヨタ話”だと思って聞いていた。それから具体的な話も出ないまま半年が過ぎようとしていた頃、加藤君が自宅に練習場所を作ってくれた(あ、別に「JUNK SHOP」のためにということではなく、自分とピアニストの奥さんと子供達のため、だと思うが)。そして、須藤さんとの共演のために練習を始めるという連絡が入った。「やっぱり、やるのか。。。」そういう、どちらかと言うとあまり気乗りしない自分がいた。2年前、仕事やら何やらで精神的にかなりダメージを受けてしまい“緊張する場面”には強い抵抗を示していた私が、そんな大役をこなせるのか?しかし、汽車は走り出した。そこから自分だけが降りるわけにはいかない。。。練習日程は段々と密になって行き、数年間のブランクをかなり埋める状態になった(と思う)。本番2日前、前日の機材搬入とセッティングを終え、いよいよ前日夜に加藤君の家で須藤さんと初めて対面することになった。挨拶もそこそこに早速“音出し”をすることになった。他のメンバーも一様に緊張感を隠し切れないようだ。私だって同じだが、いまさら逃げ出せるわけもない。血圧も心拍数も限界に達していたと思われる頃、いよいよ一発目の音を出す瞬間が来た。カウントを取ろうとした瞬間、須藤さんはこちらを見てニコッと微笑んだ。まるで「大丈夫!オレに任せておけ!」と言ってくれているようで、ものすごく安心した。感動した。楽に演奏できると思った。・・・ああ、こんな稚拙な言葉でしか表現できない自分に嫌悪感を抱いてしまう・・・。さて、この日のリハーサルというか音出しは、さらっと流す程度で終わった。もっといろんなところでツッコまれると思っていたので、拍子抜けしたというのが正直なところ。ただ、前日にあれこれいじってもしょうがないというところだったのかもしれない。・・・リハ後の歓迎会というか飲み会でも、須藤さんの人柄の良さを充分拝見させていただいた。一昔前でいうところの“三高(高学歴・高身長・高収入)”プラス人柄の良さ(もちろん、ルックスも良し!)、ということでこんな人がいるのか?というような人だった。・・・そんな前日があったからこそ、本番では緊張せずに演奏できたのだと思う。もちろん、個人的にはカウント4つで入るはずのところを8つで入ったりしたのをはじめ、かなり“ポカ”をやったが、終わった後の充実感は今までに味わったことの無いものだった。
余談その一・・・
後日、加藤君に「須藤さんがこちらを見て微笑んでくれたことが、安心感に繋がった」という話をしたところ、「もう、25年もお前の顔を見てるんだから、今更見れるかい!」と笑っていた。しかし、その後の練習で演奏中に加藤君はやたらとこちらを見るようになった。。。言わなきゃ良かった・・・後悔している(うそうそ)。
余談その二・・・
このプロミュージシャンとの共演の後、練習のたびに他のメンバーから言われることは「あれ以来、お前変わったな」とか「調子良いなー」とかいう一種の賞賛(と思っているのは自分だけだ!)である。もちろん、プロと共演してテクニックが上がったり、上手く叩けるようになったとか、手足が早く動くようになったということがあるわけがない。下手ドラマーであることに変わりはない。では、何が変わったのだろうか?・・・要は、気の持ちようである。今までは、自分の役割をそつなくこなそうということばかり考えていた。つまり音楽を楽しむとか遊び心というものが無かったような気がする。今は、プレイしていてもどこか心に余裕がある。それまでベースの音ばかり気にしていたが、今は、不思議と全体を見渡せるようになった。そういう精神的な部分を須藤さんに教わった。非常に感謝している。これを「邂逅」というかもしれない。
2001/04/07・・・
こうして“ご縁”ができた須藤さんと我々は、約2ヵ月後に再会することになった。須藤さんのライブツアーの北海道・東北編の中に、この地を選んでいただいた。そして、そのライブをお手伝いすることになった。もちろん、窓口は須藤さんの先輩である加藤君である。彼は、仕事もそっちのけでこの企画のために東奔西走した。私は、単なる加藤君のサポートに過ぎなかったが「それでも須藤さんのために」という気持ちで、出来る限りのことはした(つもり・・・)。まあ、準備期間はそんなになかったが、加藤君以下スタッフの頑張りでなんとか当日を迎えることができた。・・・4時頃メンバーが到着。ところが、ベースアンプにトラブル発生。急遽、前回の共演で使わせてもらったベースアンプの持ち主である、金子君に連絡。急いで持ってきてもらえることになった。こういうとき、本当に音楽仲間のありがたさを実感する。こうして最大のピンチを乗り越えて、いよいよ音出し&リハ。ドラマーの小森さんがローディ(昔でいうところの“ぼうや”)の若い子を叱っていた。セッティングにちょいとしたミスがあったらしい。プロの厳しさを見せ付けられた。彼もこうやって成長していくのだろう。。。私としては、ライブ前にセッティングを間近で見ることができたので大変勉強になった。そして、いざ本番へ。。。小さな会場でライブを見る(聴く)ことは、プレイの細かな部分を観察できるという意味では、すごく為になる。いろんな意味で勉強させていただいた“にわかプロモーター”も、午前2時半の打ち上げ終了と共に終わりを告げた。

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