私のお母さんは双子だったの。家を継いだのはお母さんの方。
私の家には不思議な力が代々伝わっていてね、お母さんたちにもあったわ。
もちろん私にも従姉妹たちにも、ちゃんとあるのよ。
そうよ、従姉妹。
お母さんたちと同じく双子でね、黒鷺(ヘイルゥ)と黒鸞(ヘイルァン)っていうの。
二人ともとっても美人よ。
でもね、妹の方はとってもおてんばで悪戯好きなの。
だからね、ふふふ、小黒って、男の子みたいに呼ばれてたわ。
うん……小黒は……突然いなくなってしまったんだけど……。
どうしてるのかな。
黒鷺もあんなことになってしまってるし……とっても淋しい。
お父さんとお母さん? もうずっと前に亡くなったわ。
今は馮おばさんがお母さん代わり。
お父さん代わりは……王おじさんかな。
王おじさん? 大好きよ。
いつもいろんなお土産を持ってきてくれるわ。
街のお話もたくさんしてくれるし、とっても優しくて面白いもの。
……でも最近ちょっと怖い。
私ね、小さい頃から、ずっと王おじさんに言われてたの。
お前は蘭の家を継ぐんだよって。
正しい血筋はお前だけしかいないって。
馮おばさん? ううん、何も言わない。
あなた、天道式を見に来たんでしょう? ね、天道式って何をやるか、知ってる?
……いいの、隠さなくったって。
私、本当は知ってるんだもの。
おばさんもおじさんも、秘密にしてたみたいだけど……。
でも知ってるの、私。
私が見立てられるか、黒姉妹が見立てられるか、王おじさんは内心気が気じゃないみたい。
え? 私?
……ここは遠いわ。
お友だちは黒鷺と小黒だけ。
どちらが見立てられても、もっとずっと淋しくなってしまう。
前にね、ずっと小さい時、
黒鷺と小黒と一緒に馮おばさんの水晶球を覗いたことがあるの。
秘密よ?
水晶球には、私たちの姿はまったく違って映ったの。
私は「扉」だったわ。
黒鷺と小黒は「鳥」だったの。
綺麗な、大きな鳥。
見立てを受けるのはきっと黒鷺たちよ。
「扉」は通るものがないもの。
ただあるだけ。
「鳥」は狭い場所で羽ばたけずにいる。
見立てを受けて鳥が解放されれば、きっと全ての流れが上手くいくと思うの。
……王おじさんはそう思っていないみたいだけど。
ずっと考えていたわ、お父さんのこと。
……私が産まれる前に死んだって言われてたけど……本当は……、
ううん、何となくそんな気がするだけ。
ふふふ、きっとちがってるわ。
あ、馮おばさんが呼んでる。ちょっとおしゃべりしすぎちゃったみたいね。
年画、お願いできるかしら? 先に行って待ってるから。
よろしくね。
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