ルーベンスの絵の前で、ネルロはひざまづいた。

 私の毛の汚れが、頬を寄せてくるネルロに付いてしまうのではないかと

思ったが、彼の温かさが愛おしくて、ついこちらもぺろぺろとその頬をな

めてしまう。

「ごらん、パトラッシュ。あれがルーベンスの2枚の絵だよ。『十字架に

上げる』と『十字架から下ろす』……なんて綺麗なんだろう!」

 焦がれてやまないルーベンスの2枚の絵を見るネルロの目は、キラキラ

と星のように輝いている。

 ああ神様。

 私はもう彼のこの顔を見られただけで十分です。

「……パトラッシュ」?」

 私はもう年寄りです。長く歩いてきたので、今日はだいぶ疲れました。

 少し、寝かせてください。

「パトラッシュ? 寝ちゃだめだ! パトラッシュ!」

 少しです……ほんの、少し…………。

「パトラッシュ、ほら絵をご覧よ!」

 まぶたが重くて……。

「パトラーッシュ!! バフバフ!!」



 ……ばふばふ?



 バフバフって何ですか、ネルロ……? ああでももう目を開けられない

ぐらい眠い…………



 ネルロ……バフバフって何ですか……?







……一部で使用されている「ばふばふ」はこうやって生まれました(違)。


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