夜道を歩ひていたらば、向こうの角より女が現れた
誰一人通らぬ小径に一人
細い月の淡やかな光に浮かぶ顔は
正しく絶世の美女だが
この夜更けでは奇怪なばかり
じっと見ていたら眼があった
「これ爺、何を見て居る」
「あなた様のお顔を」
「そうか。ならば存分に見るが良い」
許されたので、
まじまじと見続ける
瞬きもせずにいたら眼が痛くなったので
ほんのわずか眼を反らしたら
「これ爺、もう飽いたかや」
「はい、今度は横顔を拝見いたしとう御座ゐます」
「そうか。ならば存分に見るが良い」
女が横を向いたので、
まじまじと見続ける
横を向いた女は
一体何処を見ているのだらふか
ただ
月光の如き眼差しを真っ直ぐに
真っ直ぐに、向けている
「これ爺。もう良いか。わらわはもうゆかねばならぬ」
「はい、有り難う御座ゐました」
軽く頭を下げると、女は頷いた
そのまま立ち去ろうとする女を呼び止める
「お嬢様の御名を頂戴致しとう御座ゐます」
「名か。わらわの名はおつきじゃ」
「ではおつき様、お休みなさいませ」
云うと
おつき様はにこりと笑った
「お休み、爺」
そうしておつき様は、夜の中をゆらゆらと歩いていった
明日は新月である。
おしまい。
カウンター23000番をゲットした理々子さんからのリクエスト。
「お月様」「夜歩く」「タイトルはルナティック」というお題を頂いて書きました。
「サギだー書き直せーーーー!!」という苦情は受け付けません(笑)>理々子さん
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貧乏くじ(?)を引いてしまった理々子さんのおうちを冷やかしてみる。