願いはいつも一度に一つしか叶わない
神様の怠慢とは思えないけれど
[19]
[19.X]
……私はまだ病気が治っていないのかもしれません。何故なら、この後、どうやって自分の部屋まで帰ったのか、覚えていないからです。
くろーんという言葉の意味は、よく分かりませんでしたが、お父さんの子ども、というのとは違うんだろうなあということは何となく分かりました。
その日はお父さんは夜勤で、私はいつも泊まりに行っていてたのですが、お父さんと一緒に眠る気持ちがしなくて、別の部屋で寝ました。
みんなから、「月日子ちゃんもお年頃なんだねぇ。ドクターは淋しがるんじゃない?」と言われましたが、お返事をしたくなくて、眠たふりをしました。けれどちっとも眠れませんでした。
次の日、ダイアナの部屋でくろーんとはどう言うことなのか、アレスに聞いてみました。アレスはダイアナと同じように、とても頭がいいからです。でもアレスはちゃんと答えてくれず、いきなり怒り出すと、病室を出ていってしまいました。
月日子はここにいろ、とアレスに言われましたが、とても心配で、こっそり後を追いかけました。アレスはお父さんの研究室にいました。ドアの隙間からそっと覗くと、
「どういうことなんだよ、ドクター!」
アレスがお父さんに掴みかかっていたので、とてもぼっくりしました。アレスは私やダイアナよりもずっと背が伸びて、お父さんと同じぐらいあります。
「俺とダイアナは構わねぇ。俺らはプロジェクトの為に生まれたって自覚があるんだから。けど月日子はどうなるんだよ!」
勢いよく押されて、お父さんはどんと背中を壁にぶつけました。少し咳き込んでから、お父さんは静かに言いました。
「私は月日子を愛しているよ、失敗した私のクローンでも、我が子のように心から愛している」
お父さんは、いつもの優しい笑顔でしたが、私は急に胸に穴が空いたような気持ちになりました。くろーんは分からなくても、失敗なら分かります。胸の穴を風がアイシテイルアイシテイルと通り抜け、私はとても寒くなって、廊下にうずくまりました。
「月日子ちゃん? どうしたの、こんなところで」
通りかかったシーラさんが優しく声をかけてくれましたが、私は顔を上げたい気持ちにはなりませんでした。
「月日子……聞いていたのか?」
アレスが私をみてうめき声を上げました。そして部屋の中に戻ると、どん、という音がして、シーラさんが悲鳴を上げました。
「やめなさいアレス! 博士に何て事をするの! 誰か来て頂戴!」
「うるさい!」
突き飛ばされたのか、シーラさんが私の上に倒れてきました。アレスはそばへ来て、私を抱き起こしてくれました。すがりついて泣きだしてしまいたかったのですが、アレスの肩越しにお父さんが見えて、
「月日子!?」
私はアレスの手を振り払うと、廊下を走りました。呼ばれても振り返りませんでした。角を曲がるとき、
「殺してやる! 例えドクターでも!! 月日子を傷つける奴は絶対に許さない!」
アレスの叫ぶ声が聞こえ、ばしんという音がしました。叩かれたのはお父さんなのかアレスなのか分かりません。私は走って逃げました。
いつの間にか研究所の駐車場に来ていました。車に乗って、お家へ帰ってしまいたかったのですが、車はお父さんしか運転できません。
私は突然もうれつな怒りにおそわれました。私は自分では何一つできないのです。車の運転も、研究所の外に出ることも、お勉強だって何もできません。ただ笑って暮らしていただけです。こんな自分につくづく腹が立ち、こんな自分にした父を心底恨みました。
そして私は、車のボンネットを開けると、色とりどりの配線のうち、細い一本を引きちぎりましたが、まだまだ腹の虫は収まりません。もっとちぎろうとしたとき、私を呼ぶ声が聞こえました。私は慌てて、でもそっとボンネットを閉じました。
呼んでいたのはポーラです。小さな声で返事をすると、ポーラは大きな身体を揺らして走ってきました。
「月日子、ここにいたのね。大変なことになったのよ」
はぁはぁと息を切らして、ポーラが喋ります。
「アレスは研究所をやめるかもしれない」
「どうして?」
私はびっくりして大きな声を出しました。
「ドクターを、月日子のお父さんを殴ってしまったのよ。お父さんはケガをして、今手当てを受けているわ。早く一緒にいらっしゃい」
手を引こうとするポーラから、私は一歩逃げました。
「行きたくない」
「月日子?」
「どうしてアレスがやめるの? アレスがどうしてお父さんを殴ったか、ポーラは知ってるの? 私のために怒ってくれたんだよ?」
「だから、一緒に行って、アレスを説得するようお父さんに言ってちょうだい」
ポーラは私をなだめるように、とても優しい声で言いました。けれど私には、それが全然ちがう意味に聞こえたのです。
「ポーラも、アレスが大事なのね。みんなダイアナとアレスの方が大事で、誰も私を大事にしてくれる人なんていないのね……」
「何言ってるの、月日子? みんなあなたを大切に思っているわ。みんな大好きよ」
「嘘よ、嘘! 私の味方なんて誰もいない! お父さんだってそうよ!! ねえ、ポーラは知ってたの? 私が失敗だったって、知ってたの?」
私はしゃくりあげながら、ポーラのお腹をばしばし叩きました。けれどポーラは困ったような顔をするだけで、何も言いません。涙があふれて止まりません。そして言葉も止まりませんでした。
「嫌い! みんな嫌い、大嫌い! みんな死んじゃえばいいんだわ!」
[19.1]
『殺人……って、お前何をするつもりだ?』
メモ帳に映る呆れ顔のラングに向かって、グラウエンは真剣な眼差しで言った。
「電脳をジャックしている何者か……恐らくアレスでしょう……そいつを切り離します。成否は五分五分ですが……」
『失敗したら?』
答えはない。
『……死ぬってェのか。参るねこりゃ……』
「済みません。でも、僕だから五分なんです。火星のハッカーたちも、電脳が何者かに乗っ取られたと悟っているでしょう。けれどこれは失敗できない事だし、何より彼女へ至る壁が高すぎるから、皆二の足を踏んでいる。僕だからこそ、確率を半分に出来るんです」
『でも、失敗する可能性も否定できない。だから罪になるか、なんて聞いたんだろ?』
グラウエンは肩をすくめて頷いた。
「ならない、と言われたら、思い切ってやれるだろうって思ったんですよ。どうですか、死んでても罪になりますか?」
ラングはしばらく考えていたが、やがて頭をがしがしと掻いて、
『ならねぇよ。つーか俺が罪にはさせねぇ』
グラウエンはぱっと表情を明るくした。
「ありがとうございます! このご恩は絶対に忘れませんから!」
『死んでる奴に言われてもねぇ……』
「あ、情報局のポーラさんにも、グラウエンがよろしく云っていたと伝えて下さい。頭の針が痛かったと言えば、きっと何でもしてくれますよ」
『はぁ?? 何だそれ?』
「それじゃあ!!」
にこやかに挨拶をして、グラウエンは通信を切った。
「ホクトさん、どうですって?」
「OKだって。これであーんなことや、こーんなことも出来るぞ!」
グラウエンはメモ帳を李に返すと、嬉しそうに作業を始めた。衣装倉庫の床にぺたんと尻をつき、脚を前に投げ出した上に、幾つかの機材を置いて吟味する。
「お尻、冷たくないですか?」
「うん大丈夫。そういうのも無いみたい」
あわわ、と李は内心焦る。グラウエンの下肢は、彼が目覚めてからずっと動かないままだった。
「でも、何か敷くものを探してきます」
「いいよ、平気。脚は多分、本格的にダメみたい」
電脳適合率の低いグラウエンは、脳の機能の一部を放棄することによりスペースを空け、そこにD・Dからのデータを詰めていた。
グラウエン自身にも動揺はある。脚が動かないこともその一つだが、それよりも、こうなる可能性も多少は、と予想していたのに、ビアスに確信犯として電脳データの上書きをされてしまった事の方がショックだった。
「……でもよかった、脚で。腕や指だったらキーが叩けませんし、折角習った銃も撃てなくなるとこでした」
李は開きかけた口をつぐんだ。恐らくグラウエンはこの事を、『ザ・エージェント』で放送される珍プレーの一つ程度にしか思っていないだろう。だから彼女も遠慮なく、いつものように明るく振る舞えば良いのだ。しかしそうするのに李は少々動揺しすぎていた。そばにラングがいれば、別だったかもしれないが。
「それにしても、停電では折角探してきてくれた機材が使えないなぁ。どうしよう」
「バッテリーは使えませんか?」
「少しヘビーな作業をするから、途中で切れられると困るんだよねぇ。大きい数字の計算とか、スペルチェックには使うけれど……うーん、一か八かの手しか残ってないなぁ」
「一か八か、ってそんなにギャンブルなんですか?」
「うん」
グラウエンは人差し指でトントンとこめかみを叩いた。
「僕のココ、まだ少し『電脳』と繋がってるんだよね。だから、プログラムコードを考えながら、直接実行しようかと」
[19.2]
「おはよう、月日子」
久遠が目を醒ますと、アレスが囁いた。背が温かい。アレスは久遠を抱きかかえられるように支えていた。
久遠に廻された白い手に、ぽたりと水が落ちた。その手が彼女の頬を拭うまで、久遠はそれが自分の涙だと気付かなかった。
「思い出したんだな」
問いに久遠は頷いた。また涙が落ち、長い黒髪が顔を覆った。
「私は……」
長い沈黙の後、久遠は呟いたが、最後まで言葉にならなかった。私は何者なんだ、と。
突然変異なのか変異せぬのか、不完全なままで生き続け、電脳への資質もアレスやダイアナに遠く及ばない。
その上父まで手に掛けた。
あの日、月日子が壊した車の配線は、ブレーキ系統のものだった。運転していたクドー博士は、交差点に突っ込んであっけなく死んだ。その後、目覚めたダイアナの手によって、アレスと月日子は記憶を訂正されたのだ。
「なぁ嫌な女だろう、ダイアナは。都合の悪い思い出はみんな訂正しちまうんだ。自分自身の記憶すら訂正しちまう……自分で俺たちの記憶をいじったって事もな」
久遠を抱きかかえるアレスの手に力がこもった。
「俺が幾ら攻撃を仕掛けても、全然思い出さなかった。あんなに、約束をしたのに」
アレスは、ダイアナと共に月日子を守ると約束し合ったのだと言った。劇薬を口にし瀕死の彼女を見て、研究所で唯一の普通人だった彼女を守ろうと。
ダイアナは、アレスを殺そうと『罠』をしかけた贖罪であり、アレスは知らずとはいえチョコを食べさせてしまった自責からだった。互いの抱える思いを知らず、けれど「月日子」という一点で、彼らは結束したのだ。
だが、ダイアナはシステムの搭載により約束を忘れ、アレスは記憶を奪われて研究所を追放された。
「嫌な女だよ。だから俺はダイアナを殺しに来たんだ」
アレスは久遠の顔を覗き込んで、笑った。D・Dの美貌を醜く歪めて。
[19.3]
ダイアナを殺す、アレスはそう宣言した。
しかし久遠にはどうにも出来ない。目の前にいるのはD・Dなのだ。彼女の手の届かないところにアレスはいる。
「さあどうする? この身体を捕まえたところで『電脳』の崩壊は免れないぞ。方法は一つだけだ。殺せ月日子、俺を、ダイアナを殺せ!」
アレスは久遠の逡巡を見抜き、高く嗤った。
D・Dは殺させない。それだけを久遠は強く念じていたが、その理由は自分でもわからなくなっていた。
友だからか。『電脳』だからか。犯罪を見逃せない捜査官の性ゆえか。踏みだそうとした足は、そのまま動かすことができなかった。
「はは、お前に殺せるはずが無い。だがな、今なら間に合うかもしれないぜ? 俺がダイアナを道連れにする前に」
「戻れアレス、お前自身に。まだ皆が目覚める前に」
「嫌だね、俺は一人はもう嫌な……」
突然アレスは膝をついた。両腕で身体を抱き、ガタガタと震え始める。
「アレス!?」
「何だ、これ……!? くそ、割り込みだ……誰かが俺のルートを嗅ぎ付けて、逆にハッキングしてやがる……!」
肌は見る間に血の気が引いていった。抱きかかえる久遠の腕に、ずっしりと重さがかかる。真っ白になった指が、黒い久遠のコートを握り締めている。
「くっ……電脳に攻撃を仕掛けられる機械なんて、どこにも無いはずだ」
火星は全て停電している。バッテリを使っても大量のプログラムを処理しきれないはずなのに、今、こうして攻撃が起きている。
「ダイアナにバックアップがいるなんてあり得ない。適合脳を持っているヤツは、いるはずが無いのに!」
「まさか……」
久遠の呟きを聞き、アレスは彼女の腕を払いのけた。ふらふらと立ち上がり、ぎらつく青い眼で久遠を睨む。
「バックアップがいるのか? 誰なんだ、俺と月日子以外ありあえないのに」
「グラウエンだ。リチャード・グラウエン、私のパートナーが、バックアップとなった」
久遠の言葉に、アレスは吐き捨てるように舌打ちをした。
「普通脳のヤツを使うなんて、さすが連盟だな。それともお前がそう細工したか?」
言い終わらぬ内にアレスの頬が高く鳴った。久遠が平手を打ったのだ。
「少しは手加減してくれよ。身体はダイアナ嬢のものなんだぜ」
頬を押さえながらアレスは笑おうとしたが、その唇はすぐに引きつった。痛みよりも、攻撃に辟易しているようだ。
「くそ、こいつ、上手い……捜査官には勿体ないな」
「昔はガザと名乗っていたらしい。かなりの腕前だと自分でも言っていた」
「ガザ?」
アレスは再び舌打ちをした。
「道理で! けど中枢は俺が握っている。切り離しに失敗すれば、俺は勿論D・Dだって死ぬ。いいのか?!」
放つ言葉は暗闇へ吸い込まれるが、彼方のグラウエンにも聞こえているかのようだった。全身から汗が噴き出し、はっきり分かるほど震えている。攻撃の手は少しも緩まないようだ。
「……黙れぇっ!」
まとわりつく気配を振り払うように、アレスは身をよじった。夜光花の赤い光が一瞬消え、再び揺らめくように立ち上がる。
解けた髪の下から、D・Dの藍色の瞳を煌めかせ、アレスはニヤリと笑った。
「向こうとのリンクを、九割以上切った。もう攻撃は来ない」
「グラウエンは!?」
「その辺をうろうろしているさ。ちっ、体調が万全なら、完膚無きまでに叩きのめして……」
が、突然アレスは顔を押さえて俯いた。
「アレス?」
押さえた指の間から血が滴り落ちる。拭っても鼻孔からあふれ出す血は、白いドレスの胸に赤い模様をつけた。
「くそ、何てヤワな身体なんだ! よくこれで『電脳』が勤まったな!」
罵るアレスにハンカチを差し出しながら、静かに久遠は言った。
「D・Dは、引退したいと言っていた」
「何だと?」
「私だけにD・Dが言ったんだ。細かい部分のフォロースピードが遅くなってきている、と。身体への負荷も相当あるようだった。いつ倒れてもおかしくない状態だったから、護衛官がいつもD・Dに付き添っていたんだ。勿論警護の為もあるが……」
「……本当なのか?」
久遠は頷いた。
「D・Dの身体のことを、勿論ビアス博士は知っているが、辞めたいとまで思っているとは、恐らく気付いていないだろう……」
「ははッ!! じゃあ俺は骨折り損って訳か? 黙ってりゃあダイアナはくたばってたって?」
アレスは笑ったが、怒りなのか絶望ゆえか、その声は震えていた。
「勝手に死ぬのは許さない。許さない!」
叫んで、アレスは久遠に体当たりした。不意を突かれた久遠は、押されるままに倒れ込んだ。周囲の電飾が割れた。弾ける色ガラスにアレスがわずかに怯んだ瞬間、首に掛かろうとしていた白い手を、久遠は掴んで反射的に投げ飛ばした。
だが、あっと声を洩らしたアレスの、赤い血で汚れた口元を見たとき、久遠の腕から力が抜けた。
しかし中途半端な力で投げられたアレスは、山車の端に近い花飾りの中に落ちていった。
「D・D!!」
すぐさま起き上がって、久遠は後を追った。
果たしてアレスは、花飾りの中、山車の縁に辛うじて掴まっていた。急いで引き上げる。露台の上で、二人はしばし肩で息をするだけだった。
「D・D、と言ったな……」
沈黙の後、アレスが呟いた。
「ダイアナが全てか。やっぱりな」
「違う……」
「違わない。やっぱりお前はドクターなんだ」
「私は、私だ……」
力無い声だった。
「俺も俺だ。もっと強く投げてくれたら、全ての片が付いたのに。嫉妬も恨みも憎しみも、全部終わることが出来たんだ」
アレスは苦笑するような眼差しを向ける。
「俺がネバーランドに手を出したのは、全くの偶然だ。回数と量を重ねるうちに、ハッピーバックの噂を聞いた。幸せな記憶に浸れるって話だから、ガキの頃の記憶も無いし、丁度いいやと思ってやったんだ。それが、こんなに苦しくて嫌な思い出だったとは……」
アレスは、くっと軽く咳き込むと、血の混じった唾を脇に吐き出した。
「でもなぁ、これしか思い出さなかったんだよ。嫌な事ばっかりなのに、これが一番幸せだった頃なのかって思うと、情けなかった」
アレスは立ち上がると、虚空の闇へ目を向けた。
「孤独だったと言ったら、お前は信じるか? いや信じないだろうな、絶対に。今までも一人だった。これからも一人だ。俺には何もない、誰もいない。孤独の淵に沈むだけさ」
アレスの瞳が昏く光る。
私の味方は誰もいない、と泣き叫んだあの日を、久遠は思いだした。誰しも自分は独りだと、心に小石を持っているのだろう。もしかしたら、『ダイアナ』も。
その時、任せてね、という言葉がふと久遠の脳裏に閃いた。二人の、アレスとダイアナの事は任せて、と。
絶対に二人を孤独にさせないから。
「……絶対、か」
言って久遠はかすかに微笑んだ。
それは幼い自分が、約束した言葉だ。約束した相手を思えばいまいましいが、それを果たすべきだろう。約束したからではなく、自分の意志としても。
捜査官は、絶対、でなければならない。絶対に強い。絶対に正しい。だから様々に特権が与えられ、それを行使できるのだ。一度交わした約定は必ず守る、ということも、絶対であった。
久遠は再び微笑んだ。自分はあらゆる約束を守る運命にあるのだろう。だが運命とは自分で紡ぎだすものだ。誰かに最初から形作られているのではない。今ある自分は、様々な糸を自分で選った結果といえよう。久遠はそう信じて、笑ったのだ。
「アレス」
振り返ったアレスを、久遠は抱き寄せた。微笑み続ける久遠の唇も眼も、柔らかな弧を描いてこの上なく美しい。だがどこか悲しかった。
久遠はコートの内側から銃を取り出すと、アレスを優しく抱き締めたままその背に銃口をぴたりと付けた。
「淋しくないさ、多分な」
言って久遠は引き金を引いた。
next is the last it→
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お読み下さってありがとうございます♪
それにしても長い・・・・・!
いつ終わるとも知らなかった「カーニバル」も、
次回で最終回となります。一部(爆)から「完結編1・2・3」とかやるんじゃないの?と
つつかれていましたが(笑)、ちゃんと次で終わりますよ〜。
当初の予定とはかな〜り違った展開&ラストになってきてます。
どうぞ、最終回も見守って下さいませvv (02/02/04)
華天。