雪が降っている。 その中に、彼女はひとり、立っていた。 顔ごと空に向けているものだから、こちらに気がつかないらしい。 なにをしているの、と。 声をかけると彼女の視線はゆっくりと空から戻ってきて――私を見つけて微笑んだ。 こうしているとね。 彼女は言う。 雪が、つもるかなあ、と思ったの。 でもね、ほら、全部全部溶けて、わたしにはつもっていかないの。 ゆるやかに、両手を広げて。 ゆるやかに、顔を天へ向けて。 彼女は目を閉じる。 雪がね。 あなたは生きてる、ってささやくの。 そう囁いた彼女の唇に、雪が触れて、溶けて、消えてゆく。 そんなへんてこりんな方法で生を確かめなくてもいいんじゃないの? 私は苦笑する。 いつまでもそんなふうに立ってたら、死ぬよ? 本当に。 そうしたら、雪がつもって、真っ白になれるかな。 彼女がそんな風に言うから。 そんなに雪を積もらせたいの、と。 そんなふうに問うた私に、彼女は黙したまま近寄ってきて抱きついてきた。 冷たいよ。 雪みたいに? そうだね。でも、溶けないよね。 私が言うと、彼女は囁く。 溶けていってほしい? 私は。 濡れるのは嫌いだよ。 彼女は目を細める。 あったかいね、手。 握られた私の手から彼女がしみてくる。 あったかいって感じるのは、あなたが生きているからだよ。 雪の中に立つより、よっぽど健全だよ。 今度からそうしてよ。ね。 彼女は笑って、言葉を口にせず。 ただ落とした涙が、雪に消えていった。 |
はなさんから頂きました「雪」でございます。
あんまり素敵で、もう、私、コメント出来ません。読んでる最中から泣きそうになってしまって……。
私の日記の詩モドキを読んで書いて下さったそうで、有り難い限りです(感涙)。
はなさん、本当にありがとうございました!!
はなさんのHP「さるすべり」には素敵な文章がたくさんあります!
「ハナバナ屋」のコーナーが華天の一押しですので、ぜひどうぞ♪
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