ここ数日、チェンはブリッヂでクローディアを探していた。
 彼女の妙な噂をあちこちでも聞いたからだ。
 幾度も回線を乗り換え、ようやく彼女をつかまえた。雑音の向こうへ、努めて冷静に言う。

「噂を聞いた。君の噂だ」
 
「君がデューカだって」

 

 クローディアは笑った。

 

 呆気にとられたのはチェンの方だ。受話器を持つ手に力が入らない。

 
「デューカは本当にいるのか?」
 
「そういう文学的な事じゃない。一個の人間として、デューカは存在してるのか?」
 

 さざ波のようなノイズが流れる。

 
「……君流に言えば、好きな奴もいるし、嫌いな奴もいるだろうね。確かに君らにとっては遊びだろうけど、ファンは本気なんだ。知ってるだろ、ファンがどんなにデューカを好きかって」

 再びノイズが現れる。

 先に接続を切ったのは、チェンだった。

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