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手懐けたと言われても、だ。
未だに乗っているのがやっとのバイクだ。ちょっとでも油断すると
すぐにハンドルはそっぽを向いてしまうし、足だって必死に踏ん張っ
てないと吹っ飛ばされるほど車体が揺れてしまう。まるで暴れ馬みた
いだ。サイドカーを付けて女の子を乗せていたときは、比較的運転し
やすかったけれど、それだって普段に比べればの話。まあ、大量のプ
レゼントを積んで配達するためと考えれば、重さのバランスを予め考
えてるのかもしれないんだけどさ。
「あいつは先代が手ずから組んだトナカイだ。乗りこなせるのも先代
だけだった。先代が亡くなった後、何年かは俺がどうにかこうにか乗っ
ていたけど、一昨年から全く動かなくなっていたんだ。どうやってル
ドルフを動かしてるんだ」
「どうやってって言われても……」
俺の肩を掴んでる手にどんどん力が込められる。あまりの痛さに悲
鳴を上げそうになったとき、
「あなたには無いエネルギーを、彼は持っているからよ」
美女が金髪少年の手を外した。ものすごい力だったろうに、彼女は白
い掌で易々と握っている。
「確かにあなたの騎乗は誰よりも速いし無駄がないわ。何より社の創始
者の血族ですもの、それだけで意義があることです。けれど」
美女は哀しげな顔で俺と金髪少年を交互に見た。
「今の世の中では、今の子ども達にはそれだけではダメなの」
そして金髪少年の手を離すと、事務室へと入ってしまった。美女の後
ろ姿はいつもと同じようにスッキリと伸びた背だったが、ほんの少し哀
しそうに見えた。
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