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 倒れた女の子は、身体中が火のように熱かった。やっぱり風邪をひいてたんだ。
ポケットの中を探ってみても、名前や住所を書いてるのは何もない。学校の名札
さえ。

 とりあえず俺は、女の子をサンタ事務所に連れていった。遅刻を注意しようと
近づいた美女は、俺の背中を見てびっくり顔。女の子を受け取って、事務室のソ
ファへ運んだ。結構力持ちなんだ……。

 サンタ理論の講習とバイク実技もそこそこに、俺は事務室へ飛んで帰る。たっ
た2時間程度が長くて仕方なかった。

「お兄ちゃん」

 女の子はソファに起き上がって、ジュースを飲んでいた。きっとリンゴジュー
スだろう、部屋の中はとても良い匂いがする。

「熱が下がったわ。お薬が効いたみたい。でも、お家に帰ったらちゃんとお医者
さんに行ってね」

 女の子の髪を優しく撫でるその姿! ああ、あなたは女神さまですか? 是非
とも俺だけの女神さまになってくださいっ!

 ハート形の目をした俺と美女とを交互に見比べ、けど女の子は首を傾げた。フッ、
まだお子さまには大人の恋愛というものが分からないのだろう。

「お願いがあるのだけれど」

 美女が俺をじっと見つめる。

「ええ、何でもどうぞ!」
「この子をお家まで送ってあげて頂戴。この分だと夕方には雪になりそうですもの」
「へ、雪?」

 窓の外はまだ雨だが、日が傾くに連れて気温がどんどん下がってくるとでもいう
のだろうか。やばいなぁ、今日は薄着で来ちまった。ネットオークションで落とし
たコートが思いの外ぎりぎりのサイズで、厚手のTシャツを一枚着たらそれだけで
いっぱいいっぱいなんだ。風を通さないからいいものの、冷気にはきっと効果はな
いだろう。


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