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次の日。昨日より少し温かいのか、空中の水分が雪になりきれないで
降っている。同じ水モノなのに、形が違うと随分と雰囲気も、身体に当
たる感じも違うんだな。傘がパタパタと音を立てる。
公園の前を通りかかると、またあの女の子がいた。今日はブランコに
乗っていた。相変わらず浮かない顔をしている。
サンタ事務所での講習のせいか、この頃は子ども達がとても気になる。
この子はサンタを信じてるんだろうか、どのぐらい疑ってるんだろうか、っ
て。
ブランコの女の子はどうなんだろう。三、四年生ぐらいなら、まだ信じ
てる年頃だろうか。俺がその頃は、もうとっくの昔に父ちゃんと母ちゃん
がサンタだって分かってたけど。
「食べる?」
俺は女の子に、キャラメルを一つ差し出した。さっき腹が減りすぎて、
コンビニで買ったヤツだ。一粒三百メートル、俺はコンビニからここまで
を二粒で過ごしたが。
女の子はキャラメルを口の中に入れたが、噛むとも舐めるともしない。
その内ふと気付いて俺を見上げ、呟くように小さく言った。
「ありがとう、お兄ちゃん」
その唇がやけに紫色で、俺は不安になった。
「昨日もいたよね。風邪ひくよ、傘貸してあげるから早く帰りな」
小さい手に傘を押しつける。事務所は目と鼻の先、ダッシュで行けば平
気だ。美女にバスタオルをかけて貰えるかもしれないし。
「待って!」
そう女の子が大声で叫んだのは、公園から出ようとしたときだ。
「待ってお兄ちゃん! あたしも連れてって!」
そして女の子は、糸の切れた人形のように地面に倒れ込んだ。
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