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 呆然としていると、何台ものトナカイバイクが
目の前を走っていった。サンタの扮装が似合いそ
うな爺さんもいれば、黒レザーの上下にサングラ
スをしたごっつい男もいる。爺さんはともかく、
トナカイバイクに乗っている黒い男の姿はかなり
滑稽だった。俺もああなるのか? 想像して目眩
がした。

 俺は近くにあったトナカイバイクをしげしげと
見つめた。今練習場を走ってる連中のとは違って、
スクーターだ。鼻がライト、目がウィンカー、そ
して……角がハンドル。確かにこれは練習が必要
だ……。いよいよ目眩がひどくなる。

 ともかくシートに跨ってみたけど、変な気分だっ
た。デパートの屋上にある、100円を入れて動
くおもちゃの乗り物を思い出し、何だか泣けてき
た。懐かしさからだと思いたい。

「まぁ素敵。やっぱりよく似合いますわ」

 いつの間にか側に来ていた美女が歓声を上げる。
やる気が段々湧いてきた。

「これがそのバイクのキーですわ。どうぞ」
 差し出されたキーと共に、ちりん、澄んだ音色が
てのひらに落ちる。柊のキーホルダーがついた、ベ
ル型のでっかいキーだった。これもでっかい鍵穴に
差し込み、ひねる。

 ごぅん!


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