スキュース数
(09.01.06)参考:フェルマーの最終定理(新潮社 サイモン・シン著 青木薫訳)
素数は、数がおおきくなればなるほと出現頻度が小さくなる。たとえば、0から100までのあいだには25個の素数があるが、10000000から10000100までのあいだにはたった2個しかない。1791年、まだ15歳だったカール・ガウスは、素数の出現頻度が減っていくおおよそのようすを予想した。その式はかなり正確だったが、わずかながら実際の分布よりもつねに多めの予想が得られた。素数の分布を百万まで、十億まで、あるいは一兆まで調べても、ガウスの予想はいつも少しだけ多めだったので、数学者はこの傾向がどこまでも続くと思いたいという強い欲求に駆られたのだった。そうして生まれたのが過大評価素数予想である。
ところが1914年、ケンブリッジ大学でG.H.ハーディと共同研究を行っていたJ.E.リトルウッドが、十分に大きな数の領域では、ガウスの予想が実際の素数を”下回る”ことを証明したのである。そして1955年にはS.スキュースが、見積もりが過小になるのは、
101010,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000
の少し手前であることを示した。
この数の大きさたるや、まさに想像を絶するものがあり、とても何かに応用できるとは思えない。ハーディはこのスキュース数のことを「なんらかの意味をもつ数学史上最大の数」と呼んだ。ハーディの計算によれば、宇宙に存在する全素粒子(1087)を駒に見立ててチェスをするとして、二個の素粒子を置き換えることを一手とみなすならば、組み立てうる試合の総数がおおよそスキュース数になるという。