パソコンについて


ホームページ作成記

 遅蒔きながらホームページを開設した。パソコンの勉強にもなるし、これまでに何度か買い換えたパソコンを購入額に値するほど役立てたかという反省があるから、ホームページを立ち上げることでそのことへの免罪符が得られるのではないかと何となく考えたことも確かである。病院の宣伝というと言葉が不適当であるが、インターネットの流れの中に入ることによって、積極的には存在性の主張、消極的には時流に遅れるのではないかという危機感からの救済というような意味もあった。ただ、一応病院のページとしての体裁をとってはいるが私の個人的ページの要素が強い。
 ソフトはフリーソフトのタグ挿入式エディターである「HTML Sorcerer」 (Masashi Tsugawa 氏作) をダウンロードさせていただいた。他のソフトを使用したことがないので比較は出来ないが大変に使いやすい。FTP機能を搭載し、サーバへのファイルのアップロードや相対リンクの指定なども容易である。このようなソフトを無料で配布している方がおられることが驚きである。頭が下がる。世の中にはインターネットで如何にもうけようかと画策し、果ては詐欺もしくは詐欺まがいのことをするような人間もたくさんいるというのに。作成の初歩的な勉強は「ホームページを作ろう!」(宝島) でさせていただいた。HTML言語の使い方、表やフレームの作り方など大いに参考にさせていただいた。私のページでは初級レベルの簡単なタグしか使用していないから、あとは辞書的な解説書を一冊手元に置いて必要に応じて調べれば大概のことには対応できた。おかげで出来映えはともかく、割に短期間で作ることができた。各ページのデザインはいかにも素人的であるがそれでいいと思っている。
 大切なのは内容であるなどと大見得切ると後でしっぺ返しが来るし、そんな大それた考えなど全くない。それどころか、随時更新していくほどの能力が自分にあるのかと自信がなくなる。3ヶ月が過ぎてようやくアクセス件数が千を越えた。とはいうものの半分近くは自分で開いたかもしれない。それでも多くの人たちが自分のページを見てくださることには感謝すると同時に恐ろしくもなる。
 病院の診療案内や設備の紹介などのほかに、医療情報としてこれまでに地域の方々に時々させていただいたお話の要旨を載せることは、内容的には貧弱であっても自分の専門分野に属することであるし、少しは読んでくださる方々のお役に立てているのではないかと思えば幾分気持ちが救われる。
 問題は趣味のページと称して自分勝手な趣味の領域を題材に時々エッセイもどきの駄文を掲載していることである。せっかくホームページを作ったのだから充実した内容にしたいと不遜にも考えたのであるが、稚拙な文章を読まれていると思えば大変に気恥ずかしい。これまでにも他人に読まれることを意識しないで日記的に自己満足的な文章を綴ったことはあるし、地域的な小冊子に拙文を載せていただいたこともある。だが、インターネットのホームページというところに一旦掲載した以上はそのページや文章が全国――英語のページを作っていないので全世界とは言えない――をひとり歩きしてしまうわけである。病院のページということで偶然に開いてくださった方々にさえ、私の駄文は失笑、嘲笑とともに読み飛ばされてしまうのではないかと思えば恥ずかしくなる。自分であらためて読み返してみてあまりにひどければ、掲載した後でも削除してしまえば済むことであるが、すでに何人かの人の目には触れてしまっているわけだし、第一無責任である。
 立派な文章をたくさん掲載している方々は次々に新しい着想が浮かぶのだろうか。日常経験していることや過去の色々な出来事で何かいいテーマはないかと思案しても私にはなかなか思いつかない。締め切りがあるわけではないから急ぐこともないのだが、定期的に更新しないとページの存在理由が危うくなるのではないかと心配になる。すでに自分のホームページが可愛くなってしまっているのである。過去に題材を求めて学生時代の日記をひっくり返しても見たが、全く使いものにならなかった。逆によくもこんなくだらないことを真面目に書いていたものだと一人で赤面する始末であった。その当時の感性で書きなぐったにすぎないのであろうが、内容の幼稚さ、文章の拙劣さに呆れたわけである。
 人間のものの考え方は時間の経過とともに変わっていく。だから今の自分の文章も何十年か後にはやはり赤面しなければ読めないことになるのかと思えば空恐ろしい。気恥ずかしさは単なる日記とは比較にならないであろう。もっとも私も齢50歳も半ばに達しつつあるから何十年も先にという機会はもうないであろうが、もし生きながらえていればその時は羞恥の発作に襲われ苛まれて毎日寝込んでいるかも知れない。


ひとつ戻る
TOPページへ