通所更生施設「高清水園」見学

平成9年8月29日

参加者:18名

高清水園秋田市上北手猿田稲代沢14-1

秋田県高清水園は県内唯一の県立児者併用入所施設として平成9年4月に新築移転しました。それに伴い、経営を秋田県社会福祉事業団に委託されています。
 県内では唯一冷暖房完備され、作業棟や身体障害者用重度者のための浴室、広いグランド、個室化への対応、強度行動障害児者のための設備が用意されていました。施設内は、段差を無くし玄関に自動ドアを設置し、手すりを付けています。また、天井には天窓を付けてあり明るくしています。  


入所児童は40名(男27名、女13名)、成人は60名(男38名、女22名)計100名。 そのうち重度障害者が8割を越え、ほとんどの児童に言語がないか、 おうむ返しの状態で、さらに最重度障害が半数(約40名近く)を占めています。

職員は県職員、事業団職員、新規職員がそれぞれ1/3ずつ計65名。県立の施設の役割として、民間施設では処遇困難な強度の行動障害児者を入所させています。最重度棟には、マンツーマンで職員が常時介助する体制にあり、完全個室となっています。

臼井忠治園長は、重度強度行動障害児者について「県立の施設であるからこそ、その役割として彼らを処遇することなのです」と強調されておりました。 施設内見学風景

正直言ってショックであった。それは施設の設備とか待遇とかの問題ではなく、障害の重さゆえ人間であればだれもが持つ幸せになる権利・希望というものがことごとく否定されているようであったこと。障害を持つ本人だけでなく家族のとっても。涙を流さずにいられない場面もあった。見学前のカンファレンスで時折見えた園長の渋い表情とやや重い口調での説明にも納得がいった。

 見学を終えて重い気持ちになってしまった。 そして、重度強度行動障害という現実を目の前にしてこれは「県」の施設で あるからこそここまでできるのだ、親の会や福祉法人の運営では限界が あるのだというのを感じた。このような施設を必要とする人たちがいて、 それを救っていくのが「県」の役割なのだ。障害福祉の奥底を見せていただいたようで、 とても有意義な見学であった。園長はじめ職員の方々に感謝したい。(K.Suzuki)