「社会福祉基礎構造改革について」
大日寮 総務課長 袴田憲雄
 平成11年4月13日(火) 

 平成10年6月17日に「社会福祉基礎構造改革について」(中間まとめ)が公表され、以来、厚生省では改革案の具体化に向けた作業が執り行われていた。12月8日に開催された第17回中社審分科会で、「追加意見」がまとめられた。

1. 契約による利用制度への転換
今までは「措置」によって都道府県の長が(福祉事務所の長)措置をしてきたが、今後は、利用者と事業所(施設)との契約となる。
本人に必要なサービスを提供することや、そのためのケアマネジメントが必要になる。
また、地域福祉の充実が前提になっている。
利用者保護が必要になり、契約に沿ったサービスが提供されているかどうかを、第三者機関がチェックすることなど(苦情解決)が必要になってくる。
市町村では、社会福祉協議会の役割が重要になってくるが、市町村、社会福祉協議会がどこまでケアマネジメントの役割を行えるのかが大きな課題になってくる。

2. 地域福祉の充実
地域療育等支援事業を充実させて、福祉施設が療育活動や相談事業を行えるようにすることが求められている。また、グループホームや福祉ホームでは就労条件を撤廃し、重度の障害者であっても入居が可能になるようにすることなどが検討されている。
また、通勤寮などでは、就労前提ではなく、福祉的就労(通所授産施設などへの通所)でも認めることが検討されている。
ショートスティやレスパイトケアなども、要件の緩和が検討されている。
3. 社会福祉事業の見直し

現在の定員の見直しを進め、通所施設であれば現在の20人定員をさらに小規模化する方向や、小規模作業所の運営の安定化を図るため、法定施設(通所授産などの)への格上げが行われやすいように検討されている。
デイサービス事業などは市町村が実施主体になっているが、必ずしも福祉施設を利用せず、地域のコミュニティセンターなどを使用してもいいような内容になる。
また、施設生活の長期化、滞留化を防止することが求められている。
措置から契約となれば、ケアマネジャーによって、サービス提供の内容が検討されることになるが、施設での長期生活を防ぐためにどういった形になって行くのかがはっきりしていないようである。今後は市町村担当がケアマネジメントの役割をどこまでになえるかが、大きな課題になってくると予想される。

(協議)
措置によって親亡き後の入所施設利用が、契約によって逆に不安定なものになってくるのではないだろうか。成年後見制度によって、契約サービスの判断が困難な知的障害児者に対して、後見人が契約を行うことになるだろうが、親亡き後は誰が後見人になるのだろうか?
契約制度はサービスを選択すると言う意味で大きな意味を持つが、逆に措置によって守られてきた部分が守られなくなってくるような気がする。
今後、制度の改革が推進されていくが、その都度情報交換していくことが大切である。